※内容追記した新しい記事をアップしましたのでこちらからご覧ください!
革靴との付き合い方は、勿論素敵なフィッティングの靴に出会うこともあると思いますが
・どんな革が使われているのか
・その革はどんな特徴があるのか
そういったことを知っているとまたさらに楽しめると思うんです。
特に私は既成の靴がなかなか合わず革靴のパターンオーダーに手を出している人間なので
本記事では主に革靴で使われる革の種類について
革の種類とそれを生産している著名なタンナー(皮を革に加工する会社)を
どの靴ブランドで使われているのかも合わせて紹介したいと思います
ではでは、よろしくお願いします。
スムースレザー
革の表面(銀面)を磨いた、アッパーの素材として一番一般的なものになります。
・デュプイ
フランスにある高級タンナーで現在はフランスのメーカーJMウェストンの傘下に入っております。デュプイの革は、親会社に優先的に卸されるためか、デュプイ社の革を採用しているメーカーはあまり多く見かけません。
日本では、スコッチグレインのハイエンドブランドで使用されています。
また、ハイエンドのライニングとして用意しているパターンオーダーのブランドもなん店舗かあり、代表的なところで金沢のKOKONと浅草コブラーがあります。
参考
素材をさがす,革の産地からさがす,フランス/デュプイ社 - レザーマニア
追記:2015年にJMウェストンからエルメスに売却されたようです。
デュプイのシャトーブリアンという革で1足誂えてもらいました!
・アノネイ
気球のブランドアイコンが可愛い、1984年にデュプイ社から独立したタンナーです。
アッパー用の高級皮革としてよく採用されており、革靴メーカーで謳われるフランス産高級レザーというとおおよそこのタンナーというイメージがありますね。
また、パターンオーダーのブランドで採用られるハイエンドのレザーとしても人気が高いです。
違いについては詳しく紹介されているサイトがないのですが、恐らく
クロム鞣しで染色、後処理をしっかりしたものを
ボカルーカーフ
タンニン鞣しを仕上げが薄い、もしくは無染色のものを
ベガノカーフ
と呼ぶようです。
https://www.instagram.com/kawanosuke_nagoya/p/BuL798WFZ_g/?igshid=1iukrusok5xeq
参考コラム『アノネイのお話~いや裏話(キ▼O▼)/』 - BROSENT in 目黒
個人的にアノネイのブラックカーフは何処か赤みを感じますね。
【2019/10/28追記】
アノネイの革を使った靴のレビューはこちら
・ワインハイマー
ドイツにあるタンナーで、多くの方が口を揃えて絶賛する廃業したタンナー
「カールフロイデンベルク」
のスタッフが新たに創業したブランドです。
ワインハイマーの革は特に黒の評判がよく、オーダーの際にアノネイよりも高いアップチャージがかかるメーカーもあるほどです。
赤を感じるアノネイに対し、ワインハイマーは青みを感じます
こちらを使っている既成靴のメーカーてしては大塚製靴が有名です。
また、トレーディングポストのオリジナルラインのハイエンドモデルもワインハイマーの革を使っています。
・ZONTA
ゾンタ社は50年以上の歴史のある、イタリアのクロム鞣し専門のタンナーです。
とても評判がよいのですが、あまり日本での流通は多くないように見えます。
ゾンタのボックスカーフは
オールドイングランド
という名称で、
キメが細かく評判が良いです。
ZONTA OldEnglandのBRようやく入荷😌
— 株式会社ホリシタ (@horishita_kawa) 2018年11月8日
色間違いやらで時間はかかりましたが…モノはまともなんで良しとしますか。一枚目の画像は色が濃く写ってます、二枚目の画像が近いですね。 pic.twitter.com/DO9culobNN
日本でのブランドでの採用はほぼなく
オールド・イングランドをアップチャージで用意しているお店として浅草コブラーがあります、
・ HAAS
HAASはアノネイやデュプイと同じフランスのタンナーの一つで
「ハース」もしくは「アース」と読むそうです。
日本での知名度はアノネイ・デュプイに劣りますが
私はそれは流通の少なさが原因だと思っており、質の高い革です。
HAASはフランスの有名ブランドにカーフを卸しており、
そこからも品質の高さうかがえます。
こちらの革は
クレマチス銀座 の最高級ラインと
天草靴製作所 で使われています。
ムラ染革
スムースレザーの一種ではありますが、人気の高まりとともに様々なブランドで取り扱われるようになりました。
ムラ染め革は大きく分けて2種類あり、1つはタンナーによる革の仕上げの際にムラを強調した染めを施すもの
もう一つは生成り(無染色)の革を後から染料で染める手染め(パティーヌと呼ばれることもあります)
ざっくりいえば、タンナーが染めるか、タンナーから革を買った靴屋が染めるかの違いですね。
後者はブランドに染めのエキスパートを抱えており、だいたいそれを売りにしています
パティーヌという呼称を世に広めたBerlutiが代表的です
それ以外に、Brosent・Leather Port ・floriwonneが力を入れています。
特にブロセントさんの通称「Mカーフ仕上」は私がオーダーした靴がきっかけだったりするのでとても思い入れが深いです
前者の場合は、一番有名な
ミュージアムカーフ
という名称でひとくくりに呼ばれることが多く、タンナーまで記載されていることは少ないです。
・ZONTA
スムースレザーでも紹介したゾンタですが、ミュージアムカーフを売りにしているタンナーとしてのほうが有名です。
おそらく一番注革われているムラ染め革だと思われ
これを使用したブランドとしては、スペインのカルミーナ
静岡発made in chinaの新進気鋭のブランドRaymer
また浅草の靴ブランドJoeWorksやスコッチグレインで扱っているミュージアムカーフもZONTA製とのことです。
美しいですねぇ
・ILCEA
イタリアのタンナーイルチア社のムラ染め革は
Radica Carf
という名称で
一説によると大理石の模様を模して先染め加工をしたこの革がミュージアムカーフの始まりで、イギリスの老舗靴ブランドジョンロブがそう呼び始めたのが最初だそう
イルチア社製は浅草にある新進気鋭のメーカーRENDOでパターンオーダーの目玉として用意されたことがあり、
過去にはRaymerでも使用されていたようです。
ちょっと品薄なうわさも聞きますね。
・ボナウド
ミュージアムカーフを生産しているタンナーは基本的にイタリアで、こちらのボナウド社もイタリアのタンナーです
こちらで生産されるミュージアムカーフは
CORNOVAILLES
と呼ばれ
上記2社と比べるとあまり見かけませんが
ボナウド社製はEnzoBonafeのミュージアムカーフで使用され、またリーガルトーキョーのオーダー会で用意されたことがあることから、そのクオリティもまた確かなものだと思われます。
・国産革
タンナーは不明なのですが、2019年後半あたりから国産のムラ染め革をよく見かけるようになりました。
一部で
ATレザー
と呼ばれるものと同じではないかとみています。
国産のキップをムラ染めしているそうですが、上記タンナーと比べても決して見劣りするものではないと思います
関税がかからず、またブランド力もこれからなため、比較的安価にチョイスできるのもうれしいですね。
この革を選択できるのは、一部の宮城興業と、RENDOさんになります。
シボ革
シボ革は様々な方法で革の表面に凹凸をつけたものでその模様や製法により沢山の名前を持ちます
多くの場合はスムースレザーを
・ドラムにいれて回転させてシワをつける
・手で揉む
などして独特な表情をつけます。
米粒を敷き詰めたような凹凸が見られる革をグレインレザー(籾殻)と呼び、靴ブランド「スコッチグレイン」の由来でもあります。
模様のついた型を押し付け模様をつけたものを型押し革といい、安価な製法になりますが模様が規則的、シボが無くなりやすいなどデメリットもあります。
最後に、薬品を使い革を収縮させることで皺を出した革を
シュリンクレザー
といい、収縮させることにより革の密度がまし、通常の革よりも強度が上がります。鞄に使われているのをよく見ます
凹凸ができるため一般的に傷に強く、雨にも強いと言われますね。
・コンチェリア800
イタリアのトスカーナ地方にあるタンニン鞣しが得意なタンナーで、その中の
ベルーガ
というレザーは最近靴への取り扱いが増えており、RENDOや、目黒にあるパターンオーダー専門店のブロセントなどで取り扱いがあります
https://www.instagram.com/brosentofficial/p/BfUwa96hMlA/?igshid=4yb5jxkgfstb
※ちなみに「ベルーガ」はイルカの仲間のことだそう
・ワインハイマー
スムースレザーでも紹介したワインハイマー社ですが、ボックスカーフにキメ細やかな型押しをした
ワープロラックス
というレザーも人気の革です。日本では、パターンオーダーのメーカーとして人気のKOKONのオーダーオプションとして入手が可能です
ワインハイム ワープロラックス#アクアブルー・#ネイビー入荷しました。某有名ブランドも使っている革です。エンボスの革ですが、品があります( ̄∇ ̄*)ゞ pic.twitter.com/Wnew08WAdC
— 株式会社ホリシタ (@horishita_kawa) 2017年4月14日
・ホーウィン
ホーウィン社はアメリカで最大のタンナーで、コードバンとオイルドレザーで有名です。
そのホーウィン社で、最近靴に使われ始めた型押し革が
ハッチグレイン
です。
ハッチグレインは、製法が失われ現存する革のみの貴重な革
「ロシアンカーフ」
の雰囲気を再現した革でアッパーの素材としての扱いやすさはロシアンカーフそのものより適任と言われています。
日本での取り扱いは、KOKONの既製ラインを生産しているジョーワークスと、福岡のオーダーブランド コルノブルゥ があります
【2019/10/28追記】
ジョーワークスさんでハッチグレインとミュージアムカーフのコンビシューズをオーダーしてきました!
・HAAS
スムースレザーでも紹介したHAASですが、「Derby」と呼ばれる型押しレザーもとてもきめ細かく美しいです。
こちらは目黒のオーダー専門店、「Brosent」で取り扱いが始まりました。
また、エドワードグリーンで人気のレザーである
ユタカーフ
もHAAS製だそうです
長くなったので一度区切ります。
後半ではスエード、オイルドレザー、コードバンとソール材の紹介します!