※内容追記した新しい記事をアップしましたのでこちらからご覧ください!
前編はではスムースレザーとグレイン(型押し)レザーについて紹介しました。
後編では革の銀面以外を使う革、加工して使う革について
また、靴に使う革ということで、靴底で使われる著明な革について紹介します
スエード
革には、いわゆる皮膚である銀面と、肉がくっついていた側である床面があります。
前編で紹介した革は銀面を使っていますが、スエードは床面をサンドペーパーなどでやすって(バッフィング)、毛並みの短い毛皮のような、しっとりした手触りの革です。
スエードは語源はスウェーデンの革と言われ、比較的水に強い革だと言われています。
スエードの中でも裏の銀面が残っているものは銀付スエードと呼ばれ、通常のスエードよりも強度があり価格も上がる傾向にあります。
スエードと似た革に、バックスキン、ヌバック、ベロアがあります。
バックスキンは、後ろの革、ではなく鹿(buck)の銀面をサンドペーパーなどでバッフィングしたもの
ヌバックは New Buck Skin が語源で、バックスキンに似せて、牛革の銀面をバッフィングしたものです。レッドウィングなどブーツによく使われます
ベロアはスエードのうち、毛並みが長いものを言うそうです。
少し脱線しましたが、ブランドの紹介に移ります
チャールズFステッド
イギリスにあるスエードが得意なタンナーで
スーパーバックと呼ばれるスエードは毛並みが短く目が詰まっており、ヨーロッパ産高級スエードと記載があるとほぼこちらの革になります。
https://www.instagram.com/kawanosuke_nagoya/p/BelDsfSlTV8/?igshid=pprby0jgtbub
チャールズFステッド社はもうひとつクゥードゥーリバース、という革もあり、こちらは牛ではなくKUDUという牛科の野性動物の革を使っています。
野性動物ですので銀面は傷が多いですがらそのワイルドな表情の革はまた魅力的でもあります。
そのクードゥーレザーを使用したスエードも、少し長く、野性味のある毛並みはなかなか迫力があります
こちらの革は中目黒のブロセントでオーダーが可能です。
シャラーダ
シャラーダ社はイタリアにあるスエード専門タンナーです。
シャラーダのスエードはカーディフという毛並みの細やかなもので、スコッチグレインで取り扱いがあるようです。
防水性を高めたオッタープルーフというスエードもあり、少しワイルドな見た目です。
こちらはブロセントや、シェトランドフォックスで扱いがあるようです。
オイルドレザー
鞣した後に大量のオイルを浸透させた革で、しっとりした手触りと鈍い光沢が特徴です。
充填されたオイルのお陰で乾燥しにくく傷や雨に強い事から、主にワークブーツで使用されますが、パターンオーダーのブランドでオプションとして採用しているところがあります。
ホーウィン
ハッチグレインで紹介したホーウィン社の代表作のひとつがクロムエクセルレザーです。
https://www.instagram.com/independentleather/p/Bpt8jKBFC8E/?igshid=d2huv1rwgdl2
既製の紳士靴での取り扱いは存じていないですが、オーダーオプションで取り扱いのあるお店はショーンハイトなどがあります。
ドゥ・ジェルマン
こちらはフランスにあるタンナーで恐らく取り扱いは金沢のKOKONのみだと思われます。
クロムエクセルと比べコシがあるようです。オイルドレザーはあまり種類がないのでさわり比べてみてみたい。
コードバン
コードバンは食用農耕馬のお尻のからとれる革で、
滑らかな表面は銀面ではなく、銀面の下に生成されるコードバン層を削り出してグレージングという磨き加工をすることで生まれます。引っ張り強度があり、頑丈な革としても知られますが、ヌバックを寝かしつけたような構造であるためか、水に濡れると水ぶくれのようになってしまい、光沢が失われることがあります
滑らかな光沢と大きく入る皺が魅力の人気の高い革ですが、世界的な需要増に対し、欧州での食肉の需要の減少により良質なコードバンは少なくなっていそうです。
ホーウィン
すでに2度紹介したホーウィンですが、その一番の代表作はシェルコードバンでしょう。
また、コードバンと言えばホーウィンと言う方も多いと思われます。
特徴としては染料で仕上げた魅力的なムラがあり、その上でたっぷりのオイルを充填しているため、使いはじめからある程度の光沢があり、使い込むことにより輝きを増していきます。
シェルコードバンは、レアカラーと呼ばれる余り世に出回らない色があり、特に、一番薄いウイスキー色はグレージングの際に入ったごみが目立つため希少価値が高いそうです。
歴史上シェルコードバンの靴と言えばオールデンでしたが、
今ではクロケット&ジョーンズ等その他海外メーカーでも盛んにシェルコードバンが使われています。
日本では42nd royal highland等で取り扱いがあります。
【2019/10/28追記】
ホーウィンのシェルコードバンを使用した靴の紹介はこちら
新喜皮革
新喜皮革は日本の皮革産業の二大産地のうちのひとつ姫路で操業するタンナーで、シェルコードバンと比べると透明感があり、また色ムラが少なく個体差があまりないと言われています。
また、金額的にも安価であるため、国産ブランドでの取扱いは新喜皮革の方が多く、
KOKONと、パターンオーダーをいち早く全国で展開した宮城興業出身のオーダーブランド荒井弘史誂え室で取り扱われているコードバンが新喜皮革のものだったと記憶しています
https://www.instagram.com/jpn_leather/p/Br_ri2NF2VB/?igshid=lzycs4xy0m27
レーデルオガワ
レーデルオガワは新喜皮革で鞣されたコードバンに染色と仕上げを行う千葉にあるタンナーです。レーデルオガワで仕上げられたコードバンは水染めコードバンとも呼ばれその染色技術には定評があります。
レーデルオガワは42nd royal highlandで取り扱いがあるほか、REGALのオーダーオプションも水染めコードバンと紹介されているので可能性があります。
トーマスウェア
これまでは、良質なコードバンと言えばホーウィンか新喜皮革だったそうですが、新たに上質なコードバンを開発しているタンナーも現れています。それが、ブライドルレザーで有名なトーマスウェア&サン社です。ブライドルレザーで培われた技術がふん伝につぎ込まれ、非常に強度があるそうです。
紳士靴も取り扱う隠れた名店leather portの、ブーツブランドでの取り扱いがあります。紳士靴でこのコードバンが使われるのを見てみたいです。
ロカド
ロカド社は1990年にイタリアで創業した比較的新しい馬革を扱っているタンナーです
イタリアでは革にオイルを充てんするバケッタ製法というものがあり
その流れで上質なオイルドコートバンを製造しているとのことです。
参考リンク
日本に入ってきてまだ日が浅く、靴で使用された例はあまり聞きませんが
海外ではロカド社製のコードバンを使用した靴もあるようです。
ソール
最後に、アッパーではないですが、ソールもオーダーのときに重要な検討ポイントで、ハイエンドの素材としてオークバークと呼称されるレザーがあります。
オークバークは牛の背中からお尻の一番厚みのある「ベンズ」という部位を、オーク(楢)から抽出したタンニンで長い時間(なんと一年も!)をかけて鞣した革で、履きはじめは固いですが、堅牢性、耐磨耗性、耐水性で一級品と言われる素材です。
タンナーとしては
ドイツのJRレンデンバッハ社
イギリスのベイカー社が特に有名です。
JRレンデンバッハ
国内の取り扱いはレンデンバッハが大多数です。レンデンバッハのソールにはJRロゴが刻まれており
https://www.instagram.com/rifare_kanai/p/BkZgTtqninA/?igshid=pzwov5skbdp3
これに憧れるひとも多いです。私も憧れますね。
ベイカー
ベイカー社のオークバークソールは浅草コブラーで扱いがあり、また、紳士靴での取り扱いはなくなりましたが、leather portさんのブーツラインでオプションでの取り扱いがあります
余談ですが、ベイカー社もロシアンカーフを再現したレザーのラインナップがあります
https://www.frame.jp/products/detail/29187
【追記】海外の皮革販売サイトでロシアンカーフのサンプルを注文してみました。
以上で終わりとなります。
紳士靴を買うときに、履き心地ももちろん気になるところですが、その靴で使われているレザーのバックグラウンドについて知っていると、また革靴の楽しみかたが広がると思います。