本作は、シナリオ構成で言うと序波急だったのかな?
大まかに3つのフェイズに別れていた印象でした
- 生き急ぐような序
- まるで走馬灯のような破
- 畳み掛けるような破壊の嵐の急
- 時代を終わらせるようなエンディング
1序
家族と団欒するバートンからスタートする本作は、とは言えインフイニティウォーの結末を知る観客からは不穏な始まりにしか見えず予想通りの結果でした。
そこからCMで流れたトニーのレコーディングシーンに繋がり、早くもトニーとキャップが再会。
ここでピーターを目の前で死なせ、ドクターストレンジに後を託され、なにもできなかった後悔を引きずるトニーは見ていて切なかった。
あまりにも展開が早すぎて、あれ?これ序盤でサノス死ぬんじゃね?と思ったら案の定
怒りに任せて殺してもなにも解決しない、しこりだけが残るという最悪の結果でしたね。
ここでエンドゲームのフェイズ1が終わり5年後から始まるフェイズ2に繋がっていきます。
2破
5年後、スタークの娘の登場には度肝を抜かれました。守るものができ、キャップの誘いを断る社長の姿勢は、今まで世界のためにないがしろにしてきたペッパーに対する贖罪なのでは?と感じました。彼女の「そう思わせたとしたら、私の罪」という発言はその関係性を意識したものでしょう。
過去へのタイムトラベルは過去作の映像を使いながら、描かれなかった側面を描きかつ、ファンが望む、まさに二次創作のような出会いをたくさん見せてきました。
これはまるで総括だな。
エンドゲームを起点にまた過去作を思い返してほしい。しかし、それは思い出として、確実に畳むことを意識している。
ハワードと会話するトニーのシーンは、アイアンマンファンとして、父親からの愛情に飢えていたトニーの救いになったことは間違いなく、感極まる思い出見てました。
また、MCUでその立ち位置が一番変わったのはナターシャで、暗殺者として育てられ、スパイとして生き、ウィンターソルジャーでその暗部を全世界に晒した彼女がそのなかで得た出会いを尊いと感じて失ったものの大きさにオフィスで一人涙し、そして最後の自己犠牲に繋がる。彼女もまたエンドゲームの主人公の一人だった。
反面、宇宙のシーンはフェイズ3への種まきに徹している感もあり、やはりオリジナルメンバーと関わりの薄い宇宙のシーンはもうひとつ盛り上がりにかける印象ではありました。
3急
それはネビユラ同士の邂逅により物語に暗雲が立ち込めてからも同様で、特に過去ネビュラはあくまでも話を転がす舞台装置に徹していた感もあります。
だからこれは、MCUの集大成ではなく初代アベンジャーズの、そして、キャップとアイアンマンのための映画なんですね。
エレベーターシーンはウィンターソルジャーのオマージュであり、成長して柔軟性を得たことも示し
アベンジャーズ基地襲撃の衝撃シーンはアイアンマン3のオマージュでありサーガを急激に畳始める狼煙でもあった。
オマージュ・オマージュ・オマージュ
でも、繰り返しではなくて確かに時間が進んでいることを示すことでより奥深い味わいになっている。
本来であれば絶好のカタルシスシーンになるであろうハルク覚醒を、フェイズ2の序盤でギャグとして消化したことも、そある意味ラグナロクでのハルクの成長を進めた結果とも言え、さらに怒りで強さが変わるハルクの特性を、怒らない状態を用意することでナターシャを失った悲しみを簡単なシーンで深く印象付ける。
そして絶望的なシーンから、まるでゲートオブバビロンの様な全員集合シーン(笑)をへてのラストバトル!
サムの「On your left」 は、ウィンターソルジャーでランニングで左から追い抜かれるシーンの意趣返しですね!気づいたときは興奮しました。今から字幕を左から失礼に変えて欲しいw
AOUでのお遊びシーンを丁寧に拾い、ムジヨルニアを巧みに使いこなすキャップは間違いなく本映画の主人公でした
また、新メンバー達がガントレットをリレーしていくシーンは新しい時代の主役たちをとても強く印象付け
そして、指をならすアイアンマン…
I am Ironman で始まったMCUが
I am Ironman でその幼年期を終える。
こんなにふさわしい終わりかたはない
10年
この10年をただひたすら追いかけてきたファンはこのシーンに涙せずにはいられない。
そして、MCUは次の世代に引き継がれていくんですね。
4エンディング
MCUの中で何度見たかわからない、社長のナレーションで始まるエンディングは、駄作になってもい、実は生きてましたと言って欲しいという私をなだめるようでした。
そして、過去にインフィニティストーンをキャップが、返しに行き、タイムトラベルをせずに時の流れに身を任せて皆を待っている。
恐らく現代に戻るためのピム粒子を、ペギーと別れた時代まで飛ぶために使ったスティーブ
老人スティーブネタを回収し、キャプテンアメリカは二代目に引き継がれていく。
娘に優しく語りかける録画のなかでのトニー
皆と同じ時間を過ごせた穏やかなスティーブ
二人を見ると、MCUにとどまって欲しいという我が儘はすっかり霧散してしまいました。
野暮ですよね。ここまできれいな終わりが描かれたのを見るのも久し振りかもしれない。
リブートはなく、エンド
例えタイムトラベルしても、彼らの時間は進んでいく。過去が現在になり現在が過去になる。戻る先は未来で、彼らの時が戻ることはない。
最後に
もちろん100%素晴らしい作品かというと、善く書くために捨てたものも多くて、ビッグ3と言いつつソーの活躍は少な目だなぁとか、
スターロードの扱いがひどすぎるとか、
キャプテンマーベルは戦力的な切り札ではあったけど、物語上のキーパーソンではなかったなぁとか。
ハルクがラストバトルでその他大勢と化していたとか
改心ロキの復活なかったなぁ(難癖)とか
まぁ色々あります。
でも、ソーもハルクもきっと今後も活躍していくでしょう
その時は是非若いメンバーを導いて欲しい
あくまで本作は社長が生まれる前から丁寧に紡がれてきた、
IronmanとCaptaiAmericaの関係性の行き着く先であり、またMCUそのものがこの二人の物語だった。その意味ではサノスもエンドゲームの中心ではなかった。だから序盤で一度殺されたのでしよう。
そのMCUの序章は、キャップがついぞ踊れなかったはずのペギーとのダンスで終わり、トニースタークがマーク1を鍛えるハンマーの音が静かにこだまするなか幕を閉じる。まるでテンカウントゴングのように。
アフターシーンはなく、Spiderman will returnもない。
こんなにエモい終わりかたはない。
ありがとう、アベンジャーズ
追記
二回目観賞
今改めてみると
過去のシーンでビッグ3のその後が暗示されてますね
ソーは生まれ変わり、ムジョルニアを持てるまでに心を入れ換え、
社長は父と会い、ハワードも同じく悩む父親であったことをしり、トラウマから解き放たれたのは既に述べましたが
キャップは若いカーターと出会い、良くが生まれたんですね。
ハワードに、大義のために個人の幸せを諦める必要はないといわれた上での自己犠牲と考えると、トニーは世界を守ったんじゃなくてモーガンを守ったのかもしれないなぁと思うとまた泣けてきます。
上映後のFAQで、キャップはカーターと暮らしたあとずっと座っていたわけではなく、カーターと暮らした世界線から戻ってきたことがわかりましたが、超人血清のことを考えるといろんな人を看取った上で戻ったのかもしれない。
良い映画は見る度に新しい発見がありますね。
まだ全部ではないかもしれない。
本当に悲しいけどわくわくする映画でした