Leather Prot さんをご存じでしょうか
印西の隠れ家的食堂の離れにひっそりと居を構えた
知る人ぞ知る革製品の名店です。
革靴好きの間ではそのクオリティの高さを含め、ご存じの方も増えてきているかもしれません。
そこにある商品は、代表の井熊さんが中国で出会った凄腕の革職人さんによる手作りの品です。
メイドインチャイナと侮るなかれ。
井熊さんの革にかける情熱は厚く、彼がプロデュースする製品は、国籍ではなく、その職人しかできない技を井熊さんが見初めたものです。
ご自身がプロダクトのファンですので、新作は自分で購入して使用感を確認するそうですし、店内にあるサンプルも、提供品ではなくLetherPortで購入したものだそうです。そこには、徹底した職人との対等な、リスペクトのある関係がうかがえます。
自分が本当に良いと思ったものしか売らない。簡単なようでいて、きっととても大変で険しい道のりだと思いますが、それを貫いたことで今、靴付きの方から多くの支持を集めているブランドです。
私も、メイドインチャイナということではじめは半信半疑ではありましたが、ある機会で商品に触れることができ、そのクオリティの高さに驚きまして、いくつか商品を購入させていただきましたので、この機会にじま・・・紹介をしたいと思います。
まずは、IronBoots!
Ironbootsは、Lether Portが始まるきっかけとなったアイコン的なプロダクトです。IronBootsの工房責任者との出会いがなければLetherPotはなかったといっても過言ではないです。
Ironbootsは現在8デザイン。
その特徴は、工房が独自のルートで入手している厳選された革と、ハイクオリティな工房の職人によるハンドソーン(手縫いによる底付け)です。
どうなんでしょう。ブーツってあまり触れることがなかったのですがワークブーツで手縫いの底付けって珍しいのではないでしょうか?(調べた限りではホワイツがそうなようですね。)
金額としては5万円台~6万円台(一部モデルはコードバン使用で9万円台)と、ハンドソーンであることを考えれば恐ろしく安いです。(金銭感覚壊れた発言)
私が所持しているのは、Hephaestus!
ブーツが苦手なので、短靴タイプのデザインです。
アッパーはヨーロピアンブルハイドという蝋と油分を充てんしたタフなレザーで、IronBoots生産当初の主力商品だったもの、素材の入手が困難になり現在は廃盤となっている素材です。
革の種類で説明しましたが、ブルは繁殖用に去勢されていない牡牛の革で、傷が多いものの皮が厚くタフであることが特徴です。ワークブーツに最適な素材ですね
奇跡的に素材を入手することができ、数量限定生産で受注再開したときにオーダーしました。
水に強く、ちょっとの雨ではびくともしません。頼りになりすぎる。
現在は、同様のタフさを備えたトスカーニワックスブルハイドという素材がラインナップされています。
次は名も無きビジネスシューズ!
中国語ではwuming(无名=名前のない)だそうです。
短くてかっこいいので、以下wumingで統一します。
wumingは既にご紹介したIronBoots工房の職人の一人だったそうです。
仕事の空き時間にドレスシューズの練習を積んで、それを見た工房責任者(P氏)が独立を勧め、名も無き工房としてスタートしました。
靴づくりは本来分業制で、デザインを起す人、アッパーを作る人、底付けをする人、ラストを削る人、と別れていますが、彼はそれすべてを高いクオリティで行っています。
IronBoots同様口コミで人気が広がり、納期も長期化していたのでちょっと前にお弟子さんをとっていたのですが、彼も独立をしてしまったそうです。大変そう。
しかし、その中でも自己研鑽を続け、今年は、知り合いからの推挙もあったそうで、靴づくりの世界選手権にも参加しております。
入賞には至らなかったそうですが、20台と若い身で、これからのクオリティの上昇に目が離せない職人です。
デザインも、私がオーダーしたときは確か5種類程度でしたが、現在は10以上とパターン作成にも精力的に行われています。
特に、Uチップダービーは価格も上がりますが人気が高いですね。
個人的には井熊さんがご自身で所持されているUチップのカラーがとても素敵です。
で、カラーの話をしましたが、なんと、wumingはフランス産高級レザーのアノネイ(デュプイでした(--;)すみません)の生成り(無染色)を職人自らの手塗りで仕上げており、その色使いもまた素晴らしいものがあります。特に、最近の完成品は、ミュージアムカーフのような美しいムラのものが多く、とてもそそられます。
また、ドイツが誇る高級レザー ワインハイマーの生成りも入手できるようになったそうで、そちらを使って作られる靴たちにも興味津々です。
アノネイとワインハイマーで色のノリも違うんでしょうか。ワクワク
ということで、私の靴です。
私がオーダーしたwumingは内羽根フルブローグのラウンドトゥ。
購入後8か月程度です。
私がオーダーしたときはまだチゼルトゥのラインナップしかなかったのでドキドキしましたが、想像以上にカッコよく仕上がっています。
踵はシームレスヒールといって、通常は2枚の革を踵で縫い合わせることによって踵の曲線を作るのですが、それを1枚の革に癖付けをすることで縫い目のない美しい踵を作り上げる、腕のある職人にしかできない美技です。
土踏まずからソールにかけての曲線も美しく履き心地もとても素晴らしいです。
色はムラ感強めのブラウン。雨風にさらされたこともあり、少し色落ちもあり、補色もしたりしていますが、しみになることもなく深みのある良い色に育ってきていると思っています。
サイズは、25のDウィズ。
フィッティングは、井熊さんの計測と、サンプルシューズでの確認を基に、職人さんが最適なサイズを提案してくれます。
来店できない場合も、必要なデータを井熊さんにメールすることでも提案いただけるそうです。
提案いただいたサイズは25.5のCウィズか25のDウィズ。ということで、25のDウィズをチョイスしました。
ちょっとフェチ感が強すぎて言うのがためらわれるのですが、wumingはライニングもこだわりがあり、オランダ産のカーフを使っております。
これがね、匂いがいいの。ちょっとウッディな感じもあるのでシューツリーの影響もあるかもしれないけど、このにおいをかぐと落ち着くんですよねぇ。
個人的に特に凄いと思っているのがソールで、8か月使用して、ほとんど削れておりません。
私がオーダーした当時は、ネームバリューもあり高級底材のオークバークもオプションで用意していたのですが、井熊さんに相談したところ、基本価格で用意しているソールもオークバークに勝るとも劣らないと太鼓判をいただいたので基本装備のものにしましたが、ほぼノーメンテで実にタフに活躍してくれています。
おそらくですが、緩やかにカーブをしているのが、荷重の分散に寄与しているのかもしれません。
ここまで局面的なソールは手持ちではwumingだけですね。
そして、最後になりますが、純正シューツリー
純正シューツリーも、市販シューツリーとほとんど変わらない価格で提供されているのが素晴らしい。
しっかりツインチューブですし、木型を基に削り出してますので、アッパーとの隙間もほとんどありません。
現状税抜き88,800円
7月31日の価格確定後は
103,800円と決して安くはない価格ですが
かかっている手間と、そこから生まれる高いクオリティは
買うかどうかはさておき、ぜひ店舗で見てもらいたいと思います。
長くなりましたので、一度ここで切ります。
次は、ベルト等革小物について紹介したいと思います。
【2019/11/19追記】アイアンブーツ工房の新作「IRONDRESS」を試着しに行って来ました!