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【リライト版】靴のパターンオーダーに興味はありませんか?(後編)

 

 

前編では、OEM生産元で分類した靴ブランドのパターンオーダーについて紹介しました。

 

 

belphegor729.hatenablog.com

 

 

後編ではそれ以外のブランドについて紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

   ここまで、大きく製靴工場ごとにブランドを紹介してきましたが、ビスポークを行っている工房でパターンオーダーも受けているところや、宮城興業のような製靴工場が独自にパターンオーダーも請け負っているものがあります。

ここからはそういったブランドを紹介していきます。

まだほとんどお伺いできていませんので、行ってみたいところの紹介になりますが最後までお付き合いください

 

RENDO

 

 

 

RENDOは、セントラルでパタンナーとしてご活躍された吉見さんが独立したお店です。

RENDOの魅力のひとつは吉見さんのフィッティングセンスと、細やかなフォローです。

私は友人とRENDOにお伺いしたことがあるのですが、足を見て本人も気づいていない歩いているときの癖を指摘されました。

そういった足についての知見の高さはフィッテイングに活かされていると思います。

また、製品のパターンをご自分でされていることから、デザインの細やかな変更について良く対応してくださるそうです。

購入後のフォローもポイントのひとつでコルクの沈み込みで緩くなった場合にはインソールの調整など行ってくださるそうです。

木型は標準の770ラストと細見の845ラスト、Uチップ専用のラストの3種類です。

店舗は浅草ですが、全国でオーダー会をしています

 

もともとはご自身の出身であるセントラルさんに製靴を依頼していましたが

セントラルさんが引く手あまたなのと、RENDOさんもオーダーが増えたことでさばききれなくなり

今は宮崎製靴というところで作られているとのこと。

足立区と秋田に工場がある、セントラルと同様に様々なブランドのOEMを請け負っている工場で、昔オークニジャパンで浅草靴誂というブランドを展開されていたそうです。(今はなさげ)

 

 

浅草コブラー

浅草コブラーはとても人気の高い修理屋ですが、オーダーシューズも取り扱っています。

ラストは大きく二種類ありますが、特徴的なのがそのうちのひとつ「ツイステッドラスト」です。ツイステッドラストは足の力の流れを考慮して少し捻りを入れたラストで、ビスポークシューズで取り入れられることのある特徴的なラストです。

また、この価格で底付けが手縫い(ハンドソーン)なのも魅力で、修理屋さんだからか選べるオプションも豊富でアッパーや底材だけでなく、靴を支える芯材も選べることができます。

アノネイ等の高級素材は、他ブランドと比べ高めになっていますが、基本価格やアップチャージで選べる国産皮革も良い質感です。

デザインも自由に選ぶことができ、提示したデザインにより追加の価格が変わってきます。相談しながらデザインを考えるのも楽しそうです。

フィッテイング調整のしかたも、乗せ甲と仮靴の作成の二種類があり、個人的には、プラス2万円で仮靴の底縫いをしてくれるのでもしお願いするなら仮靴の方が良さそうだな、と思ってます。

余談ですが、店主がとても話上手でついつい長居してしまいます(^_^;)

 

 浅草コブラーで靴を修理した時の記事です

belphegor729.hatenablog.com

 

 

 leather port

 

 


 leather port は、千葉県印西市にあるオーダー専門店です。

leather port は中国で活動しているレザー職人の中から、代表である井熊氏が直接会ってこれはと思った職人の商品を展開している隠れ家的なお店です。

紳士靴のほかにワークブーツ、ベルト、ウォレットのオーダーもでき、そのどれも素晴らしいクオリティのものです。

紳士靴、ワークブーツともに、乗せ甲などの対応はできませんが、

井熊氏のフィッティングデータをもとに職人が最適なwidthとlengthの木型をチョイスしてくれます。

紳士靴は、アッパーはアノネイのヌメ革に職人が手染めで染色していますので、ブロセントほどの細かい指定はむつかしいですが、職人の感性にお任せして出来上がりを楽しみにする感じがよいと思います。

また、leather portの紳士靴の木型も浅草コブラーと同じ、ツイステッドラストを取り入れています。

ワークブーツはホーウィンのクロムエクセルのような一般的なものから、ワイルドな質感が魅力のトスカーニワックスブルハイドやブライドルレザーで有名なトーマスウェア社が新しく開発した質の高いコードバンなど魅力的なレザーを多数用意しています。

トスカーニワックスブルハイド

トーマスウェアコードバン

紳士靴もワークブーツもハンドソーンで底付けされているのも魅力の一つです。

メールでのオーダーも可能ですが、サイズの決定がとても重要ですので、是非店舗までお伺いしてください。

なお、令和元年7月1日より価格改定が予定されており、紳士靴については10万円を超える価格となりますのでご興味のある方はそれまでに来店されるとよいと思います。

 

 

 

※レザーポートさんのプロダクトを紹介した記事です

 

belphegor729.hatenablog.com

belphegor729.hatenablog.com

 

レザーポートさんの ワークブーツブランドが手掛けた新しい紳士靴についての紹介です。

 

belphegor729.hatenablog.com

 


 

※残念ながら現在新規オーダー停止中です

 

belphegor729.hatenablog.com

 

 

 てつじや

 


てつじ屋は、銀座にあるオーダーメイドシューズを手掛けるお店です。お店のなかにはたくさんの木型がところ狭しと並んでおり、個人的にはとてもワクワクします。

オーダーシューズは6万7千円から。

てつじ屋さんには別の目的でお伺いしたのでオーダー靴の詳細については一度聞いてみたいと思っています。

また、フィッティングの啓蒙に熱心な方で書籍も出版されており、フィッティング調整アイテムの開発やフィッティングについての啓蒙活動など多岐にわたってご活躍されています。

また、子供の頃から足に合った靴を履くべきとの考えから子供靴の販売も行っており、かわいいながらも本格的な子供靴を取り扱っています。

 

お伺いした店舗はここまで、ここからは一度お伺いしてみたいお店について、簡単に列挙していきたいと思います。

 

ショーンハイト

 

 

http://www.touritsu-seika.co.jp/schonheit:tembed

ショーンハイトは、千葉県の柏にあるREGALのOEMを手掛ける工場で、自信のパターンオーダーブランドを展開しています。

オーダーは柏の工場と、浅草にオーダーサロンがあり、日にちは限られますが浅草でもオーダーを受けることができます。

また、全国でオーダー頻繁にオーダー会をやっていますので、関東以外でも入手することが可能です

ショーンハイトの魅力はなんと言ってもその安さで、3万円でオーダーできるのは破格と言って良いです。また、作りのよさも評判でデザインの修正についても積極的に対応くださるそうで、ファンの多いブランドです。

 

※ショーンハイトの浅草オーダーサロンに遊びに行った時のレポです

 

belphegor729.hatenablog.com

 

 

 REGAL


大手メーカーのREGALもパターンオーダーのシステムを用意されています。

価格は約5万からと高くもなく安くもなくといった感じです。

全国にあるREGALの一部の店舗でオーダーを請け負っており、オーダーをできる店舗数は宮城興業の次に多いと思われます。

https://www.regalshoes.jp/shop/storemaster/list.aspx?search_service=10&search.x=229&search.y=13

 

SANTARI

 


 

サンタリはアウトワーカー(外注職人)として高い評価を得ているtateshoesが満を持して展開するブランドで、自身の靴を履かれるかたの人生が燦然と輝くことを願ってブランド名を「SANTARI(燦たり)」と名付けられています。

サンタリの特徴は、10万円以下でアッパーにアノネイを使用した上でハンドソーンで底付けを行っていることです。

ハンドソーンは、グッドイヤーと比べ底付けの難易度が高く、機械化ができておりません。ですので、アンダー10万円を実現するためには、人件費であったり、素材の選択肢に安価なものを用意する(むしろコスパが良くなるようどのブランドも知恵を絞られてますが)などの努力をされています。

ですので、この価格設定は驚異的で、しかも、シームレスヒール(踵に縫い目がない仕様で美しく仕上がる)もサイトを拝見する限りでは基本価格の中で選択できるようで、アウトワーカーとして経験をつまれた腕の高さを感じます。

ブランドの一番人気がレイジーマンという靴のサイドにゴムをいれて、紐を結ばすに履けるデザインです。

しかし、通常のレイジーマンはイミテーションの靴紐がデザインされているのですが、浮腫んだときに緩められるよう本当の紐を通すこともできるようにしてあり、サンタリのユーザー目線でのもの作りを感じます。

 

FilShoes

Fil shoes株式会社 東京 紳士靴 オーダーシューズ OEM委託 フィルシューズ

Filshoesさんは比較的最近立ち上がった靴ブランドで

若い職人さんが手掛けるブランドでもあります。

様々な製法での製靴が可能ですが、ブランドとしてマッケイ製法を押している印象があります。

マッケイ製法は底とアッパーを 直接縫うため、複数回の修理に不適との評価が長いことありましたが、Filshoesさんは靴の材料などを見直し

グッドイヤーと同等の修理耐性を確保しているとのことでした。

一度お伺いしたいブランドの一つです

 

 

J.S.T.F.

J.S.T.Fさんは知る人ぞ知る、伝説の靴職人関信義さんのお弟子さんの

橋本公宏さんが立ち上げたブランドで

パターンオーダーの靴を手に届く価格で提供されているブランドです

HPを見た感じ、今は9部仕立てとマッケイが主力みたいですね。

J.S.T.Fさんが最初に話題になったころは、セメンテッド製法(接着底付け)

で安価なだけでなく、短期間で納品できるオーダー靴として注目されていた印象です。

セメンテッド製法はソールを接着するため、簡単に作れる代わりに修理が効かないのが問題点でしたが、接着剤の性能向上により、こちらも複数回の修理が可能になったとのこと。

今もセメンテッド製法のオーダーを受けていらっしゃるのかわからないですが

既存の価値観を破壊する姿勢がかっこいいブランドだと思います。

 

 

 

www.jstf-shoes.com

 

カルツェリアホソノ

 


カルツェリアホソノは、青山にあるブランドで、どちらかと言うと婦人靴のオーダーで評判のお店のようです。

ただ、紳士靴のオーダーも扱っており、パターンオーダーで約6万円、フルオーダーで7万5千円と、特にフルオーダーの価格が破格なので、底付けはどうなっているのか、どのような革が選べるのか、是非お伺いしてお話と、試着をしに行きたいと思っています。

 

天草製作所

 


天草製作所は、熊本天草出身の店主が営む西荻にあるお店です。

こちらも底付けはハンドソーン、オプションで選べるアッパーもフランスの高級皮革haas社のレザーを使っており、やはりこちらも価格設定に驚かされます。haasレザーは、高級皮革の紹介で漏れましたが、ハイブランドのバッグなどに選ばれる上質なレザーで、天草製作所のほかにはクレマチス銀座でも取り扱っています。参考資料

木型の補正は1箇所5000円とのこと。

店主が同じ九州出身なので勝手にシンパシーを感じているところもありつつ、また、靴教室も開かれているということで、そちらのお話もお伺いしたいところです。

 

シナンド

 


シナンドは、高品質な紳士靴を提供する銀座ヨシノヤの生産を担っている小笠原シューズが展開するオーダーブランドです。

木型の調整がなげれば、こちらのブランドもハンドソーンで10万を切る価格で商品の提供が可能なようです。

 

 

tonearm

 


トーンアームは、吉祥寺で革製品の修理とオーダー靴の作成を行っている店です。

こちらのお店で一番気になったのは価格で、正確な金額は出ていないですが、オーダー例から8万円を切る価格でハンドソーンの底付けをしてくれるようです。

木型の調整は、恐らく一ヶ所につき5000円で、木型の作成が50000円から。

そう考えると、ビスポークに近いものが13万円でできることになりますね。

また、修理も行っていることから選べるソールの種類が多く、レッド・ウィング等のブーツの修理も手がけていることから、遊び心のあるソールが多いのも注目ポイントだと思います。

 

※番外編 

M_Futamoto

 あえて番外編に置きました。

M_Futamotoは私が革靴沼に足を踏み入れるきっかけを作った

木型士Zinryuさんが立ち上げたブランドで

belphegor729.hatenablog.com

 

 規制靴では十分なフィッティングの得られない方のために立ち上げた新しいブランドです。

制作はFilshoesさんが担当し

現在は店舗を持たず、受注会を企画しながらオーダーを受け付けている状況です。

 

最初の受注会にお伺いした時のレポです

belphegor729.hatenablog.com

 

今は足の細い方向けの木型のみ先行リリースしている状態ですが、標準の木型についても制作中とのことでした

 

 

 

VASS 

Vass Shoes

関東近郊どころか日本ですらないですが、インターネットからパターンオーダーが可能で、また10万円を切る価格でオーダーが可能ですので紹介します。

詳しい内容は下記記事をご覧いただければと思いますが、

VASSは、東欧ハンガリーでハンドソーンウェルテッド方式の紳士靴を作り続けているメーカーで、知る人ぞ知る名ブランドです。

デザインも豊富で選べるアッパーの種類も多彩ですので、是非サイトを見てみてください。

 

belphegor729.hatenablog.com

belphegor729.hatenablog.com

 

 

 

以上で紹介は終了です。

今回ご紹介した以外にもたくさんオーダーのブランドがあり、私が知っている範囲でもすべてを説明しきれていません。新しいブランドを探すのも楽しいと思います。

 

最後に…

 

 

個人的な意見ですが、パターンオーダーであっても、はじめからバチっとフィッティング決まるわけではないです。

また、履きはじめはよくても、沈み込みやアッパーの延びで緩くなりますし、フィッティングに対する自分の姿勢もだんだん変わってきます。最初はゆったりフィッテイングが好きでも、だんだんタイトな方が良くなったり、逆も然りですね。

ですので、既成靴である程度自分の好みのフィッティングを確立されているかたは良いのですが、そうでないかたは、雨様の靴だと思って、まず安価に最低限のオプションで、でもフィッティングには妥協せずにお作りになられると良いと思います。

そこで得られた知見、気付き、反省は、他のブランドのサンプルを履かれた時も必ず役に立ちます。

という事で、まずは店舗に足を運んでみましょう!

楽しい革靴ライフが待ってます

 

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