昨年はＭＣＵを含むアメコミ映画の凋落をまじまじと感じる一年でした
スパイダーバース、ガーディアンズ３は良かったものの
それ以外の映画はすべて落第点（私はＦＬＡＳＨもわりと駄作だと思っています）
マーベルズなんてほんと酷かったなぁ・・・
で今年、今年はＭＣＵとしてカウントするの正直ちょっと違うんだよな、ってデッドプールと、ＤＣはもしかしてゼロ？あ、ジョーカー２か
そんで、ソニーのマーベルバースのＳＳＵから秋にクレイヴンと、今作
「マダム・ウェブ」
ですかね
マダムウェブって有名なんですかね？
私は漫画版スパイダーバースを読んでいたので、かろうじて知っていましたが
彼女完全非戦闘要員だし、でも設定盛りまくりの強キャラだし
この子を主役にして大丈夫なん？と思いつつ
逆にＭＣＵで言うガーディアンズのような、「マイナーキャラをスターダムにのし上げてやるぜ！」
みたいな気概があるのかな？と逆にちょっと期待していたのですが
予告を見て「内容が頭に入ってこない・・・」と不安になり
海外の批評家のレビューが過去に類を見ないくらいの大不評で不安が増し
海外で公開開始し、もはや酷評等言葉すら生ぬるい、というような状態になって
逆に映画に興味がわいてきまして、もともと見る予定を組んではいたので
当初の予定通り見に行きましたー
あらすじ
救急救命士のキャシーは、救命活動中に溺死しかけたショックで、未来予知の能力が覚醒する。
その能力は自分で制御ができないが、電車に乗った際に、同じ車両に乗っている３人の女の子が、謎のマスクマンに無残に殺されるという予知をみる。
その未来を回避するために３人の女の子たちを連れて逃げ出したことから
マスクの男との追走劇が始まる
その中で、マスクの男との因縁と、自分の能力のルーツを知るキャシー
すべてを知った、キャシーと、マスクの男との戦いが始まる
的な感じ
脚本がガばい。プロが書いたとは思えないくらいがばい
多分ね、かなり身構えて見に行ったのもあるとは思うんです
最初は「世紀の駄作なのか」とあらを探すような見方をしていたのだけど、ちょっとネガティブにとらえようとしすぎている自分に気が付いてしまったので、フラットに見ようと心掛けすぎて、逆にポジティブに受け取ってしまっていた面もあるかもしれない気はするのだけど、
まぁ世紀の駄作、というほど印象の悪い映画ではなかったです。
見ている間は
ストーリーの根幹はオーソドックスだけどしっかり（？）しているし
キャシーの未来予知も、ぶっちゃけガイリッチー版シャーロックホームズのホームズヴィジョンの２番煎じみたいな感じだけどまぁ悪くない
悪くないんだけど、そのオーソドックスなストーリーの肉付けに完全に失敗しているし、未来予知の能力設定もがばがばすぎて。ちゃんと思い返して反芻すると目も当てられない駄作としか言いようがない状態になっています。
ストーリーの粗がひどすぎる
何度も言うけどストーリーが酷い。ただ、この酷さはここ最近の洋画はすべからく備えている気がして本当にまずいと思うんですよね
マーベルズも酷かったし、ウォンカも決して褒められたものではなかった
本作で特にひどい点は２つ
まずは、作中でキャシー結構な法律違反をしているんだけど、それがストーリー上何も影響を及ぼしません
ストーリーに触れるのでここからネタバレありで語っていきますが、まぁネタバレあってもなくても関係ないんよね。ぶっちゃけ
メトロでエゼキエルと初会合するシーン
日本と違って、反対車線の電車に乗ることすらNGっぽい描写がちょいちょいあったのに特に言及無
メトロでの傷害事件がキャシーのせいになって傷害事件の犯人扱いされたはずなのに、なんだったら明らかに（エゼキエルに殺されていなければ）警察官に顔見られているのに特に顔を隠すそぶりも見せないし、その後のキャシーの行動に影響を及ぼさない
タクシーを盗んで、すでに経験済み？と疑いたくなるくらい慣れた手つきでタクシーのナンバープレートをはずして走り回るけど、ナンバープレートって外した時点で違法じゃないの？でも誰も警察呼ばない
ナンバープレート外した車で普通に海外にだって行けちゃうし、海外から帰って友達の家に泊めちゃう
え？駐車場にイエローキャブ停めたの？海外行くとき
終盤救急車も強奪するけど、盗難届出ている様子もないし、強奪された救急車から無線入っているのわかるだろうに何も疑わずにヘリ手配するし
倉庫１個爆破して、救助ヘリ１機爆散させているのにそれもおとがめなしで笑っちゃう
もうがばがばすぎて途中から変な笑いでちゃう
エゼキエルがメトロでやったこと全部キャシーのせいにされているんだから埠頭での爆破事故だってキャシーのせいになっちゃわない？と思うけどね
そもそも謎の変態マスクの死体が転がっているんだから、そこもどうなんよって話ではあるけれども
で、謎の変態マスクこと
エゼキエルもエゼキエルで、少女３人の居場所突き止めるのに、わざわざ（相変わらずどうやって調べたか見せません）オペラを見ていたNSAの女性職員の隣の席を買って、そいつと良い感じになってベッドインして盛った後に毒をもってNSAの（なんか）システムのパスを聞き出した後に殺して
部下にNSAのシステムにログインさせて監視させる
いやーまず女性職員の貞操観念がばがばすぎでしょ、そんな簡単にハニートラップかかるような人間が採用される部署じゃないし、よくわかんないけどNSAの身分証ってプライベートでも持っているものですかね、そんな簡単に身分バレていいの？
そして、米国の暗部を担っているような組織のシステムをなんでエゼキエルが知っているのかすらかすむ話だけど、そんなシステムがインターネット経由でログインできるの
がばがばのガバすぎて頭ハッピーセットでしょ
んで、アクセスの不正検知すらしていないのもあり得ない
今時どんな小さい組織でも不正アクセスの検知しますわ
んで、友人の家に３人押し付けて一人自分探しの旅に出るキャシーもやばいけど
友人宅まで３人を送り届ける間をNSAの監視システムでキャッチできていないのもガバい
ナンバープレート外したイエローキャブとか特徴の塊でしょや・・・
んで、友人の義妹が破水したからって、ついていく３人も３人だし、パーカー着たくらいで顔隠した気になって普通に外みてて見つかるの本当にガバ
その程度の情報で居場所キャッチできるんだったら送り届けるときにキャッチするでしょー
この脚本作った奴は正真正銘の馬鹿だと思うけど、実はSSUの過去の駄作
モービウスの脚本と同じ人
なんで同じシリーズの他作品で大失敗した脚本家をまた採用するんや・・・
自分の感想見返してみたけど、マダムウェブと同じ欠点が書き連ねられてるし
マジでどうしてこうなった。ソニーやる気あるの？
キャラ描写が甘い
とにかくキャラクターのバックボーンが浅い。浅いというか中身がない
敵役のマスクの男エゼキエルは金持ちになりたくて、身重を押してペルーの奥地で幻のクモの研究をするキャシーの母親の（おそらく）護衛を買い、キャシー母がクモを発見したことで、キャシー母を含む現地スタッフ全員を射殺してクモを強奪
ウン１０年後実際に金持ちになる
んだけど、まずキャシー母とエゼキエルの関係性は最後までちゃんと説明されないし
金持ちになりたい理由も貧乏だったから以上の情報が開示されないし
しかも、”金持ちになりたい”のであって、”恵まれた人に復讐したい”わけでもないので動機がしょぼい
殺す必要なくない？っていうのもあるし、そのクモなに？っていうのもいまいち開示されない。クモを手に入れたことでどうして金持ちになれたのかも特に話さないし、
身なり良くなったねーくらいの金持ち要素しかない
キャシー母を殺してまで手に入れたかった金で何がしたかったのかを描く気がない
これは明確に描写不足です
マーベルズのヴィラン「ダー・ベン」と全く同じですね。
マイナーキャラなのに、バックボーンをスッカスカにしてしまったために全然魅力が感じられない
金持ちになりたいからキャシー母の研究成果を”殺して”かすめ取ろう
というのも短絡的だし
自分が３人の女性に殺される予知夢にうなされているから３人が誰かを調べて今”殺そう”というのも短絡的だしで
もしかしたら短絡的なキャラクターなのかもだけど、ただ、短絡的な要素もそこだけだから、思い返してみるとそうなのかもレベルで別にそこを強調するわけでもない
あと、雑だなーって思うのが、過去のエゼキエルも今のエゼキエルも同じ俳優が演じているんだけど、キャシー３０前後ナンスよ
ということは、エゼキエルが、過去でどれだけ若かったとしても２０代半ば
そうすると現代は５０代なわけですよ。
これを老けメイクなしで演じさせるのは、雑、手抜きといわれても反論できないんじゃないかな。
で、もっとひどいのはキャシーに保護される３人の少女
もうほんとスッカスカ
すっっっかすか
彼女らのバックボーンは、短い自己紹介のシーンでしか語られず
ただ純粋に、家族から引き離されても問題がない属性の持ち主である、以上のことがないんです
さらに、エゼキエルはコスチュームに身を包み、スーパーパワーを自在に操る未来の彼女たちに殺される予知夢を見るわけだけど
彼女たちがなぜスーパーパワーを手に入れるのか
それは本作の中では全く語られません。かけらも
どうやってこいつらに好感持てっていうんだ。
個人的に一番好きなのはいじめられっ子（自己申告）なこの子
なんだけど、ぶっちゃけかわいいから意外に特に理由はないです。
で、多分映画を見た人が全会一致で嫌いだと思うのがこいつ
親が金持ちだけど、金だけ与えられて愛を与えられなかったから不良ぶっている
んだと思うんだけど、性格は最悪だし
前述も含めすべてのトラブルの原因も彼女だし、臨月の女性に「スプラッターは勘弁」とかかなり失礼なセリフをはくしで、ここまで来ると逆に、味方側の悪い要素をすべて押し付けられているんじゃないかとキャストがかわいそうに感じるレベルでヘイトをためる言動をし続けて作中では特に改心もしない
最後の一人？うーん。あんまりとがったところもなくて印象ないかなー・・・
未来の彼女らはそれぞれ固有の能力を持っているようだけど、作中ではただの少女なので、特にアクションに幅が出るとかではないです
アクションのクライマックスのようで大したことのないシーンでだけ複数いる意味があったかな、程度ですね
最後にキャシーことカサンドラ・ウェブですが、彼女も唯一多少バックボーンが語られますが、描写不足ですね
死産に近い形で出産し、はてさてどうやってペルーの山奥からアメリカに幼児が帰国したんですかねぇはさておき、普通に成長して、普通に人を助ける仕事にしている
その際に、出産のときの事件によって植え付けられた秘めたる力が解放される
ちなみに、解放されることとエゼキエルは全くの無関係なので
彼女が溺死しかけなければ、エゼキエルは普通に３人を始末していたでしょうね
そのあたり、偶然に頼りすぎている感じは強くあります
そしてまた、彼女が３人の少女を守る動機も薄い
救急救命士だから？困った人を見捨てられない人だから？
どうでしょう？
キャシーのパーソナリティもしっかりと開示されていないし、
３人の少女の内面も全然つまびらかになっていないので
３人のどこがキャシーの琴線に触れたのか、キャシー側から見ても少女側から見ても、全然説得力を感じない
多分生まれる前の自分よりも研究を優先し、親に軽んじられた自分と
両親にほったらかされている３人を重ねてみてしまったんだろうなぁというのは
人間関係の構造上推測はつくんだけど
キャシーと母親の関係は、『そうではなかった』ことがわかるシーンでそういう風に感じていたことが推察できるだけで、３人と行動している間はそんなそぶりは見せない
モービウスの時もそうだったけど、複雑な人間関係を描写する才能がこの脚本化には間違いなくない。筆を折ったほうがいい
まぁこれでOK出した上層部もやばいけどね
能力設定の開示はちゃんとしましょう
ここも大問題で
エゼキエルとキャシーはどうして能力に目覚めたのか
同じパワーソースのはずなのに二人の能力に差があるのはなぜなのか
何ができて何ができないのか
の説明がめっちゃへたくそ
エゼキエルの能力はほぼスパイダーマン
壁に張り付く、多分怪力、つかんだものに毒を注入して殺す
の３つ結構ボコすか物にあたっていたので、スパイダーセンスは皆無
そして、おそらく未来予知はなく、あるのは自分の死の予知夢だけ
（クモの呪いと呼称されていた）
ダメージ耐性も相変わらずぐずぐずでしたね
空からかっ飛んできた救急車の体当たり（動かなければ当たらなかったのにわざわざジャンプしてあたりに行ってたのも笑っちゃった）
では無傷なのに、看板落ちたくらいで死んじゃうんだね。うけるー
キャシーの能力は未来予知と、アストラル体による分身？
なんだけど、どちらの能力も拡大解釈をしすぎている
まず先にアストラル体のほうを片付けるんだけど
大いなる力には大いなる責任が伴う、というスパイダーマンの名言をもじった
大いなる責任を負ったときに大いなる力が目覚める
とか多分考えたときは「俺いい事思いついた！」ってテンション爆上げしただろうけど
全然うまいこと言えてないし、伏線のはり方も雑だし、覚醒シーンとして本当にひどいもんでした
MCUのアストラル体は確か物触れなかったと思うんだけどねぇ・・・ポルターガイストくらいのことはできたけど、あんな質量のある残像みたいに人引っ張り上げて助けられるのはさすがにやりすぎでしょ
んで、それをぼうっと見ているエゼキエル、思い出したかのように無防備になっている本体をぶんなぐってアストラル体は消えるけど
触ったものに毒設定どこ行ったー
殴らずにさせば殺せたのではー
と相変わらず脚本がガバ
で、私が一番ないと思ったのが未来予知
未来を予知して回避する
なら全然いいと思うんです。リアルだと思ったら未来予知だった
という騙しもありだと思うんです
でも、エゼキエルとあってすべてを教えてもらう未来予知をしたので、エゼキエルに会いに行きません
とか、
ヘリが助けてくれる未来予知を見たのでヘリを呼びます
とか、
看板にエゼキエルが押しつぶされる未来予知を見たのでエゼキエルを看板の下におびき寄せます
とか、
因果関係逆転してんのよ
他人の行動にキャシーが介入することによって未来を変化させるのが、能力として強すぎない未来予知のあるべき姿だと思うのに
自分の行動を未来予知でキャンセルして知識だけ得るのは卑怯。それは未来予知ではない
そもそもifキャシーはなぜ勝手に行動するなと説教したにもかかわらずモーテルに３人を置いてダイナーに戻ったのか正当性のある理由がないし
そこにマスクを脱いだエゼキエルがいるのも意味不明
挙句の果てにキャシーに向かって秘すべきことを馬鹿みたいにべらべらと話すのももはやまともな精神状態で書いた脚本とは思えない
知りたいことは知れたのでダイナーにはいかない判断をしたとして、３人を置いて勝手な行動を”しようとしたキャシー”をなかったことにしようとするストーリーラインは非常に不道徳だと思う
ヘリの話もそう
本来は、なぜ、誰が埠頭にヘリを読んだかが大事なのに、キャシーがヘリを呼んでいる
回避する前の世界でなんでヘリが来たのか、という因果がすっぽりと抜けてしまっているのも、因果関係を考えるのをさぼった、と私はみなさざるを得ない
ここはせいぜい、埠頭にヘリが来ることを未来予知で知ったから
埠頭に向かいましょうとかそのレベルだと思うよ
こう、脚本チームはちゃんとキャラクターの能力をドキュメントにまとめているんですかね
スペックの上限を決めて、それを逸脱しないようにストーリーを管理したほうが絶対いいよ
最後に
思ったほど悪くなかったとか最初に言った割に
良いこと皆無、悪いところはたたけば叩くほど出てくる状態でさすがにちょっと申し訳なくなりますね
まぁある意味突っ込みどころがありすぎて、そこを突っ込むのが楽しい映画だった
とはいえるかもしれない
正直欲金もらってこんな脚本書けたなと思うし
金もらってこの脚本を受理したなと思う
なぜこれがダメだと誰も言えなかったのか
おかしいと誰も言えなかったのか
MCU初のミステリ作品らしいけど
そこが一番のミステリーじゃないですかねー
今回はあくまで「マダムウェブのオリジン」といわんばかりに
３人のスパイダーガールのオリジンを書くことをかたくなに拒否していたけど
こんな出来で、こんな脚本化に仕事を発注して何も思わない制作に次回作を作るチャンスきますかね
絶対来ないと思うよ
マダムウェブというキャラクター自体は可能性の塊で、敵ももうちょっと弱くした上で
不幸な未来を回避することにのみ未来予知を使っていけば、全然面白い作品になったはず。
キャプテンアメリカ・ウィンターソルジャーに匹敵するようなシリアスな傑作になる素質は絶対にあったと思うんだ
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未来から知識だけを取ってくるとか、良い未来が見えたからその通りにする（結局ヘリ爆散したから未来予知失敗していることになるけど）とか、無駄に手広く能力解釈したのは完全に失敗目も当てられない
貴重な原石をゴミに変える本当に駄作でした
