Let Life Loose

映画、漫画、革のブログです

よくぞこのテーマで作ったと思うからこそ手放しに称賛できないんです【#仮面ライダーオーズ10th復活のコアメダル】

私、平成ライダーでどれが一番好きか?って言われると

迷わず「オーズ!」というくらいにはオーズ好きなんですよ

小林靖子脚本の

明るいのではなく達観した主人公 火野映司 と

利害関係で結びついた敵の一人 アンク

映司にに嫉妬し空回りし続けた後藤さん

そんな後藤さんの活躍を急に登場して奪ってヘイトを稼ぐと思ったら

あっという間にチームオーズのメンターとしてのポジションを確立し

ファンの心をぐっとつかんでいった伊達さん

 

脇を固める俳優も個性的

グリードたちも個性的

 

前年のWに続き、楽しいだけじゃない

人間の暗部を暴き出すようなシナリオに興奮したもので

 

アマゾンプライムで無料公開されていた時は

奥さんと一緒に1日1話見たりして

 

最終話のアンクと映司の悲しくもすがすがしい別れ

そして、その後の映画での客演で、いつの日か、必ず復活するアンクの未来

 

そういったピースを巻きながら

10年の時を経て、アンクの復活を描く本作の制作が発表されたとき

まぁ割と期待と不安が入り混じった空気だったと思うんですよね

期待値が上がりすぎている自覚もある

脚本が小林康子さんじゃない

という不安

それでも脚本を任された毛利さんも信頼できる脚本家さんで

なんにせよオーズという物語の終着点を見せてくれる

そのことへの期待を胸に、公開を待ち望んでいたわけですが

 

なんとか時間を作って見に行ったわけですが

うーん

賛否両論な理由もわかったし

論点についていえば賛よりである自覚はあるものの

総評としては否だなぁという何とも歯切れの悪い感想になってしまいました

 

ということで、ネタバレありでがっつりと語っていきます

既に長くなってしまったのであらすじも飛ばします

 

 

扱った題材については勇気ある選択で支持をしたい

本作で一番衝撃的だったのは

やはり主人公 火野映司 の死でしょう

 

なんでこんなことをしたんだ!

と憤る気持ちもわかるし

まぁ私自身正直もっとハッピーなエンディングを期待していた気持ちもある

 

その反面

あの火野映司の結末がただただハッピーなだけで済むわけがない

という東映からのアンサーもわかる

 

そして、あえて賛否両論を覚悟して作ったであろうからこそ

彼が死に至る理由についてはすごく丁寧に作っていたなと思うんです

 

あの日届かなかった手が、届くとわかっていて伸ばさない彼ではない

タダで手に入る命などないからこそ

彼は命と引き換えに、女の子と、そしてアンクを助けた

 

アンクはどうやって生き返った?

という命題に

火野映司の命を対価とした

というのはなるほど一つの解だなと思ったわけです

 

また、本編のアンクとヒナちゃんの兄 泉信吾 の共存関係をベースに

映司と人造グリードの ゴーダ そしてある種の二人の関係性の到達点のような

アンク in 映司の憑依状態に持って行ったのも

見たいもの、見たいとは思っていなかったが見れて感動できたのも良かった

本編と同じく、最強ではないものの最重要フォームとしてのタジャドルの進化系

タジャドルエタニティも、

ただのコンボフォームからアンクの意匠をうまく取り込んだ非常に秀逸なデザインでそういった点で見たいものが見れた

その点非常によかった 

 

が、かといって本作が非常によかったかといわれるとどうしても私は手放しで喝さいを上げることができなかった

映司君回り以外のシナリオの出来がぐずぐずすぎる

ある意味いつもの仮面ライダー映画といえばそれまでなのですが

映司君回り以外の部分そのすべてがあまりにも雑

映司君の死を描くのであればもっと丁寧なシナリオ運びをしてほしいのに

作中で起こるほぼすべてのことに理由がない

 

説明不足が過ぎる

映司が自分の命を代償にアンクのコアメダルを復活させたロジック・不明

800年前の王が復活した理由・不明

王と一緒にグリードも復活した理由・不明

その中にアンクが含まれなかった理由・不明

アンクのコアメダルが変化したロジック・不明

 

全部全部説明がない

正直言いだしたらきりがないけど、復活した王が世界を征服するのではなく滅ぼそうとしているのについてもよくわからない

ロジックがない

全てにおいて

アンクが復活した理由だって、簡単なものでもいいんですよ

映司君の欲望の大きさに反応したとか

本編公開時に取り込んでいた大量のセルメダルの残りかすが映司の命を燃やしてアンクのコアメダルをつなぎ合わせたとか

ミラクルが起きるには、起こすだけの下地が必要だと思うんです

タジャドルエタニティだってそれくらいのエッセンスでもいいと思うんですよ

映司の欲望が注がれて変化したとか

そういった意味では、もうちょっと映司を古代の王と対になるような秘めた力があるような描写があっても良かったかも

 

王の復活の理由について些末なことと語らないのは最悪良い

彼は封印されていただけなので、何かのきっかけで封印が説かれることもあるのでしょう

でも、アンクの復活をこれだけ神聖なものにしたのであれば

ノーリスク、ローコストでそのほか4体のグリードが復活してしまったのであれば

その価値が薄れてしまう

グリードの復活というのがどれほどの奇跡なのか

そこはしっかりと考えたうえで話を組み立ててほしかった

そこがふわっとしてしまっているから

アンク以外の4人だけ復活するという謎状態になってしまっている

ぶっちゃけ、誰が復活させたか、というのもあいまいなんですよね・・・

王が復活させたんでしょうけれども

王が能動的に復活させたのか、王の復活に伴い自動的に復活したのか

個人的には、アンクの復活を特別なものにするために

4人のグリードは”新造”すべきであったと思うんですよね

姿かたちは同じでも記憶は引き継がない

復活することは容易でも、”あの”アンクでなければ意味がない

のであれば特別感と、それに至るまでの困難を表現することができる

まぁ過去作で新造グリードはやっていますけどね

 

belphegor729.hatenablog.com

 

ゴーダ周りの設定ふわふわさせすぎ

私、キャラクターとしての鴻上会長は好きだけど

物語の駒としての鴻上会長はとても嫌いなんです

 

なんでかっていうと、意味ありげに登場しておいて、彼は本筋に全くかかわらない

かかわるべきところでかかわらないということに気が付くと

ものすごくフラストレーションの溜まる存在に変化するんです

特に、本編後の客演等ではその傾向が顕著で

本作は彼の道化っぷりが極まってしまったなと、不快感すら感じました

 

だってさ

ゴーダって人造グリード生み出したのはいいけどさ

彼で何がしたかったんだよって話なんですよ

多分Answerは「作りたかっただけで何も考えていない」

だと思うんだけど、私はそのアンサーを許容できない

 

なぜなら、ゴーダが何をしたかったのかも非常に雑なんだけど

それは多分に鴻上が目的意識をもって彼を生み出さなかったことに起因していると思うんだ

目的をもって生み出されていないから、行動に一貫性がない

映司の欲望をかなえるために行動すると言いながら

映司の欲望が何かについては全く言及しない

理解しているのかどうかすら画面上からは分からない

 

だから、古代の王を撃破した後に、ふわふわと力を求めてしまう

彼が力を求めた先に何があるのかも

力を得て何がしたかったのかもわからない

 

語られないまでも、理解の一助となる何かがあるべきでそれがあるからこそ世界が広がっていくはずなのに、画面からわかる情報量が少なすぎて

小さく小さく、作品内でちじこまっている

 

もういい加減さ、鴻上会長を「とりあえずハッピーバースデイ言わせておけばOKおじさん」みたいな扱いするのやめようよ

せっかくの魅力的なキャラクターが陳腐化しちゃうんだよ

 

復活した古代の王についても設定があまりにも雑で

彼がなぜプトティラのコアメダルを取り込んでいるのか

というか、彼のコアがなぜがプトティラなのか

 

メダルを破壊できるのはプトティラだけ、という設定からの逆算なんでしょうけど

古代の王のコアメダルがプトティラなのであれば取り出されてますやんだし

じゃあゴーダオーズは何を切って破壊したんですかねぇって話だし

あ、そういえばプトティラしか破壊できないはずのウヴァのコアメダルを腕力でゴーダ破壊しようとしていたな・・・

 

ついでに人造コアメダルの話するならもっとエビカニサソリの話しようぜ

こっそりバースXの変身に使われているけど、ゴーダの前身になるわけだから

そこら辺をもう少し言及してもいいじゃん?

まぁネットムービーの前日譚が、「これちゃんと本編に入れろよ」っていう声をよく聞くのでそこで言及されているか

今後公開予定のバーススピンオフで語られるのかもだけどさ

 

ついでに言うと、バースXの活躍もひどいもんでしたね

せっかくグリード幹部4人とも復活させておいて、

ウヴァだけ戦わせて残り全員ウヴァと一緒に退場させちゃったから

残っているのが、オーズが虐殺された古代の王と

そしてその古代の王を弑逆したゴーダしか残っていない

バースXがちょうど倒せるラインの敵がもういないんだよね

魅せ方がひどい

 

結局さ、60分でオーズを終わらせようとするのが土台無理だったんだよ

ということに尽きる

時間が足りてないんですよね

動画配信サイトへ誘導したくて前日譚とか作ったんでしょうけれども

前日譚分の時間とお金を本編に回せば

もっとじっくりと脚本も作れたはず

毛利さんはもともと評価の高い脚本家ですし、ここまで穴の多い脚本にはならなかったと信じてるんです

 

そういった意味でも、”火野映司”という個人の最後を描くのであれば

そういう商売っ気を排して真摯に作ってほしかった

そう思わずにはいられないです