………春は、本当に死んでしまったんですね…
今連載中の次作がこの前アニメ化も決定した小西明日翔さんの短編作品
一コマ目から、最愛の妹の死から始まる本作は
その強烈なインパクトそのままに
常に負のオーラを漂わせながら話が進んでいきます。
妹の春に生前頼まれ、婚約者の写真を棺に入れる姉の夏美は
その後、その婚約者と付き合うことになるのだから
妹の婚約者は、ぱっと見のイラストからも記号が見え隠れしますが良家の人間であり、
妹との婚約も政略結婚の意味合いが強い。
それでも妹は婚約者のことを本当に愛していて、
しかし妹が死んだあと、その代わりを務めさせられたのが姉の自分だった。
夏美は複雑な家庭事情からか妹を溺愛しており、半ば彼女のために生きていたような人生で
最愛の彼女を失ったうえ、その彼女の最愛の人と付き合わされる。
妹の影におびえ、罪悪感に押しつぶされれそうになりながら自分の役目を全うする姿に心が押しつぶされそうになります。
いきなりの1話タイトルイラストでこれですからね。
不穏が過ぎる
そのうえで・・・
彼女は妹の婚約者である冬吾さんに
「春とデートしたところに連れて行ってほしい」
という条件を付けます。
1巻は、冬吾と夏美が、春とのデートコースをなぞっていきながら、生前の夏美が春を思い返す内容になっています。
表面上はサバサバとした夏美が、その心の中でコールタールのようなどろどろとした感情に沈み込みもがき苦しんでいる。
その人間描写がとても素晴らしいです。
読んでいるこっちが追い込まれていくような圧倒的な負の感情
たたきつけられ、押し付けられ、一緒に押しつぶされていたところで
夏美に隠していた冬吾の秘密が明かされ
生前の春の隠していた思いが夏美の目に留まったところで1巻が終わります。
いや、これ単行本追っかけてたらたぶん気が狂ってるわ。
2巻が待てなくて
本当に、1巻ですでに起承転結が出来上がっているくらいクオリティが高いのに
2巻からは慮ることしかできなかった春の感情が つまびらかになります
春と夏美、そして冬吾の、1巻では仮面をかぶっていた3人のむきだしでどろどろとしたナマの感情が
うねりあい、ぶつかり合い、混ざり合ったうえでのラストは
それが想像通りのものであったとして、
あるいは意外なものだったとして
それに至るまでの過程を、感情のうねりを一緒に体感しているので
すっきりとしたすがすがしい感情を共有できるのではないかと思います。
特に夏美と冬吾、それぞれがそれぞれの家族と会話するシーンは涙で前が見えなくなるほどでした
春がすぎ夏を経て
秋が過ぎ去り冬に至る物語を是非読んでほしいです
てか実写化していたんですね
うーん、微妙そう。DVDがアマゾンにないっていうことは、そういう評価なのかしら