諸事情があり、絶対見ないとと思っていたんですよ
映画 ブルーピリオド
諸事情により、上司から単行本を全巻渡され
諸事情自体は残念な結果になってはしまったものの
もともと途中まで読んでいたのもあり
単行本を読みながら、映画の公開を待っていたんですよ
公開初日・・・はさすがに無理でしたが
初週の土曜になんとか時間を確保
しかし、初週にもかかわらず、最寄りの映画館では一番小さい箱
公開初週で一番小さい箱ってどういうこと…?
— べる (@bel729) 2024年8月10日
ドン半なのか彗眼なのか#ブルーピリオド pic.twitter.com/B8YzySezBc
確かに今はヒロアカかもしれないけどさ・・・1日1回くらいもっとましな箱使わせてもらってもいいじゃんよ・・・
扱いの悪さに、ちょっと不安も感じたのですが
いや、いやいやいや、名作でしたね
実に良かった
見てよかったですよー
ということで、ネタバレそれなりな感じでゴリゴリ語っていきます
ざっくりあらすじ
なんでもそつなくこなしているが、何にも本気になれない矢口八虎は
ある日たまたま美術部で見た1枚の絵に心を奪われ
その衝動のまま書いた美術の課題に手ごたえと充実感を感じたことから
美大へ進むことを決意
努力と挫折、そして友情をはぐくみながら
難関大学である東京藝術大学を受験する
といった感じ
キャストがバチっとはまっていた
本作の一番の強みはここかな
まず最初に、やっぱりユカちゃん演じる高橋文哉が完ぺきだったのが、ニチアサファンとしては感慨深い
この公式ビジュアルあんまりよくないなぁ・・・劇中ではこの3倍はカワイイ
体つきが男であり、女であり、どっちにも見える感じがマジでやばくて
足ほっそい、手もほっそい、顔もめっちゃ可愛い
でも声は男、肩幅もある、この絶妙なバランスが、ある意味で原作のユカちゃんよりもユカちゃんらしいというか、リアルが際立っていて素晴らしかった
公式HPのコメントで「ユカちゃんとの境界が無くなるくらい追い込んだ」という
120%の演技に脱帽
ゼロワンでも自分追込んでたもんなぁ、、、
そして、アニメのように、あるいは、翔んで埼玉のように
そもそも女性をキャスティングしてしまう
という手もあったかもしれないのに、ちゃんとジェンダーの問題を真正面で向き合ったこのキャスティングはマジで正解だったし
高橋君も一つ扉を開いたんじゃないかな
個人的に一番好きだったのは予備校の先生を演じた江口のりこさん
✐☡ 𝗖𝗛𝗔𝗥𝗔𝗖𝗧𝗘𝗥
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🎨大葉真由 / #江口のりこ
🖌八虎たちが通う美術予備校の講師
美大・藝大受験の過酷さを
知っているからこそ
ブレることなく明るく生徒たちを励まし、
彼らの成長を支えていく。#映画ブルーピリオド
🎬8.9(金)公開 pic.twitter.com/KxsaDm4LPR
本人連れてきちゃだめよw
あとは、出番少なかったですし、ちょっと原作とはタイプ違うかなぁとも思うんだけど
森さん好きなんですよね
実写の森さんも凄くかわいかった
そして、やっぱり一番は主演の眞栄田郷敦
目地からが素晴らしかったですね
序盤のやる気のない目
早朝の渋谷の絵を褒められて何かに火が付いた目
一心不乱に絵を描き続けるときの目
何よりも、どんどん八虎とシンクロしていって
どんどん彼が絵画にかけている情熱がリアルに見えていくところ
本当にそこが素晴らしくて
最終的に完成した絵がご本人の絵かはわかんないですが
でも制作過程は間違いなく彼らが手を動かしているので
そこに演技ではない情熱を感じられて、そこにグッときましたね
シンプルに友情が熱い
なんというか、もろもろはぎ取ったら
努力・友情・勝利!
というジャンプマンガみたいな内容なんだよなぁと思ったりして
矢口八虎がいろんな人に支えられながら美大への道を突き進んでいく王道の青春ドラマなんですよね
それを強く感じたのが、
八虎と不良仲間の恋ヶ窪とタルト食べているシーン
✐☡ 𝗖𝗛𝗔𝗥𝗔𝗖𝗧𝗘𝗥
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
🎨恋ヶ窪晋 / #兵頭功海
🖌八虎の悪友仲間
八虎の変化にも敏感に気づく
繊細な性格の持ち主。
実は心の内には“意外な進路希望” が…
#映画ブルーピリオド
🎬8.9(金)公開 pic.twitter.com/GGNprQfald
私ここで不覚にもぼろ泣きしまして、自分でもなんで涙が止まんないのかわかんなかったんだけど
まぁ純粋に、八虎以外にも、不良しつつも不完全燃焼なやつがいて
そんな奴の心に、気づかず八虎が火をつけた
何かに真剣に取り組む人の姿に、周りの人も感化されて、いい影響が広がっていく
そして、いい影響をもらったから、行き詰って苦しんでいる、せっかく心にともった火が消えそうになっている八虎に
八虎につけてもらった自分の火を分けてあげる
恩返しみたいなシーンだなぁと、凄くシンプルな感動をもらったんだなと
そんでまた、この恋ヶ窪を演じるのが、地元でロケがあったってことで私が昨年結構肩入れしていたドラマ「下剋上球児」でエースピッチャーを演じていた兵頭くん
戦隊の追加戦士ですねー
この時は優等生だったのに、今回はオールバックの不良
多分撮影自体はほぼ同時期だったと思うんだよね
下手すりゃ下剋上球児の方が後だったんじゃないかな
いい演技をされていました
そして、友情という点ではやっぱり八虎とユカちゃんも見逃せない
付き合い自体は短くないのに、美術という接点ができてから
ただ変な奴としか思っていなかったユカちゃんの内面の葛藤・苦悩に目が届き始めて
そのたびに二人の関係性がどんどんエモくなっていくのが非常に良かった
またヌードの高橋君がエッチなんだ
本当に役者として一皮むけたよなぁ
と、話がそれたけど、あの小田原の海のシーンも
八虎にとって、ユカちゃんがそれくらい大切な友人になっていた
というのもそうだし、
美大受験がただ練習だけすればいいのではない
というクエスチョンに対して
ユカちゃんを助けたからこそ得られたアンサーで2次試験に臨んて行く
というのもストーリーの構成として素晴らしかった
八虎とユカちゃんの関係性って流動的で凄く面白いんだよね
最初は八虎にとってのメンターだったはずのユカちゃんが
八虎が自身のパーソナリティを肯定するツールとして美術にのめり込んでいくのに反比例するように
ユカちゃんはどんどんパーソナルに追い詰められて、美術が好きだったことすら逃避だったと気付いてしまう
入れ替わっていく関係性が恐ろしく、そして面白かった
だからこそ、お互いの関係が完全に変わってしまった大学編ではユカちゃんについて語ることが無くなってしまい、エピソードが激減していくんだよね
八虎にとって次のフェイズに行ってしまい、ユカちゃんとの関係は、語れる強度を失っていくというか
RPGでの最初の街の住人みたいな、そういう関係性がベースにある気がする
楽曲も素晴らしい
結構劇中で盛り上がるタイミングで
いい感じに挿入歌が入るのだけど
挿入歌の使い方下手だなぁ・・・と感じる清雅を最近見てしまったのもあり
歌が登場人物のメンタルとシンクロして使われているのが非常に良かった
何よりもエンディングですよ
八虎はこれからもひたすら絵を描き続ける
上手くなりたいという衝動に突き動かされながら
そんな彼を100%表現したような歌で、
そして映画の終わりからEDの挿入の仕方も凄くばっちりで非常に良かった
気になるところもちょこちょこ
まぁ全部が全部良かったわけじゃなくて、ちょっと、うーんとなるところもなくはなくて
一番気になったのは、エピソードとエピソードの間をかなり雑につなげていること
こう、シームレスにエピソードがきりかわっていくことがほとんどなくて、ぶつ切りのエピソードをただ繋げただけ、という切り替わりが非常に多かった
ただどうなんでしょうね。違国日記でも葬だったから、邦画だとそういうものってことなのかしら
あと、原作準拠なので、原作に言うべきことなのだけど、うーん
お金がない設定必要かなぁ・・・学費がかかるから東京芸大しか行けない
はわかるけど、でも予備校に行くお金はあるんだ・・・
みたいなね。予備校の学費もえぐいと思うんだよな、普通の予備校よりも
それをお母さんに隠し通せるか?というのも疑問
ちょこちょこ原作読み返しているけど、まぁ父親がかなりいい人に改変されているので
映画の父は原作の父よりも親身に相談に乗ってくれそうではあった
最後に
ただまぁ、やっぱり、長い原作を2時間にまとめるために
それなりにエピソードの取捨選択はしてたよなとは思うんですよね
ちょっと読んだの1年前なのでかなり記憶があやふやですが
よたすけくんはそのあおりを食ってそう
美術部もかなり削られてないかなぁ
ただ、読み返してみたら違う意見が出るかもだけど、
少なくとも違国日記よりは、大事なエピソードを漏らさず、そして改変せずにいたんじゃないかな
特に、同じジェンダーに関する問題を扱っているエピソードについては
そのあたり非常に誠実に触れていたと思う
ブルーピリオド
映画化した部分も傑作なんだけど、美大編はマジでここを超えてくるので
出来れば続きを見たい
とは思うものの、美大に行くとよりエキセントリックなキャラクターが増えていくので
キャスティング大変そうだなぁ
ユカちゃんも美術から離れるからどんどんフェードアウトしていくんだよね
まぁなんにせよ、できればこのキャスティングで先を見せてほしいと思うくらい
良い映画でした!
どうでもいいけど、八虎ままが石田ゆり子なのはなんとなく気が付いたけど(とはいえあの疲れメイクは凄い)八虎パパがずんのやすだったの、なんか意外過ぎて全然気が付かなかった・・・