宵闇幻燈草紙は明治から大正辺りの、
まだ文明開化の明かりが怪奇の闇をすべては払いきれていないような時代
やぶ医者の京太郎が
ひょんなことから怪しげな古物商の美津里とであい、
気に入られて様々な怪事件に巻き込まれる。
といった内容です。
そのなかで、荒事に強い寅蔵であったり
別の作品の主人公である魔法使いのジャックとそのお着きのジュネだったりという人の枠を越えたものたちの騒動にに巻き込まれ
(ものすっごく字が小さくて情報量半端ないなかがきもこの方の魅力)
人の身でできることの少なさに焦り、人のみを越えたものたちに焦がれ、嫉妬し、悟ろうとするも悟りきれず…
といった、怪奇事件を通して変化していく京太郎の心境が一つ物語を楽しむポイントです。
とにかく京太郎がよい。
基本的にくずです。やぶ医者ですしね。
でも、そのくせお人好しだから分不相応な憐憫を持ってしまって手に終えなくなり、そのさまを見て楽しんでいる美津里が最後に手助けをする。というパターンが多いですが、
ここで、人と人ならざるものの慣性の違いなんかをうまく表していて、またそこに京太郎が反発する。
しかし憧れも心のそこで溜め込んでいてブスブスと燻っている。
恐らく医学を目指そうとしている辺りそこそこ頭も良く、またプライドも相応に高いのですが、人並みを外れた世界を知ってしまった感情は、誰しもが共感できる物があるのではないかな?
特に中二病にかかった人なんかは。
脇を固める人物たちも、上で紹介した人たち以外もネジが外れたものばかりでとても個性豊か。
え?あなたレギュラーキャラなの?なんて再開もあったりして、キャラの配置のしかたも絶妙に上手いのよね。
個人的にはかなり急に終わらせた印象なので、是非とも続きを書いてほしいんですよねぇ。正直ここで終わるにはもったいなさすぎる世界観です。
作者の怪奇ものをやる上で古典に対する知識が尋常ではなく、キャラ設定のクオリティだけでなく話一つ一つのクオリティも高いです
私が一番見事だと思ったのが
5巻に収録されている「みつつぼ」と言う話
この話が見事で、日本の狂言とクトゥルー神話を見事に融合させています。
始まりはいたって普通な 附子と言う狂言なのですが…
是非この結末は漫画で読んでみてください。
また、3巻から4巻にかけて丸々とある漁港が舞台となるのですが、まぁあれですね。出てくる人みんなインスマス顔です。ふたぐんとか言い出すし。恐らく最終的に目覚めようとしているのもあれですね。あれ。
この2巻かけたストーリーは、日本を舞台としたクトゥルー神話の物語としてもかなり秀逸で、クトゥルー神話関係をまとめたた書籍でも関連作品として紹介されています
まぁ、最終的にはスーパーロボット大戦になるのですが。
この方今スパロボの漫画描いてますからね。
スパロボの趣味が合いすぎなんだよなぁ
スーパーロボット大戦OG -ディバイン・ウォーズ- Record of ATX 1 (電撃コミックス)
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外伝になるのかな?
ジャックとジュネが主人公の二作も、こちらはがっつりファンタジーをやりつつ、やはり人智を越えた人間の少しずれたドライな感性を楽しむことができる逸品です。
特に後編の塊根の花は、ジュネの過去が少し彰かになり、また彼女も人の枠を外れたものだと言うことが解る、ゾッとするけどゾクゾクする物語となっています。
FGOで、1.5章「セイレム」が物足りなかった方は是非読んでもらいたい。
絶対楽しいです。
漫画の方のセイレムは好きな漫画家さんだし楽しみではあるんだよな。
あとは、にたような作品だとクランプの「xxxholic 」がありますね。
女古物商に男が気に入られて巻き込まれていく辺りも結構にている。
読者層が違うのでこちらは大分エログロ寄りですが、怪奇は耽美なものとも相性がいいですし、holicがすきなかたはかなりはまると思いますよ