大好きな映画監督の今敏監督作品が去年からリバイバル上映されていまして
まず映画監督デビューのパーフェクトブルーが上映され
そして1/19日から「千年女優」が2週間限定で上映されます
いやぁ、千年女優
2002年、今から22年前の作品
私まだ高校生ですよ
高校の頃は映画とかトンと興味がなく、
多分今敏監督はBSアニメ夜話で知ったんですよね
(岡田斗司夫アンチになってからこれを改めてみるとイラつくなぁ・・・)
これで初めて今監督を知ったので、パプリカよりも千年女優が好き
千年女優の万華鏡のような前のシークエンスと次のシークエンスがシームレスにつながっていく虚構が発展してより洗練されたのがパプリカの”夢”だと思うんですけど
粗削りで荒々しい感じが凄く好き
そして、わか千代子さんが本当にかわいいんよなぁ・・・
老千代子さんも壮年千代子も凄く素敵で、ある意味で、女優「藤原千代子」の魅力に心を持っていかれたからこそ今監督作品で一番好きなのかもしれない
語りたいこともっとあるんだけど、そんな20年前の名作が、スクリーンで見れるこの機会は本当に貴重な機会を逃してはいけない
と、正直最近めちゃめちゃ忙しいんだけど、なんとか時間を作ってみてきましたよ
マジで時間を作ってよかった
もう初手で千年女優のタイトルが出た時点で目頭が熱くなり
平沢進の音楽が劇場の音響で聴ける幸福に酔いしれる
今はもう絶滅したといっても過言ではないアナログ原画の質感
クライマックスに至ってはもう嗚咽で呼吸が、呼吸が・・・
映画が好きな人は本当に、本当に見に行ってほしい
多分一番とっつきやすい今監督作品は「東京ゴッドファーザーズ」だと思うんだけど
でも、そこが入り口でいいし、多分多分次のスケジュールは東京ゴッドファーザーズだと思うんだけど、そのあとサブスクとかで千年女優を見たときに、絶対劇場で見なかったことを後悔する
まず私が今パーフェクトブルーのリバイバル上映を見逃したことを後悔しているから
ぜひ見てほしい
最後に、最後の解釈その2
どうしても語りたいラストのシーン
すでに過去の感想で語っていたんだけど💦
改めて今回見直して、もうちょっと違う解釈もあり得るのかなってちょっと思いました
劇場で見る前の感想は
個人的には、鍵の君なんてとうにいない、そんな事とっくの昔にわかっていて
それでも生きていかないといけない、女優を続けていかないといけない自分を奮い立たせるためのキーワードだったんじゃないかなぁと思うんです
だったんだけど、
奮い立たせると言うにはあまりにも穏やかだなとも思ったんです
もしかしたら、そういう心境、境地に至ったのは今回のドキュメンタリーを撮ったからなのかもしれない
どいう言うことかというと
藤原千代子はインタビューを受けるまでは、「あの人を追いかけてる私」は好きではなかったと思うんです
鍵をなくして、鍵の君を追いかけることに疲れて
北海道への逃避行で”本当は”何を見たのかわからないものの
引退の理由を、「老いた自分を鍵の君に見られたくない」と語る彼女は
もう自分の人生に誇りとか、信念とかそういったものをすでに失っていたと思うんですよね
そういった、まっすぐな思いを見失い、静かに暮らしていた30年は間違いなく「あの人を追いかけていた私」の否定であり、だからこそ、立花から話を受けるまではインタビューもすべて断っていた
「あの人を追いかけている私」が好きなら、そんな私を肯定してきていれば、インタビューなんてバンバン受けているし、むしろ追いかけるために、老いた自分すら銀面で魅せ続けていたと思うんだ
でもそうはしなかった。「あの人を追いかけている私」に疲れはて
30年ひっそりと暮らしていたけれども
自分の死期がそろそろ見えてきたあたりで、あのカギを手にインタビューの依頼が来た
その話を受け、自分の半生を語りながら整理していくことで、辛く投げ出してしまった自分の半生を、30年の時を経てやっと、改めて肯定することができたんじゃなかろうか
そして、実は鍵を大事に保管してくれていた立花が自分を生かしてくれていた
そんな奇運にも心を動かされた結果があの言葉なのかなと
死後鍵の君に会えるかなんて、絶対にわからないじゃないですか
死後がどんな世界が誰もわからない
何もしてこなかった30年のブランクもある
(実際は叶わぬ夢だったと立花だけが知っていましたが)
そんな死後の世界であっても自分は2度とくじけない、立ち止まらない
鍵の君に会えない可能性におびえず(「どっちでもいいのかもしれない」)、追いかけていく自分を今度こそ肯定する
そういう意味での「あの人を追いかけている私が好き」なのかもしれないなぁと
しょこたんの言う通り、鍵の君を追いかける人生、辛いことも多かったけど、追いかけている間、ソコに充実感はたしかにあったのだ、輝いていたのだ
そんな、隠棲する中で風化していった思いをドキュメンタリー撮影で振り返る中で、取り戻していった映画だとしたら
そうだとしたら、藤原千代子さんの人生に、このドキュメンタリーが持つ意味がより深まるし
鍵の君を追いかけ続ける人生は苦しいことも多かったろうし、結局最後まで鍵の君に会えなかった、ある意味で徒労に終わったという見方もできてしまう彼女の人生が、会えたかどうか、会えるかどうかは問題ではない、
そして、そう思わせてくれたのは立花さんと死の直前に合うことができたからだ
そういう組み立てだと、すごいいいハッピーエンドなんじゃないかな、と思った次第です
まぁ、アニメ夜話に出演した脚本の人は嘘と本当の狭間を見せたいと言っているので多分違うんだけど、その狭間の中で藤原千代子の人生に思いを馳せてほしい、想像を膨らませてほしいとは絶対思ってると思うんだよね
なのでこれでよいのだ
今新しい解釈が思いついた
千年女優という映画の世界が更に広がった
それだけでもリバイバル上映を見た価値があった