最近ロキ・ゴジラVSコング・FGOと期待していた作品に裏切られ続けていたのもあり
良質なストーリーに飢えていたようで
チェンソーマンの藤本タツキ先生の新作にいたく心をつかまれてしまいました。
安易なタイムリープ物と思わせて、その実偶然の重なりで成長していく少女たちを描いた傑作だなと思いまして。
140ページと結構なページ数ではあるのですが、大胆なコマ割りが多くページ数ほどの情報量ではないのでするする読めます。
情報量を詰めることよりも、それだけのページを使ってとにかく繊細に、一定のリズムで時間の経過を描写していて、読む人の店舗をうまく誘導していると思うんですよね。
特に、参考書だったり、連載作品の巻数だったり、物が増えていくことで進んでいく時を表現していくのとても好みの演出なんだよなぁ。
そして、本作に登場する2人のキャラクター
藤野と京本のキャラ設定がいい
藤野は確かに絵はそこまでうまくないんだけど、ストーリーが抜群にうまい
個人的に、2個目の四コマの、奇策士ミカのオチは純粋に「すげぇ」と感心してしまった。
逆に、京本は有り余る時間をもとに絵は抜群にうまいんだけど、うまいだけで中身が全くない
物語る力がある藤野と、絵だけうまい京本がお互い影響しあって最終的にコンビを組む流れもめっちゃいい
京本に尊敬の目で見られて、その場ではすんっとしているけどまるで今までの努力が報われたかのように雨の中踊りだす藤野可愛いよね
敵だと思っていた子が一番のファンだったんだもんね。そりゃ嬉しいよね。
そして彼女を倒そうと思って頑張ったことも無駄じゃなかったんだもんね。最高だよね
学生のうちに藤野が結果を出して高校卒業と同時に連載をとれたのも、藤野のアイデアを短時間で形にできる京本のおかげなんだろう。
そして悲しいかな。藤野の言う通り、京本がいなくても藤野の漫画は成立する。
まぁだからこそ京本は藤野のもとを離れて絵が抜群にうまい、というタレントを伸ばすために美術学校に進学するのかもしれないね。
京本がいなくても漫画が描ける藤野と同様に
藤野以外のところでもその才能が評価されるはずの京本
物語らなくても、例えばジブリや細田監督、新開監督の作品はその美術スタッフもすご
く評価されてるし、きっと京本もそういう人たちの一人になったんだろう。
でもそうはならず、多くのアニメファンのトラウマを深く深くえぐる展開を持ってくるんだけど
個人的に救いだなと思ったのが、藤野に外の世界に連れていかれなかった京本も
背景美術の仕事にあこがれて大学に通い始めたこと。
あの下りは、あったかもしれない未来を描くシーンのようで
実は藤野の罪悪感を洗い流す役割だったのかな、と思うんですよね。
外の世界を藤野に教えてもらったから大学に通おうとしたのではなく、絵が好きだから大学に通おうとしただけ、その選択に藤野は介在しておらず、だから罪悪感を覚える必要はない。
勿論、そんなイフの話は藤野には分からないのだけれども
それでも、二人が出会ったことによって生まれたシャークキックの続きを京本が楽しみにしていたことだけは確かで
漫画を一緒に書きながらいろんなところに旅もした京本が
藤野と出会わなかったイフと比べてどちらが幸せだったか
藤野はどうして漫画を描き続けたのかを思い出し
漫画を描き続ける決意をしたんですよね
余計なセリフを排し、絵だけですべてを語るラスト数ページは圧巻
本当にいい作品でした。
多分12巻を墓前に飾るんやろうな。でもそこまで語らない余韻が好き
アニメも新作も楽しみです
タイトルの『ルックバック』はもちろん背中を追うことであり、過去を追憶することであるわけだけど、そこに1コマ目右上のDon'tと最終コマ左下のIn Angerが加わることで最後の仕掛けが発動する。完敗です……。 pic.twitter.com/RP5PvEOfnT
— のいのい (@noi_springfield) 2021年7月18日
え?ちょ!まじ?
本当だ・・・ すげぇ・・・
oasis『Don't Look Back In Anger』マンチェスターテロ事件のアンセム
もう明確に京アニ事件の鎮魂じゃん・・・
そっか、昨日でちょうど2年になるんですね・・・
ただでさえ名曲なのにもう聴くたびに涙が止まらなくなるわ・・・
イフのシーンがワンハリのオマージュというのも言われれば納得。
藤野はブラピだったのか・・・