先日までDMMBooksが謎の7割引きセールをやっていて
この際だからと安くなったら買おうとアマゾンのお気に入りに入れていた本たちを1万円ちょっと爆買いしまして
そのリストの一番下に、
何が理由で入れたのかわからない
でも確か誰かのおすすめだったんだよな
と置き去りになっていた漫画が今回紹介する
「式の前日」
でした
基本的には短編集
中におさめられているのは
タイトルにもなっている
年の離れた姉弟の姉の結婚式の前日、家族が家族でなくなる日を
ただただ淡々と描いた「式の前日」
普段は離れ離れに暮らしている娘と父が、こっそりと会う一日を描いた
「あずさ2号で再開」
友人の葬式で久しぶりに再会した兄弟が学生時代に思いを馳せながら酒を交わす
「モノクロ兄弟」
父を戦争で亡くし、母に捨てられた兄妹
妹の結婚を機に、自身を顧みる兄を描いた前後編の
「夢見るかかし」
売れない小説家をかいがいしく世話する親戚の娘の不思議な出来事を描いた
「10月の箱庭」
式の前日のその後の一こまを描いた「それから」
の6作からなっています。
まずタイトルの「式の前日」がとてもいい
本当に何も起こらない
なんてことのない一日をゆったりと描き
何もない分その背景にある二人の感情を想像させる
余韻を感じさせる素敵な作品で
後日談の「それから」も淡白なストーリーテリングの中にものすごい温かみを感じさせるいい作品
ただ、個人的に一番好きなのは「あずさ2号で再開」
この話はロジックの組み立てがうまい
ここまできれいな起承転結を短編で読めるのは凄く得した気分です
あとは、「モノクロ兄弟」もこう
学生時代の後悔を胸に秘めながら老年まで生きるのって
物語の登場人物であっても結構来るものがあるなぁと思っていて
思わず読んじゃうけど嫌いな作品
なんですよね。
感情移入しすぎちゃって
今回3つの作品をピックアップしましたけど、残りの2作品もとても面白くって
「夢見るかかし」は「式の前日」に近い、淡々としたシナリオ運びながら、より主人公の内面を見せて広がりを見せた感じ
「10月の箱庭」は「あずさ2号で再開」をさらに発展させた
藤子・F・不二雄さんのいう「SF(すこし ふしぎ)」の真骨頂のような作品
アマゾンのサンプルだと「式の前日」の半ばまでしか読めないのですが
個人的には「あずさ2号で再開」が一番好きなので、絵のタッチが気に入ったらぜひ買ってほしいですね