祝、アニメ化ということで再アップ
漫画自体はピッコマで途中まで読んでいたんだけど
原作小説が全5巻Kindle Unlimitedの対象になっていたので
久しぶりに小説を読んでおります
といってもなろう自体は
漫画のさきはどうなってるんやろうなー
って感じで地味にいろいろ読んでいるし、そもそもこれもなろう原作ではあるんですが
とりあえず原作読んで印象がガラッと変わったので
Unlimited対象中に紹介
いやぁ
熱かった
面白かった
百合であることを置いておいてもかなり好きな作風だった
ストーリーについて
乙女ゲーム「Revolution」の世界にヒロインとして異世界転生したことを思い出した主人公の レイ=テイラーは
自分の最推しキャラである悪役令嬢 クレア=フランソワに”原作通り”虐められたことに感激してしまい
思わず好きですと告白
ここから、虐めているはずなのにご褒美にしかなっておらず、調子を狂わされまくるクレア様を愛でる物語が始まった
と思っていたんだけど、意外と原作的にはそのくだりは導入部分で
中盤以降は悪役令嬢クレア=フランソワが原作通りの破滅エンドを迎えてしまうのを回避するために
ヒロインとして転生した主人公が原作の知識を使いながら奮闘する第1章と
その後を描きつつ、異世界転生、ひいてはこの世界そのものの秘密について明らかになっていく第2章の2本仕立てのかなり本格な
往年の富士見ファンタジア文庫作品をほうふつとさせる本格ファンタジー小説でした
こう、神坂一とか秋田禎信、榊一郎さん当たりが好きな人はかなり刺さるんじゃないかな
それなりにこだわりの感じる魔法理論とか
魔法は構文であるとしたスレイヤーズ、それをさらに発展させてプログラミング言語に類似させた捨てプリ、もはや言葉と魔法がリンクしないオーフェンに連なるものを感じる
というか作者同年代なんじゃなかろうか。作風があまりにも往年の過ぎる
ゲームタイトル"Revolution"という名前の通り、主人公たちが暮らす王国は変革の兆しがあり
レイは攻略対象の王子たちとのフラグを折りながら
その結果迎える革命イベントで没落する貴族の中からクレアを救うべく
破滅フラグを回避していくのだけれど
彼女が原作シナリオに介入したことによる未来改変にレイ自身も翻弄されていく
キャラクターについて
個人的にはやはり主人公のレイと相方のクレアのキャラクターがすごくいい
漫画で連載している時点ではただのカラっとした楽天的でちょっとマゾヒスティックなギャグキャラなんだけど
その楽天的な仮面の下には前世での苦い経験で冷めた感情があったりして
こう、大好物なんですよね
そういうキャラクター
アイアンマンのトニースタークなんかまさにそうで
社交的、冷静なように見せているけど、その裏では必死に汗をかきまくっている
革命編終盤、自身の予想、想定とずれていく現実を必死に修正していく様とか
自分の感情との向き合い方に苦慮するところとか
あ、ちなみに本作結構なガチレズものです
Likeかと思っていたがLoveだった
しかも割と重めの
何でもないふりしてその実必死にあがいているところがすごく好きです
で、対するクレア様も成長するヒロインとしてかなり秀逸
前世では成人していてメンタルが成熟し、ある意味老成しているレイに対して
悪役令嬢と呼ばれる程度にはわがままであり傲慢
そんな彼女がレイに付きまとわれていく中で、世界の問題に触れていき
彼女の中にあるノブレスオブリージュの精神を育てていく
中盤からは成長する主人公としてのクレアと
そのメンターとなるレイという関係性に代わっていって
おや?思っていたんと違うぞ?
とは思うんだけど、これはこれで上質なストーリーを展開していて惹かれるものがあります
成長したクレアは序盤の彼女とはまた別の良さがあって好きですね
悪役令嬢ではなくなった代わりに、一人の女性として非常に魅力的になっています
ストーリー構成について
また原作小説の文体としても、章の最後に次の展開へのフックをしっかりと仕込んでいくので、思わず時間を忘れてページをめくってしまうんですよね
革命編としては小説2巻で終了で
漫画のの進み具合を見るに漫画版はそこで終わってしまうんじゃないかなぁと危惧してはいるのですが
第2章についてはももう完全に原作ゲームのくびきからはなれ
より踏み込んだ内容になっていき
レイ自身も力不足となるシーンが増えるので
よりハラハラする展開が待っていてめちゃめちゃ楽しいです
レイ自身が主人公補正でかなりの素養があるものの
その代わり運動神経がなかったり、
或いは上回る素養の持ち主だったり、低い素養を補う固有の才能の持ち主がいたり
案外”それなりに強い”程度のキャラクターなのもパワーバランス的にちょうどよかったり
また、その他の異世界転生ものでは「そういうもの」として流されてしまう
・なぜ異世界転生したのか
・なぜ転生先がゲームと同じ世界観なのか
”・異世界”なのになぜ”原作があるのか
というメタ視点にも言及しているのも面白い
異世界に転生したとして、幼女戦記とか無職転生とか見たいに全く未知の世界であればいいとは思うんだけど
特に悪役令嬢ものに多い
「これゲーム(小説)の世界だ!」
っていうパターン、正直喜ぶよりも世界そのものがフィクションではないかと不安になる気がするなー
とは思っていたんですよね。もちろんこちらも「そういうもの」として割り切ってなろう小説を楽しんでいますが
そこらへんしっかり設定を落とし込んでいるあたり、また後述する話も含め、
筆者かなり頭いいと思うんですよね
固有魔法にコキュートスとかジュデッカとか名前を付けるあたり、シャナかスパロボαあたりも履修しているんじゃないかなぁ
余計同年代疑惑ががが
作者の知識の豊富さに脱帽する
で、多分筆者自身も性的志向が同じか、そうでなくても造詣が深いような気がする
あとがきから察するに前者でしょうか
同性愛を含め、セクシャルマイノリティに関する造詣が深い
性的志向の話からさらに進んで、独自の親子観を作中のあるキャラクターに代弁させる形で言及していたりして、そういった点でもただの百合作品とは一線を画している
また前世の話が結構生々しいんですよ。普通に前世編で一つ小説賭けるんじゃないかっていうくらいに設定が濃くて、まぁこういう修羅場を乗り越えてきた社会人としてのメンタルが根底にあるのであれば、レイの性格も老成されたものになるよねぇと思う
そのほか中世ヨーロッパの歴史的、革命に至るまでの流れであるとか、新章で語られる教育理論、或いは中世イギリスをもとにした食事の歴史等についても造詣が深い
貴族制度や王政という異世界転生もので当たり前のように扱われる(おおよそ爵位持ち令嬢に転生し、王太子と婚約するから必須項目ですよね)設定についても
革命というシークエンスを経ることによって
ガワだけを借りるのではなく、仕組み・制度の問題点、そこから生じる制度の疲弊や個々人の持つ思想についても物語の中に落とし込んでいるのにも才を感じる
軽いテイストの作品だと思って気軽に読み進めていたら思わずその重さと深みにはまって沈み込んでしまいました
かなり世界観を作りこんでいるし、作りこめるだけの知識力が背景にあるんですよ
私も多少は知識があるつもりですけど、それをこれだけ物語の中に盛り込むのは無理だなぁ
最後に
繰り返しになりますがAmazon Unlimitedが原作小説全巻無料なので
なろうが好き、百合が好き、ファンタジーが好きであれば一読の価値があると思いますよ
個人的には、本当に往年のファンタジーの傑作に引けを取らない内容だと思っているのでぜひ原作の最後までコミカライズしてほしいと思っているのですが
いかんせん百合物だとストライクゾーンが小さくなってしまい
往年の傑作たちや、或いはなろう原作の傑作作品たちほどの支持は得られずに第一部完結で終わってしまうんだろうなぁとちょっと危惧しています
実際どうなんでしょう、アニメ化してほしいマンガランキングなるもので2021年に5位にランクインしているみたいなので、一応人気はあるのでしょうか?
無事2023年にアニメ化!
ランクインした作品の中でも古味さん、吸血鬼すぐ死ぬ、大正処女御伽語等ががアニメ化し、SPY×FAMILYがアニメ化決定、と
希望を持ってもいいのかしら、でもこの中では一番大正処女御伽語が知名度低そうだけどそれでもジャンプだし、一応全部大手少年誌なんだよな
これらはランキングを参考にアニメ化が決まってそうな作品ではなさそうなので、まぁあまり期待しすぎない方がいいんでしょうね
それになぁおなじなろう原作で中世をベースにかなり作りこんだ世界観の王妃ベルタの肖像のコミカライズ2章までいけませんでしたし・・・
コミカライズの絵のクオリティもかなり高いと思うんですけど
とりあえず漫画を買ってお布施をしておくついでに
なろうのほうでクレア視点のスピンオフがあったのでこちらもちまちま読み始めつつ
PIXIV FANBOXで支援しようしました
というか普通に面白そうなのでRevolutionとレボリリをやらせてくれ