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改めて #マダム・ウェブ どうすべきだったのかを考えたい

最近マーベルズ→マダム・ウェブとアメコミ映画の興行収入のワーストがどんどん塗り替えられていてファンとしては非常に危機感を感じているんだけど

割と多くの映画系メディアが、その原因を「スーパーヒーロー映画疲れ」だけに求めていることのほうが危険に感じています。

 

その原因が意味を成すのは、作品が面白かった時だけであって

少なくともマーベルズとマダムウェブは、つまらないから売れなかった

ただそれだけ

もちろん、前作がつまらなかったので次回作が(面白いのに)売れなかったということもあるけど、まぁ今回はせいぜいマーベルズが、あるいはモービウスが失敗したからマダム・ウェブは失敗を超えて大失敗した、という程度だと思う

作品の質が落ちていることから目を背けて、「作品には問題がない、ジャンルが飽きられて衰退しただけ」というのは世辞でしかなく、事の本質を見誤るだけだと思うんだよね。

 

そこで、というわけではないけど

改めて、マダム・ウェブがなぜダメなのか、何がいけなかったのかを発信して

このストーリーを悪くなかったとかいうのほんとまずいよ、っていうのは声高に言わせていただきたい

 

 

 

詰め込みすぎなのに語らなすぎ

本作の最大の失敗は、1本の作品で、マダム・ウェブと3人のスパイダーガールの話を一気にしようとしたところだと思うんですよ

その結果として、誰一人としてまともに人物の説明を描き切ることができなかった

ここが最大の失敗だと思っています。

ペプシのロゴが常にカメラを向いているとか、お昼の事件が夕刊の新聞に載っているのがおかしいとか、そういうのはちゃんとキャラクターが生きていれば些事なんですよ些事

根幹が描けていないから、枝葉がダメなのが目立ってしまう

それでは、キャラクターにフォーカスをしながら、語るべきなのに放置された情報をまとめていきます

エゼキエルについて

彼が一番掘り下げることを放置された被害者だと思うんですよね

結構身もふたもないんだけど、現在・過去・未来すべてにおいて語るべき要素があるのに放棄されている

目も当てられないです

彼について開示されているのは

貧乏だった キャシー母を殺してクモを手に入れた 今金持ち スパイダーマン

終わり

酷いもんです

まず過去

貧乏であったことについてもう少し膨らませる必要があるでしょう

ただ貧乏ではなく、金持ちを憎むくらい貧乏なうえ、キャシー母を含む目撃者全員を殺してまで金持ちになりたかったんだから

ただキャシー母との会話の中で「貧乏で金持ちが嫌いなんだ!」って説明させただけで十分だと思うなよ!とイラっとするわけです

そして現在

どうやって金持ちになったのか、金持ちになった結果どんな優雅な生活をしているのか

この2つは語るべきでしょう

例えば、取引先との会合で握手をしながら取引相手に「君が見つけたクモのおかげでうんたらかんたら」としゃべらせるだけで

あぁエゼキエルはクモをビジネスに使ったんだな、と分かる

また、俺は金持ちになりたいんだ、といいながらキャシー母を殺したんだから

そこまでして手に入れた優雅な生活は描かないと、説明不足だと思いますし

そこちゃんと説明することで、殺されたくない、今の生活を手放したくない

というエゼキエルの作中での行動の動機を強めることができると思うんですよねぇ

自分で動く理由にはならんけど

そして未来

未来にについてはまぁ現在とつながっていくところではあるけれど

過去キャシー母を殺しただけでは3人のスパイダーガールに処刑される理由にはならないわけで、ヒーロー、あるいはヴィジランテに討伐対象とみられる理由はちゃんと書くべきです

しかも本作でエゼキエル死んだわけだから、次回作以降彼の掘り下げをする必要は基本的にはないんですよ

ないんだから、そこはちゃんと書こうよ

今悪いことしていないんだったら、悪夢を予知夢だと理解する理由にもない

私見ていて最初に躓いたのが、なんでエゼキエルは悪夢を予知夢だと認識したのかなんですよね

キャシーみたいに幻覚と同じことが起きたのであれば理解はするだろうけど

彼はあの夢しか見ていないわけで、根拠もないのに予知夢だと断定しているので

彼のパーソナルが余計破綻する要因になっている

 

3人のスパイダーガールについて

彼女らについては、家族構成について自己紹介のパートで自分から言うだけでしかないのももちろん描写不足なのだけど、せめてスーパーパワーを手に入れるきっかけだけでも作中で描かないのは、単体の映画として評価するときに不親切だし

販促品に描いておいて活躍しないのは、広告詐欺だと思いますけどね

どうして、彼女らがスパイダーガールにならねばならなかったのか

どうして彼女らがエゼキエルを未来殺すことになるのか

もちろん書かなくても面白い作品は作れるけど、結構能力を求められると思いますし、本作の脚本家にその能力がないのは明らかです

ほんと脚本誰やねんと思ってググってみたら

SSUの大失敗作の一つモービウスで脚本家いていたのは聞いていたが

大爆死打ち切り作品のパワーレンジャーも彼らじゃないですか・・・

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個人的には嫌いじゃないよ?嫌いじゃないけどさ

2回も映画爆死させといて、そんな高度テクニックは無理でしょう

 

キャシーについて

キャシーについては主に過去ですね

書くべきというよりはそもそも設定をミスっているという話なんだけど

ペルーで生まれたみなしごがどうやってアメリカに戻って育ったん?はずっと気になってる

出産に立ち会ったスパイダーピープル世捨て人みたいな感じだったし、飛行機乗ってアメリカまで連れていく?

そもそも、出産に立ち会ったのに育てないんかーい

というのも思うわけです

 

たとえば幼少期はペルーで育てられていて、ある時母親の話を伝えられて、アメリカに戻って奨学金をもらいながら大学卒業して救急救命士になりました

そのペルーの里親が作中で出会ったピープルの一人でした、とかさ

スパイダーピープルと彼女の関係性をもう少し盛りつつ、彼女が無事に成長した理由をもうちょっと描くべきだと思うんですよね

そうすることで、みなしごで、しかも母のことを(誤解で)恨んでいるけど、でも正義感の強いまっすぐな子に育ちました。ということも併せて描くことができる

予知夢を見たからといって、犯罪を大量に冒してまで見ず知らずの少女を3人も助ける動機が、作中での彼女の描写では足りない

結果、行動のメリットとデメリットがバグってキャシーがサイコパスに見えてしまう

 

どうすべきだったか

3部作にしてじっくり語ろう

私は、エゼキエルについては、マダム・ウェブシリーズのメインヴィランとして据えるくらいの腰の構え方をしたほうがよかったんじゃないの?と思います。

そんで、3部作くらいにすればよかったんじゃないかな。

そうしたうえで1,2作目はエゼキエルではなく、その作品内で退場するヴィランを用意することで

「なんでエゼキエルが自分の身の危険を冒してまで自ら動いているの?」

という、結果としてエゼキエルが殺されに行っているようで間抜けに見えてしまっている問題が解決されます

1作目

刺客の魔の手から逃げる間に、マダムとスパイダーガールズが絆を深める

2作目

マダムがペルーでルーツを知り、ガールズが能力を得る

3作目

決着をつける

2と3は一つでもいいかもですね

3部作か2部作

 

 

これでいいと思うんですよね

マダムウェブで3作も持たなくない?という疑問については

いやでもガーディアンズだってそうだったじゃないですか

 

打倒すべき敵はサノスだけど、1作目で相対するのはその手先のロナン

まぁ、サノスはサーガのヴィランであってガーディアンズのヴィランではないから

ガーディアンズが1作目で打ち切られても関係ないところではあるんだけど

 

それに、実際私の1作目案と本作、そう違いはなくないですか?

あの逃走劇の相手がエゼキエルである必要何もないですし、

ガールズが能力を得ないまま終わるのも同じ

きっと本作で打ち切りになるマダムウェブはどのみち尻切れトンボですよ

ペルーのくだりをオミットできますし、あまりにも無理がありすぎるダイナーでのエゼキエルの説明パートもカットできますので、エゼキエル自身の説明により時間を割けることで、ヴィランとして厚みを出すことができます。

やっぱり、打倒されるべき悪である、という説明は必要なんですよ

それに、個人的にはキャシーのあの覚醒能力は”なし”だと思っているので、それは2作目でじっくりする。本作では、あんな予知した未来を目指すような本末転倒な使い方はせずに、常に常にバッドエンドを予知して回避していく

という能力の使用方法に統一したほうがいい

そのほうがよかったと思いますけどね

 

そもそもスパイダーガールズは出さない

もしくはだけど、新しいキャラクターで物語を紡ぐんだから、あれもこれもと欲張るんじゃなくて、今回はあくまでマダム・ウェブに絞って、彼女のオリジンを丁寧にやるでも良かったんじゃないかな

1案とは1作目と2作目の内容が逆転する感じかもですね

スパイダーガールズは次回、ガールズとの関係性をエゼキエルに持たせたいなら今回のヴィランは別

そうすれば、キャシーの出生の秘密もに次回に回せるのでストーリーテリングに余裕が出る

1作目でしっかりとキャシーの人となりを説明できていれば、2作目で見ず知らずの若者を3人も保護する正義感にも説得力が出せるはず

 

結論

なんだろう 

まとめてて思ったんだけど

本作って、やらないといけないことをただただ積み重ねるだけで

その間に本来あるはずの語るべきことをだるま落としのように全部スコーンと抜き取っているんですよね

予知夢を見たのでNSAを嵌める、っていうシーンを入れるから、過去から未来に切り替わった後、優雅な生活は描かない

とか

ペルーのスパイダーピープルは唐突にキャシー母を助けにくるし、ペルーに来たキャシーの前にも特に説明もなく表れてくる

そもそもスパイダーピープルってなんやねん

次のクレイヴンはもうちょっとまともな脚本であってほしいけど、

SSU上層部、まともに脚本を評価する力がないんじゃないか、そこが原因なんじゃないかという気はちょっとしますね