見てない方に向けたばれなし感想はこちらに書きましたので
こちらも合わせてお読みいただけると嬉しいです。
本作も最近のMCUの例にもれず、ネタバレ厳禁な内容でした。
また、ソニーピクチャーズの作品であるにもかかわらず、前作以上に過去のMCUとの絡みが強く、スパイダーマン単体作品ではなく、MCUの中の一作品であることを強く感じさせる作品です。
・始まりはあえてポップに
インフィニティウォーからエンドゲームにかけてなくなったヒーローを追悼する動画で、ヴィジョン解像度低すぎww
と疑問を持たせたからの学校の生徒の編集動画だったのは芸が細かいと思いましたね。
おそらくヴィジョンは新参者で、しかも2年逃亡していたのでニュースなどの映像が残ってないんでしょうね。いつも空飛んでるし。
ブラックウィドウもなんでシヴィルウォーの時のスーツ姿なのかと思ったけど、公的な動画などの切り貼りだったからなんですね。
映像のチョイスがとても丁寧で、そこだけでもう感嘆します。
映画のテイストとして、もっとトニースターク無き後の世界とか、周囲との時差に悩む主人公を描くかと思いましたが、基本的には初々しいティーンエイジャーの恋物語がメインだったのは意外でした。
そういった意味では、スパイダーマンのテイストは、前作と変わらず受け継いでいるのかもしれません。
・中学生の肩に乗せられる責任の重み
とはいえ、それはピーターパーカーとしての物語で、スパイダーマンとしての彼は、序盤の基金のシーンから、ハッピーに苦悩を伝えるまで、常にトニーの後継者・世界の守護者としての重責に苦しんできました。
エンドゲームで世界を救ったアベンジャーズは2大巨頭を失い、
ソーは宇宙へ飛び立ち
ハルクは片腕を失っておそらくセミリタイア
ホークアイも家庭に戻り
スカーレットウィッチはソコヴィア事件で世間の風当たりも強いでしょうし、ヴィジョンを失った悲しみも大きそう。きっと守護者のポジションには立たないでしょう。
地球に残っていそうなヒーローも
ドクターストレンジも師匠のエンシェントワンと同じく表立って活動はしない。
そしてアントマンは人気がないorz
若く、明るく、ニューヨークのヴィジランテ(自警団)としての性格の強い、ついでに言うと犯罪歴もないクリーンなスパイダーマンは、ヒーローに守られることになれた市民にとって格好の対象。
しかし、それを高校生にもなってない子供が受け止めきれるわけがないですよね。
トニーというメンターを失って失意にあるのはピーターも同じ。しかし世界はそれを無視する。
彼らは彼らに都合のいいヒーローを求めていて、ヒーローの事情は関係がない。
子供、ということも勝手なイメージを押し付けやすい。
「かれら」は信じたいものだけを信じるのだ。
それは、ポストクレジットから、スパイダーマン3でもきっと続く問題であるとわかります。
重圧から逃げて過ちを犯し、さらに苦しむスパイダーマンは見ていて苦しかった。
涙が出てきた。トムホランド最高ですね。え、俺より身長高いの?まじか・・・
であるがゆえに、吹っ切れた後のスパイダーマンはとてもかっこよかった。
動きにも切れがあった気がしますね。
トニーに憧れるピーターと、
トニーを一番近くで見てきたハッピーの
飛行機のシーンは屈指の名シーンでした。
挫折からの再生は、王道ですね。
・ヒーローの不在を鋭く嗅ぎ取ったベックとふがいないニック
キャプテンマーベルでスクラル星人の解釈を大きく変え、またそのことをCMで隠していたので、今回のヴィラン「ミステリオ」についてもその立ち位置についてかなり疑心暗鬼になっていたのですが、思った以上に原作に準拠したキャラクター設定でしたね。
MCUの中のスパイダーマン。という話をしましたが、ベックのオリジンにシヴィルウォーを持ってきたのは思わず、うまい!と膝を叩いてしまいました。
トニーのトラウマについて婉曲的に説明するシーンでしたが、映像を使ったトリックで人を惑わすミステリオの技術的な根拠を「B.A.R.F.」に求めるとは・・・
トニーから送られたサングラス型のキーアイテム「イデス」で、略語が好きなトニーらしいという話が出てきましたが、まさかこれも伏線だったんですかね。
そして、ジェイクギレンホールの演技が相変わらず素晴らしい。
ピーター目線でベックを見すぎて、いい人を演じている感がものすごく強いのに気づきながらも、いい人であってほしいと願ってしまっていた私の思いをどろどろと溶かしていくバーのシーン。
慈愛に満ちた表情から、ピーターが去ったのを確認したとたん目に悪意が宿る感じ。
あぁ、ジェイクだな。これがジェイクだ
ポストクレジットで悲劇のヒーローを演じるシーンも含め、一つの作品でここまでキャラが変わると、カメレオン俳優として有名なジェイクギレンホールに白羽の矢が立ったのもうなずけます。
そして、エレメンタルズもミステリオも映像表現によるフェイクだとしたら、ウィンターソルジャーであれだけの死線をかいくぐったニックが気づかないわけがない。
エレメンタルズ討伐に参加しないと宣言したピーターをあっさり返したり
ピーターに当たり散らしたり
またあまり主体的・能動的な行動が見えないところに疑問を抱きながら見ていましたが
(正直ニックの描き方雑じゃね?と思いながら見てましたが・・・)
ニックとマリアヒルすらフェイクであるという衝撃。
チープな戦死者の追悼ムービーといい、チープであることに意味があるというその構造に、脚本の腕を感じずにはいられません。
MIBこういうことやぞ!
・ドクターストレンジを経験した上で斬新と感じる戦闘シーン
個人的にはドクターストレンジすごく好きな作品で、その理由の一つに、魔法の映像表現も含め、戦闘シーンのあり方の新境地を開拓したからというのがあります。
魔法というチートスキルをもって、その映像表現の理屈的補強をしているので、これ以上の斬新な戦闘表現はないと思っていたのですが、
やってくれましたね。
どこからが真実かわからない、何が真実かもわからない。すべてがVFXですべてがフェイクだから、何をやってもよい。
ミステリオの設定に忠実だからこそ、その映像表現には手を抜かなかったなと、次に何が来るか全く読めない戦闘シーンは本当に衝撃でした。
何でもありだから、何でもできる。ただ、自由だからこそそこには発想力がすべてで、スタッフの稀有な才能がいかんなく発揮されていたと思います。
そして、ベックの言葉
「普通であれば荒唐無稽な事でも、様々な信じられないことを経験した市民はどんなことでも信じる」
これはMCUファンにも当てはまっていると思っていて
正直、いくらVFXといっても、多分MCU作品をどれも見ずにFFHを見た人は、
「いやいや無理ありすぎでしょ」
となると思うんですよね
でも、MCUを追いかけてきたファンはまず「B.A.R.F.」を受け入れてしまっている。
「B.A.R.F.」を受け入れてしまうと、荒唐無稽なVFXバトルも、「この世界ならありうる」となってしまう。
MCUの長い歴史と、それにどっぷりつかったファンとの関係もここで生きています。
・多分今までで一番活躍したハッピーホーガン
今回はとにかくハッピーが大活躍でしたね!
ホームカミングではだいぶ無能な扱いでしたが、本作は、(下心があるにせよ)ピーターの心のケアができる唯一の存在でした。
求められる自分と現実の自分に苦悩するピーターに、トニーもそうだったと諭すシーンや、吹っ切れてニュースーツを作り始めるピーターを慈愛の目で見るハッピーはなかなか新鮮でした。
トニーは自分を守るための仮面が外れなくなって逆に苦しんでた人だと思うんですよね。それを、ある意味ペッパーより近い位置で見てきて、人から押し付けられた仮面に苦しむピーターを、おばさん目当てとはいえ、近くで見ていたハッピーはどう感じていたのか
そして、しがらみから吹っ切れて、MarkⅡ作っていた時のトニーを彷彿とさせるピーターを見て、ハッピーの心にこみあげる感情はどんなものだったのか、想像するだけで胸がぐっと締め付けられます。
コメディもでき、また、恋に夢中なネッドに変わり、サイドキックのポジションでもありましたね。まぁハッピーも恋には大忙しでしたがw
・MJが可愛い!
いやーゼンデイヤ可愛すぎですわー
この話に回目ですけど可愛すぎですわー
鳩のシーンも可愛すぎるし、
「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」、鳩に愛されるゼンデイヤさんが最高にキュートだったので、その雄姿を3Dでもう一回観たい。 pic.twitter.com/mYwx2QNYGE
— Shinichi Ando (@andys_room) 2019年6月28日
夜の街を二人で歩くシーンのMJも可愛すぎる
好きな男の子に誘われて嬉恥ずかしなのが漏れてる感じと、それをごまかすために違うことを言ったら実は両思いが発覚して焦って否定しちゃうところも超かわいい。
反省して謝るシーンも可愛いし、もう全部かわいい。
The Greatest Showmanの時にファンになったけど、ほんとすらっとしてスレンダーでプロポーションが良いんだよなぁ。
え?トムホランドより背が高い??
衝撃的すぎる・・・
・二段仕掛けのポストクレジット
やはり本作で一番の衝撃はここだと思います。
1つ目のポストシーンがまず衝撃でしたね。
ベックがここまでゴリゴリの悪役だったのショックでしたよ。
本作で割とタブーなスパイダーマンの正体が、MJにばれたことも割と衝撃だったのですが、満を持してのデイリービューグルの登場とともに、全世界にスパイダーマンの正体すら公開してしまう。
誰がヴィランになるのか、スパイダーマンはどうなってしまうのか、何もわからないままエンドロールに放り出された視聴者の気持ちは最後に絶叫したピーターと同じ気持ちですね。
MCUのフェーズ4のラインナップが発表されましたが
新作の公開は最短のもので10か月後
スパイダーマンの状況についてはその作品で言及されるかは不明ですね。
5月の作品が「ブラックウィドウ」であれば、過去作になるでしょうからさらにお預けです。
何より、FFHをもってソニーとマーベルの契約が終わるそうですので
MCUのヒーローとスパイダーマンの関係を断つための措置
の可能性も否定できない気がします。
現状、アヴェンジャーズはチームとしては崩壊し、ウォーマシンも軸足が軍に戻ればうかつな行動はできなくなる。
ニックの不在と、その代役のふがいなさを考えると、逃亡者スパイダーマンに満足なバックアップを与えられる人物がいないことになります。
そのまま単独作品としての性質を強めていく可能性はありそうです。
ホームカミングからFFHまで2年開いていますので、詳しい話は2年待たされることを覚悟しないといけないと思うと、インフィニティウォーからエンドゲームまで待つのよりつらい時間が待ってそうです。
また、2つ目のポストクレジットでは地球にいるニックとマリアヒルがタロス夫妻で、当のニックは宇宙にいることが判明します。
めっちゃスクラル星人生き残っとるやん。
きっとキャロルが長い時間かけて探したんだろうな。
これが宇宙が舞台となる新シリーズ「Eternals」につながっていくのでしょう。
その規模の大きさに、エンドゲームで受けた喪失感を吹き飛ばす期待感をぐいぐいと押し付けてくるMCUの、ケヴィンファイギの戦略にただただ舌をまくばかりです。天才かよ。
X-MENも救って
ありがとうアヴェンジャーズ
これからもよろしくMCU
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