ばれなし感想でも書きましたが
本作は人とドラゴンの関係性の行き着く先をリアルに描いていると思います
1でヒックとトゥースはお互いが体の一部を失うことで、対等な関係性であったり、お互い補い合って生きていく、人は一人では生きられないとうのを視覚的にもわかりやすく見せる目的もあったのかなと思ったり。
バーク島での人とドラゴンの異文化交流はヒックとトゥースの出会いから始まりましたが、それは、お互いがお互いの価値を認め合ったばかりで、まだ始まったばかり
関係性が始まることはそれはそれで尊いことでまた価値のあることであり、
それゆえ、そのファーストコンタクトを丁寧に描いた1は傑作であるといえるのですが
それから時がたち、2で良い悪いにかかわらず、ドラゴンと人との関係の多様性を描いたうえで、
では人とドラゴンの関係をより深化させる、一歩前に進める
それはどういうことなのか。というのを描いたのが本作だと思うんです。
ヒックとトゥースの関係性は面白いですね。
ペットとの関係のようでもあり、男友達のようでもあります。
前者は対等な関係と言えるだろうか。バーク島の人々は、グリメルの攻勢から逃れ、人とドラゴンが共存できる新しい土地を探すうちに、人とドラゴンの理想が同じではないということにだんだんと気付いていきます。
ドラゴンが安心して暮らせるようにバーク島のみなが頑張っているのは確かだけれど
そこにこだわりすぎて、自分たちの手の届く範囲で管理しないといけないという思いがヒックの中にあったのかもしれない。
えぐいなと思うのが、ヒックが自分が成り行きで長となってしまい、自分に長となる資格が足りていないと思っている。
1でお互い補い合う関係性だという話をしたけど、人として成長し、求められる能力が変わったために、それが呪縛となっているんですね。
自身のアイデンティティをドラゴンと人を結び付けた象徴ということだけに頼ってしまって、トゥースがいない自分を考えられないでいる。
ヒックの不調は長としての重責に対する無意識の疲弊と、トゥースを離れる覚悟ができていないのに、トゥースから離れようとしている不安。
また、ずっと一緒だと思っていたのに、彼女ができてどちらを取るかで悩む感じは小学生とかのいわゆる”トモダチ”関係にも似てますね。
友達の恋路を応援したい気持ち、友達を取られてしまう不安。
ヒックは二律背反の中でもがいていました
これを乗り越えた先に、お互いがお互いの立場を尊重して、どちらかがどちらかの都合を押し付けない。
一緒にいることが必ずしもお互いの最善ではないという、お互いをリスペクトしたうえでの離別という結末は、ヒックとドラゴンという物語を締めくくるにふさわしいものであったと思います。
トゥースとの別れを経て、一人で立つ自信を得られたことによりアスティとの結婚に至るのもいいですね。
とても素敵な結婚式でした。
グリメルもヒックの負の側面を担うようなキャラクターでもあり、とてもキャラクターが立っていましたが、そういった人とドラゴンの関係を深化させるきっかけとしてもうまく機能していました。
これで終わりと思うととても寂しいですが、無理に引き延ばしてもスターウォーズのシークェルのようになるだけだと思うので、これでいいんですね。
そう考えると、ラストでヒックが子供と一緒にトゥースに会いに行くのは、子の代にトゥースの子供に会いに行く、というようなストーリーをあえてつぶしているのかもしれないなぁ
本当に、令和元年最後に良い映画を見れました。
ありがとうございました。