マッドマックス フュリオサの感想で、意図的に落とした項目がありまして
それが、今回改めて触れようかなと考えている
ディメンタス将軍(Dr.Dementus)
クリスヘムスワースにとって、ソー・オーディンソンでついてしまったイメージから解き放たれる役だった(意訳)という感じのコメントも出ていた割に、
結構小物だなぁと最初見ていた時は思ったんですよね
ちょっと頭の弱いヴィラン、というポジションで言うと、ゴーストバスターズも割とそうだったし、
ソー自身もちょいと頭の弱いキャラとして、特に後半は扱われていましたからね
序盤の、作品のゴールが見えない中で、誰がラスボスなのか、
フュリオサはディメンタス側なのか、イモータンジョー側なのか
そもそもディメンタス将軍はイモータンジョーと対立するのか共闘するのか
そういうポジションがあいまいな状態で、
「イモータンジョーと比べてだいぶ格落ちする感じがあるなぁ」
とちょっと冷めた目で見ていたのは正直ありました
考え無にシタデルに突っ込んで大惨敗しましたしね
ただ、そんな中で、転んでもただでは起きない不屈さで、ガスタウンを奪い取り
バレットファームすら手中に収める
モンスターみたいな巨大バギーカーでフュリオサ達の駆る改造車に追いついてしまうのはちょっとご都合主義が過ぎる気はしたけど
ある意味で常に前向きに、失敗を引きずらず突き進んでいく彼の在りようは
ただの馬鹿ではないなという存在感を放ち始め
そして、最後、フュリオサの復讐が果たされるとき
彼のメンタリティが彼自身の口から語られるに至って
ディメンタス将軍のキャラクターの特異性が確立したような気がします
多分、世界が破滅する前は、もっと真っ当な人間だったんだろうなとは思うんですよね
一応結婚して子供がいたわけだし、そんな息子の形見を肌身離さず持ち続けていたのも、ある意味で彼の善性の残滓のようなもので、彼にとって、フュリオサの母を殺したことは当然の行為ではあるものの、だからといって母と無理やり引き離されたフュリオサに何も感じていないわけではないのがその形見のぬいぐるみをフュリオサに渡したという行為だったんかなぁ
そんな善性が、世界の破滅によって裏切られ、裏返ったかのように悪に染まったんだろうなと
どんなに良き行いをしても、神は見ていない、であるならば、どこまで悪を成しても許されるのか、自分は生かされるのか、そのギリギリまで突き進んでみようと
本作を見ながら私がぼーっと考えていたのが
「自分がこの世界にいたら、間違いなくシタデルではいつくばっている下層民だな。こんな生活をしていて生きているといえるのだろうか、だったらさっさと殺されたほうが逆に幸せなんじゃないか」
ということだったんですけど、どうせ死んだほうがましなのなら
その命を担保にどこまで勝ち続けられるか、という賭けを、本当に命を刈られるまで続けたディメンタスは、この世界に生み出された、この世界を体現するキャラクターだったんだろうなと
フュリオサに追い詰められたディメンタスは、「どんどん刺激が物足りなくなっていく」といったようなことを言っていました
自分の命を担保にしたベットに際限が無くなっていく
今更立ち止まれない、抜け出せない
世界を駆け抜けているようで、世界に駆り立てられているような
独特の味わいのキャラクターだったなぁ
とちょっと序盤と終盤でかなり印象が変わったのと
ある程度言語化できたので、別記事としてまとめてみました
にしても、ソー時代に鍛えた上腕二頭筋がずっとまぶしかった
キャラクターの呪縛はあったかもしれないけど、ソーのために鍛えた筋肉はずっと彼の役に立ち続けるんじゃないかな。そうあってほしい
・・・しかしなんで原語ディメンタス教授なんだろ
将軍のほうがしっくりくるけど、世界の破滅前は理系だったということなのかしら・・・