ジョン・ウィックは、キアヌ・リーヴスの出世作、マトリックスでスタントをしていた、チャド・エタエルスキ監督の初監督作品で、アクション俳優キアヌの存在を強く世に印象づけた快作でした。
眠れる獅子を起こしてはいけない。
という、古典的なテーマを、奇をてらわずじっくりことこと煮込んだ、とても濃厚な作品でした。
続くチャプター2は、血の契り、というまさにヤクザ、任侠の世界のようなアイテムに
コンチネンタルの武器斡旋や死体撤去等のサービス
ホームレスと鳩が広げるネットワーク等
オタク心に刺さりまくってくらくらする世界観を見せつけて魅了してきました。
では、続くチャプター3
車を奪われ、犬を殺され、表社会から引き戻されたジョンウィックが
聖域でのルールを冒し、裏社会からも弾き出され、
逃亡のはてに何を見るのか
…残念ながら、グッと来ませんでした…
色々期待値をあげすぎていたところもあるとは思うのですが、主に以下の二点が気になってあまり楽しむことができませぬでした
・前二作と比べ、主人公補正が強くなったように感じられて不満
一番気になったのがのここ。
一作目は組織がショボかったので(二作目以降と比べれば、ですが)
二作目は、コンチネンタルの手厚いサービスがあったため、わりと被弾、負傷してもいい状況であったので、てこずるが致命傷は回避する状況が多く、泥臭くも適度に危機感のあるシーンが多かった、と記憶してるのですが(美化してるかも)
今回は、コンチネンタルのサービスを受けられず、奇襲によって負傷し、これ以上ダメージを受けたらヤバイ状態になったことで、逆にこれ以上ダメージを与えられない状態になってまして、最初にうぅんとなったのがジョンウィックが車に轢かれるシーン
せっかくうずくまって動きも緩慢になっているのだから、車から出ずにそのまま射殺すれば良いものを、車から降りて近づいて返り討ち。
ラストバトルのフル装備兵も、慢心なのか知らないけど、遮蔽物のあるところに不用心に近づいて反撃するいとまも与えられず返り討ち。
銃撃戦も仲間がばかすか死んでいくなかジョンウィックとメインキャストのシャロンは無傷。コンチネンタル側最終的に二人だけになってませんかね。
いや、そこで射殺されたら話終わるじゃん。と言うことではなくて、
相手が不用心だから助かりました。
ではない、ちゃんとしたロジックを組み立ててほしいんですよ。
主人公補正で攻撃が当たりませんとか、そういうのはなんか違うなーと思うんです。
弱体化が顕著だったのが忍者軍団ですね。
バワリーキングの配下だったり、ロシアマフィアのしたっぱだったりをあんなに流れるように殺していたのに、ジョンウィックと対峙すると完全に噛ませになっている。
敵が刀もったらあーもうこいつジョンウィックに攻撃当たらないなって、思ってしまったり。
実際刀持ってるのに打撃しか当たってないんですよねぇ。
唯一殺せそうだったのがゼロの前座で急に出てきた謎のアジア人2人組(ゼロの部下?)だったけど、むしろ殺せたよね。なぜ殺さなかったのか。殺さなかったせいで逆に返り討ちにあってるし。
ジョンウィック優しいから殺さなかったけど、よゆーぶっこいて手加減したので殺されました(そうになりました)はちょっとなえます。
アクション自体はいいところも多かったです。
初戦は武器以外で殺すシリーズに『本』が追加されましたし。
VSアジア人2人戦は顔を横から手でたたいて鼓膜にダメージを与えるというとてつもなく地味な攻撃もかましてましたしw
追い打ちヘッドショットもよどみないですね。
意外性のある攻撃だったり地味だけど効果的な攻撃については次回も期待したいところです。
・主人公が部外者となったことで、裏社会のルールをうまく紹介できてない。
前回までは、コンチネンタルのサービス、という形でジョンウィックユニバースの独特な裏社会のルールを覗くことができました。
主席、とかそういった、闇組織の構成に関しては、今までは言及されずにそういったもの、ということで深く考えていなかったのですが
ジョンウィックが追われる側になって、主席と査察官という存在が上位組織から降りてくることによって、闇の社会構成について、説明していく必要があると思うのですが・・・
「ジョンウィック」という作品自体、世界観について過度に説明しないことで、安易に全体像を理解されることなく、神秘さ・異質さを保っているとは思うのです。
このさじ加減が絶妙にうまくいっているのが、ジョーカーだと思うのですが
説明がないわりに前2作以上に情報量が増えて、ちょっと脳みそが熱暴走気味
今回、造幣局が登場しましたが、彼らが貨幣と血の誓印を作り、流通させているのはわかる。ただ、ああもたやすく構成員がジョンウィックとソフィアによって半壊させられると、貨幣の価値の棄損にもつながると思うんですよね。価値の担保ができない。
ニンジャ軍団レベルでも壊滅出来たろうなーというようなセキュリティのもと作られているのであれば、いくらでも乗っ取りが可能ですからね。
それに、造幣局の長が、なぜ主席連合の首領に会う方法を知っているのか。
それくらいは説明があってもよかったのかなぁ。とおもったり。
首領にもあっさり会えましたね。たぶん影武者だと思うけど。
ロシアマフィアの親玉も、ジョンウィックの十字架であっさりと組織を裏切り、そして処罰されましたが、せめて十字架の出どころぐらいは教えてほしい、
あぁ、もしかしたら主席連合のルールを破ってでも守らないといけない約束なんだな。という片鱗を見せてほしかった。
ちょっと最初で世界観への没入に失敗したので、いろいろなことが呑み込めなくなっていて重箱の隅をつつくような指摘になっている気が少ししてきましたが💦
折角だからうまいことやってほしいなぁというのはありました。
ゼロもなぁ
日本語しゃべるから日本人の設定なんだとは思うのだけれど、日本語がエンドゲームのホークアイばりに片言で、違和感が凄い。
ホークアイは外人が日本人に話しかけてるのであれでいいと思うのだけど、感情が昂って思わず母国語がでたシーンのはずなので、そこは流暢でないと…日本語しっかりしゃべれる俳優キャスティングしようよ…
と思ったら
出世作の『クライング フリーマン』(小池一夫原作、池上遼一作画)では、加藤雅也と共演している。劇中で日本語を話すシーンがあるが、発音・イントネーションともに完璧で、日本人と変わらないほど上手。
おぉーい。片言はわざとかよ…
流暢な日本語話すよりも、片言の方が海外では受けるのかねぇ
そのほか雑感
コンチネンタルのウィンストンがジョンウィックを裏切ったのは、今までの2人のやり取りはなんだったんだ😦
となったのですが、逆に、友情なんて信じてはいけない世界だからこそ、ルール・規律が重要視されているのかもしれない。
そこの味付けは面白いですね。
ウィンストンの行為を誰も攻めませんでしたし。
ただ、そのルールもおそらく旧来のものと主席連合による支配後に成立したものとで軋みを生んでそう。
聖域内で殺人を犯したため追われるものになったジョンウィックを聖域が受け入れるのもなんか変な感じ。
聖域内で殺人を犯しても聖域内に滞在し続ければノーダメージじゃね?
とか
十字架や血の誓印のせいで主席連合に背かなければならなくなったり
ジョンウィックの手助けをした上に造幣局壊滅させたんだからソフィアあの後ただじゃすまないよね。誰が手を下すんだ、ってくらい強かったけど。
そこらへん意図的であってほしいなぁ。
最後に
結婚指輪を身代わりに差し出した上で旧友から裏切られ、結局裏社会から弾き出されたジョンウィックが、同じく主席に復讐の機会を伺うバワリーキングと組んで、どう首領をハイテーブルから引きずり下ろしていくのか
一作目でコンチネンタルのルールを犯した暗殺者に狙われ、二作目でジョンウィックがルールを犯す
二作目で血の誓印でトラブルに巻き込まれ
三作目でジョンウィックがソフィアを血の誓印で巻き込む。
ヒントは三作目に隠れてそうですね。
何やかんやいろいろ愚痴っぽいことを書いてしまいましたが、
ジョンウィックという男の物語がどうおわりを迎えるのか。とても楽しみです