最近靴関係の活動が滞りがちで、それもあってブログの更新もだいぶ滞っている自覚はありますですはい。
そんな中、久しぶりに靴関係のイベントに参加できましたので、ブログでまとめたいと思います。
そのブランドはLIGHTBULB
直訳すると(白熱)電球
そこから、さらに「ひらめき」という意味もあるそうで、おそらくブランド名が表すイメージはこちらでしょうか
義肢装具士の野口さんが医学的なアプローチで削った、木型を
靴職人の外林(ヨメセン)さんが仕上げた靴たちがLIGHTBULBになります
SNSでアンバサダーの募集と化されていましたね。募集当時完全に仕事に忙殺されていて、そうでなくても子供の面倒でなんもできんから迷惑になるだけだな・・・とやる前からあきらめるバカ状態だったので手をあげれずに終わっちゃいましたが。
そんなLIGHTBULBのMTM(パターンオーダー)ラインの受注会が7/23~29日の間浅草橋で開催されたので、なんとか時間作っていってきました
【受注会開催のお知らせ】
— LIGHTBULB/野口(義肢装具士) (@LIGHTBULBbyN) 2023年5月10日
皆様、大変お待たせ致しました。表題の通り受注会の日程、場所が決定しました!!
◯日程:7/23(日)~7/29(土)
◯営業時間:平日14時-18時 土日11時-18時
◯場所:東京都台東区浅草橋2-13-8 MULTI LAB.
受注会とはいえ閉鎖的なイベントではなく、お客様と交流させて
↓ pic.twitter.com/y1XtZ3715w
LIGHTBULBさんのオーダーラインは
MTO・MTM・FULL-HAND BESPOKEの3ライン
底付けは、9部仕立ての類似系と思われるダイレクトグッドイヤーと、フルハンドソーンの2種
MTOはいわゆるよくあるパターンオーダーで
ベース木型から乗せ革での木型修正に対応し
ダイレクトグッドイヤーで11万、フルハンドで21万(シューツリー込み)
MTMは足の計測結果をもとにベースの木型から削りも行い、パーソナルなラストを作成するとのことで、仮靴こみで、
グッド15万、フルハンドで25万
FULL-HAND BESPOKEはまんまビスポークですね
1から木型を作るとのことで、おそらくデザインも自由
フルハンドのみで40万~
ということで、29日、最終日に訪問
まさかの隅田川花火大会と日時がかぶり、変えるタイミングでは結構な着物の観光客にもまれることになりました
中に入ると2つ折りタイプのシューツリーが入ったデザインサンプルがお迎え
さて、実際に試着させてもらった靴ですが(私の勘違いがあり、フィッティングサンプルの写真はこれだけです・・・)
履いた方が皆さんおっしゃる通り、今まではいたことのない不思議なフィッティングです
私が特に気になったのが、
中底の独特な当たり型でした
普通の靴って、まぁ踵にクッション入れて、それ以外はまぁ面で当たってくると思うんですけど、この靴は親指の付け根下部と踵の一番手前
言い方を変えると、土踏まずのアーチの前端と後端に強い当たりを感じます。
アーチ、橋の基礎を支えるようなイメージでしょうか
接客の際に「普段靴を履いていて気になる事はありますか?」と聞くと、
— 世界のヨメセン🌏 (@yome_sen_shoes) 2023年7月26日
(LIGHTBULBが気になる層という事もありますが)ほぼ8割位の方々が『小趾に痛みが出ます』との事でした💦
そんな方々が口を揃えて『小趾が気にならない』と仰って頂けたのは野口さんの木型設計のなせる技🙌🏻
良い仕事してます👍🏻 pic.twitter.com/8YFNyZH4Mi
おそらくその結果として、私の靴選びで障害となっている、特に右の小指へのダメージが、木型修正なしでほとんどない
フィッティングの対応をしてくれた外林さん曰く、私の足は踵が内側に倒れてしまっている回内足という状態だそうで、それを、アーチの後端を押し上げる中底の設計思想で、かかとの倒れ込みを抑えてくれているのだそう。
小指が当たるのは、回内足の典型的な症状だそうで、回内足を防ぐアプローチの結果として、小指のあたりも弱くなっているのではないかとのこと
※野口さんはこの設計思想のラスト(木型)のことを「トータルコンタクトラスト」と呼称してらっしゃっています。
さらに、これは木型の相性ですが、足の甲への負担も少なく
私のもう一つのウィークポイントである、右外側の踵へのダメージも思ったほどではない感じでした。
面白いのは歩行時の感覚ですね。
外で歩いてみて大丈夫とのことでしたので、アスファルトの上で走ったり飛び跳ねたりしてみたのですが、履き始めでここまで痛みがないのがまず驚きではあるのですが
中底だけでなく、靴底の形状もかなり特殊で(ここ写真撮っていなかったことが悔やまれる)足を前に踏み出したときの、足の出しやすさ、みたいなのがまんまスニーカーなんですよね。
この木型が説明しやすいかな
私が履いて感じたイメージではあるのですが、トゥスプリング(つま先と地面の隙間)をかなり大きくとっているうえに、親指の付け根からグイっと持ち上がっている感じ
まさにウォーキングシューズで歩いているような、踏み込みと押し出しがどうじにおきるような歩きやすさを感じました
いい靴ですよこれは
そのほか、デザインはまだまだ多くなくて多分外羽根はベーシックな1種だけ
内羽根だと、ここには映っていないですがフルブローグもあります。
価格はデザインでも変わるそうでべ、ベーシックなストレートチップ(パンチドキャップトゥ)と外羽以外は1~2万のアップチャージがかかるそう
代表的なので用意がないのはモンクストラップシューズとホールカット、そしてブーツモンクストラップは要望が多いので検討しているとのこと、ブーツも検討はしているが、まずは MTMからかなぁとのことでした。MTMでブーツだと20万くらいなりそうですね・・・
ただ、野口さんはMTOできるように頑張ります!ともおっしゃっていたので、そこに期待!
革の種類については、
右から、コードバン(アップチャージは4万円とのこと)
ベーシックの革となるワインハイマー
そしてさらに左には、かなりの色数をそろえた伊マストロット社のスエードが
寡聞ながら初めて聞きました、マストロット社
ちなみにオプションとしてはマイナス1万とのこと
もしかしたら昔RENDOで見せてもらった「セラージュ」という革もタンナー不明とおっしゃっていたのでこれかもしれない
正直触り心地はやはり最高峰、チャールズFステッドのスーパーバックには劣るかなと思いつつ、でもやはり色数の多さは魅力的ですね
私は赤が好きなので、このあたりの色がとても気になります
また、シボ革があったり、ベース価格と同じ料金で、革の持ち込みも対応してくれるとのこと(初めて触る革はやはりリスクが高いそうです💦)
そのほか、まだ取り扱うには生産量などの課題が残っているそうですが、ゆくゆくはジビエレザー、猪革でのオーダーも受けたいとのこと。
先に需要を把握してから革の発注ができるとタンナーさんの負担も少ないよねということで、ジビエレザーオンリーの受注会とかができるといいなぁとおっしゃっていました
そんなジビエレザーを使って、昨年のレザーアワードのフューチャーデザイン賞を受賞した靴も展示されていました。
ほかにも上記マスロット社のスエードを使ったコンビ靴や
非常に繊細な、タンニン鞣しのベビーカーフ インカス社の「パルマ」を使用した靴もあり(HIROSHIARAIで採用しているベビーカーフもここだったような。)
非常に眼福なイベントでした。
正直もう10万円ポンと出せる人間ではなくなってしまったので
買えるか、というとうーん、ちょっと・・・という感じではありますが
あれとあれを買わなければ買えたな、とか、そういう後悔はちょっとしちゃいますね。
しちゃう程度にはほしいなと思いました。マジで
そもそも論として昨今の革靴は高くなりすぎですね・・・
この前のブーツの回でも取り上げましたが
MTOの良心だったRENDOの大幅値上げにより、
それなりの革を使うと10万切れないブランドばかりになってしまったことを考えると、
アップチャージなしでワインハイマーを選択でき、木型から起こした国産シューツリーがついていて、しかも靴底は9部仕立て(正確には違うけど)
とかんがえると、国産のネームドなブランドの中では十分戦える価格帯かもしれないなぁと思いました。
仮靴ありで15万というのも本当は破格なんよね。
そういった意味で、いい靴だし、価格的にもかなり頑張っているのはわかるんだけど
革靴業界そのものが、初心者にはなかなか手が出ない高級な趣味になってきてしまっているんだなというのも感じた一日でした