なんでこの漫画を手に取ったのかがいまいちよく思い出せないのだけれど
たぶん読んだ媒体はピッコマかなぁ
途中まで読んで、なかなかに刺さったのでそのまま単行本を購入
木村イマさんの作品と同じパターンですな
セックス依存症の女性 のどかと
他人に性欲を抱かない男性 庸司
の出会いを通して
彼ら彼女らの悩みに触れ
マイノリティであること
について考えるきっかけになる漫画
作者後書きで語っている通り
庸司の性的志向”アセクシャル”についてがおそらく本作の主題で
のどかに関しては、彼と正反対の存在としてアサインされた感じはあります
庸司の性的志向については、少なくとも作品中では生まれついてのものであり
理解されず、理解されることをあきらめてきた庸司が
のどかとであい、正反対ではあるもののセクシャルマイノリティである者同士としてその志向との向き合い方を知り、より前向きな将来を志向していく
そうであっていいんだ、というポジティブなメッセージを感じます
でも、のどかの性的志向には原因があり、でもそれを自分として育ってしまい
もはやそれが自分となっている
たとえ”ビッチ”とさげすまされても、そうでない自分にはなれない
食欲や睡眠欲と同じようにあるその衝動を、手放せない
たぶん、”原因がある”ということも含めて庸司と対照的な存在として設定されているんだろうなとは思うんですよね
そして、そんな正反対な2人だからこそ
2人が出会い、お互いを認め、関係性が醸成していくのがすごく尊くて
終盤の展開、今の延長線上にある未来ではあるのだけれども
そこで変に劇的な何かを用意しないところがとてもテーマに対して誠実で
恋愛感情はなくても、情はある
2人はこれからも、マイノリティであることに苦しむことがあり続けるのだろうけれども
その情の繋がりで、その苦しみはきっと軽減されていく
そんな明るい未来の見える素敵な漫画でした
正直もっと早く読みたかった
セクシュアルな話ではないけれども、自分も人間として外れている、欠けている自覚があって、ただそのことに気づくのが遅く、今更軌道修正できないということもカウンセリングを受けてよく理解しているので
もっと早く、正直大学生のころにはうすうすそうなんじゃないかと感じていて
ただ10年以上前の当時、そういうことについて名前がついていた時代でもないので情報も少なかったんですよね
作中に出てくるような、緩やかなコミュニティの存在が、例えば大学時代に私にもあれば、何か違ったのかな、今悩んだり苦しんだりすることもなかったのかな
と考えたりもします
と、自分語りになってしまいましたが
読後感がすごく爽やかで1冊でさくっと終わるので結構おすすめな漫画です
ついでに、同じ作者のこちらの漫画も百合ものとしてかなり上質だったのでお勧め
ちなみに、セクシャルマイノリティ関連の漫画はもう一個面白いのがあったのでそちらもまた紹介する予定です