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元慰安婦等による韓国国内の訴訟について

あんまり政治ネタをこのブログで書くつもりはなかったのですが、さすがにあまりにもな感じだったので、ちょっと自分でもまとめてみようと思いまして筆を執りました。

 

 

 

前置き


1月8日、ソウル地裁は元従軍慰安婦が日本政府を相手に起こした訴訟に対して
日本政府に賠償を命じる判決をくだしました。

 

this.kiji.is

当然日本政府は強く反発しておりますが

 

www.kantei.go.jp

 

それだけ大きな問題でもあると思います。

 

まだ地裁の判決ではありますが
日本政府は「主権免除」の原則を理由に裁判自体が無効であるとの立場からリアクションを採る予定はなく、この地裁の判決で確定することになります。

で、ニュースでもたびたび繰り返されてきた「主権免除」って何でしょうね、というのが
今回の記事のメインになります。

 

まずはウィキペディアを見ていきます。

 

主権免除とは

 

国際民事訴訟において、被告が国または下部の行政組織の場合、外国の裁判権から免除される、というもの。国際慣習法の一つ。

主権免除 - Wikipedia


ちなみに国際慣習法は、国際法の一つで、明文化されてはいないものの

国際関係を規律するもの

であり

基本的に批准などの手続きを行った国だけに適用される条約と違い、国際慣習法はすべての国々に普遍的に適用される

ものになります。
国家間で不平等が起きないようにたとえ新しく独立した国であっても拘束されるべきものとのこと

 

つまり、主権免除の原則に照らし合わせればA国はB国の司法で裁かれないけれど、B国はA国を司法で裁く、というのは不平等ということですね。

 

ただし、国際週刊法は不文律であるがためにファジーな部分があり、それは主権免除についてもいえることではあります。
このファジーな部分を排除するために明文化した条約によって国際習慣法を置き換えていっており、主権免除についても「国連裁判権免除条約」があるが、効力を発生するためには20か国の批准が必要だそうで、批准国数が足りない(18か国)ために効力を発揮できていない状態だそうです。
あと2か国ならすぐそうな気もしますが、10年以上前の制定で足りてないってことは、よほど能動的に動く国がない限り無理なんでしょうね・・・

まぁ批准したとしても批准国同士では条約の規定に基づき国家間の関係をマネジメントしていくだけで、批准国と非批准国との間では国際習慣法に基づきマネジメントされていくことになるでしょうし、韓国は今のところ批准国ではないようですからどのみち日本と韓国間の争いでは国際習慣法をもとに争っていくことになると思います。

 

今回の判決について

さて、前置きが長くなりましたが、実際の判決について触れていきたいと思います。

こちらがソウル地裁が下した判決の内容となります。

 

www.yomiuri.co.jp

以下重要な個所を引用

 

本事件の行為は、日本帝国による計画的・組織的で広範囲な反人道的犯罪行為として、国際強行規範に違反するものであり、当時日本帝国によって不法占領中だった朝鮮半島内で、我が国民である原告に対して行われたものとして、たとえ本事件の行為が国家の主権的行為だとしても、主権免除を適用することはできず、例外的に大韓民国の裁判所に被告に対する裁判権がある。

 

これが主権免除が適用されない理由だそうで、悪逆であれば主権免除は適用されないとの事。
正直、法律ってそういうものなのでしょうか?という疑問で頭がいっぱいです。
その前段で

 

国際司法裁判所は2012年2月3日、ドイツとイタリアの事件で、「主権免除に関する国際慣習法は、武力衝突の状況における国家の武装兵力及び関連機関による個人の生命、健康、財産の侵害に関する民事訴訟手続きにも適用される」との趣旨の判決を宣告したことがある。

 


と過去の国際司法裁判所の判例が例示されております。
このドイツとイタリアの事件は「フェリーニ裁判」と呼ばれ戦時中のドイツ軍の非道行為に対してイタリア人のフェリーニ氏が起こした訴訟になります。

 

フェリーニ事件


参考

www.donga.com


イタリア司法はドイツ政府に対して賠償を命じたものの、ドイツ政府は支払いに応じず、国際司法裁判所(ICJ)に提訴した結果主権免除が認められています。
その後改めてイタリア司法は賠償命令を出していますが、国際法が国内法よりも優先されますので意味のある行為ではないと思います。

また、ソウル地裁の判決文でも建付けは、「フェリーニ事件についてはICJは主権免除を認めたが、慰安婦問題はそれよりも悪逆なので認められない」という建付けなので、なぜわざわざ引用した?という感じ。
蒸し返されてイタリアも迷惑なのではなかろうか

さらに後段で

 

その根拠として、韓国憲法、国連の世界人権宣言でも、裁判を受ける権利をうたっている。権利救済の実効性が保障されなければ、憲法上の裁判請求権を空文化させることになる。裁判を受ける権利は、ほかの実体的な基本権とともに十分に保護・保障されるべき基本権だ。

 

という記載があるが、これはもう主権免除の原則そのものを否定する内容なので、本当に韓国司法は自国民に甘いなという感想しか出ません。

そういう国が出てくるから国際習慣法の中で主権免除の取り決めができたんじゃないですかねぇ。

 

個人的な見解

 

先の段落で述べた通り、国内の司法が他国を一方的に裁判にかけて断罪するのは、その国の性質や法律に依存しすぎると思うんですよね。
韓国のように日本に対して一方的に厳しい雰囲気を持っている国であればなおさら、日本有利な判決は出ないでしょう。
また、司法の判決の根拠は国内法だと思うんです。

国内法は国内にしか適用できないから国内法なのであって国内法が他国を縛ることは基本的にはないはず。
主権免除の適用外も

 

20世紀にはいると国家が営業的行為を行うことも出てきたため、そこまで認めてしまうと商行為の相手方に不利益になるため、一定の事項のみを免除するという立場が出され(後述の制限免除主義)、現在では制限免除主義が有力となっている。

 

とのウィキペディアの記載があり、これは政府を(その出先機関が)他国で商業活動を営む法人格としてとらえているということだと思うんです。
1国家としても、他国で商売するんだったらその国の商習慣・法律に従いなさいよってことだと思うんですね。

しかし、過去の戦争などの非道行為については、これは司法ではなくて外交だと思うんです。

太平洋戦争の後処理として「東京裁判(極東国際軍事裁判)」がありましたが、あれはポツダム宣言の中に「日本政府が国連軍の命令に従う」という内容が含まれていたからでしょう。
連合国に対し、日本の同意があったということです。

戦時中の不法行為に対する補償は、外交努力によってなされ、日韓であれば
国交回復の契機となった「日韓基本条約」に紐づく「日韓請求権協定」のなかで、
つまり外務省同士対等な立場の中での折衝の中でその責任と賠償について結論付けたわけです。
またこの日韓請求権協定で
日本政府に代わり韓国政府が補償金を個別に支給するとし、そのために約11億ドル支払いをしています。
そして協定の第2条において

両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める

としているので、後出しで「これは含まれないこれも含まれない」と韓国司法が断定し、韓国政府がその判決を支持するのであれば、韓国政府は日本政府に対して国内法の判決を遵守しろと命令するのではなく日韓基本条約の修正をするように外交努力すべきだと思うんです。
本来は、後から出てきた事案についてもこの11億ドルで何とかしてね。ってことで(2国間においては)完全かつ最終的な解決したことについて同意した。ということだと思うんですよねぇ。


ちなみに、虚偽の資料で慰安婦問題に火をつけた朝日新聞からはこんな記事が上がっていますが

 

webronza.asahi.com

決まりですから? 誰がどう定めた決まりなのか説明がないまま、そう断じた。

誰?国際法ですが?って感じですね。全体的にミスリードさせようという気が満々でさすが朝日新聞といった感じでした。

もちろん主権免除の原則が不文律である限り、その適用範囲については流動的な部分もあるでしょう。ソウル地裁の判決にあるように

主権免除の理論は、恒久的で固定的な価値ではなく、国際秩序の変動によって修正され続けている。

ものでもあるでしょう。しかし国際秩序の変動によって修正されるかどうかは1国家の司法が断定できるものではなく、本件についてもICJの判断を仰ぐべきだと思います。

 

 

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