前作DUNE Part1公開後、首を長くして続編を待っていたわけですが
3年後の今年、やっと公開されました
DUNE Part2
公開を本当に楽しみにしていたし
すでに公開されている海外の評価も抜群に高かったので
不安を抱くこともなく、安心して見に行くことができました!
本当に最高でしたね
久しぶりに大作らしい大作
SFらしいSFを見ることができた気がします
あらすじ
敵対するハルコンネンの虐殺から逃げたポールとその母ジェシカは
ハルコンネン家と対立する先住民フレメンの民の信頼を勝ち取り
反ハルコンネンゲリラ活動を続けていた
ポールを未来を見通す救世主「マフディ」とみなし始めるフレメンの部族長スティルガー
それを否定しつつも、未来の幻視におびえるポール
ハルコンネン家では、ポールを逃がし、スパイス生産もゲリラによってうまくいっていないラッバーンが失脚し、より凶悪で残忍な、フェイド・ラウサが次期ハルコンネン男爵として、砂漠の惑星アラキスに赴任することとなった
ポール、ハルコンネン、そしてハルコンネンと陰でつながる帝国皇帝の思惑が交差する
カット一つ一つが美しい
本作の一番の魅力は、間違いなくドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の生み出す圧倒的に美麗な絵作りにあると思っています
砂漠の惑星アラキスの強い日差しと砂漠のオレンジ
オレンジを主体とした絵の中に、印象的な影が映り込む
かと思ったら、違う惑星では完全に色が消え去って、強い白と陰のモノクロで描かれていたりする
おそらく惑星ごとの環境の違いを色味で表しているんでしょうね
そのモノクロの星も、極端さがキャラクターの内面も強調していてよかったですね
また、キャラクターのコスチュームも独創的で凄く良かった
個人的には中盤から終盤にかけてのジェシカの服装
神秘的でありつつも、ベールの奥に不穏さも感じ取れる素晴らしいデザインだと思います
成長したポールの演技に感服!
本作で個人的に一番ノックアウトされたのが、とにもかくにもティモシー・シャラメ
前作のどちらかというと細くてなよなよした青年から
本作はぎらぎらとしたバイタリティを感じさせる眼力で常にスクリーンの先にいる視聴者たちを魅了してくる
青年から成年に明らかに成長している
本当に、彼の一挙手一投足から目が離せない
ある時は英語で、ある時はフレメンの言葉で、
ある時はささやき、ある時は怒声を上げる
迫力がありましたねぇ
そして、レディ・ジェシカ役のレベッカ・ファガーソンも、最愛の息子と、これから生まれる娘のために、母である以上に、宗教的指導者として、積極的に物語にかかわってくる様が、美しくもおぞましくて最高でした
マジでレベッカ好きなんだなぁ俺
思った以上に不穏な空気感も良い
本作面白いのが、決してポールを崇高な意志を持った聖者として描いてていないんですよね
全てを奪われた未熟な後継者だった前作から
砂漠での過酷なゲリラ活動でたくましく成長するのだけど
彼を予言者、指導者として祭り上げようとするフレメンの民と
同様に、自身の宗教的価値観でフレメンの民の中でも弱者たちをまとめ上げようとするジェシカ
主人公サイドのこの2つの勢力にポールは中盤までは抗うのだけれども
覚醒してからはその状況を積極的に利用して、フレメンの中で地位を確固たるものにしていく
そのさまが、もしかしたら私の価値観が変わってきたからなのかもしれないんだけど
格好いい、よりも怖い
という感情が大きくなっていったんです
で、これはおそらくドゥニ・ヴィルヌーヴ監督意図的だと思うんですよね
いろいろ資料あさってたら、原作自体が、ポールを救世主として描くことに否定的だったようだし
それについてはチャニも劇中で何度も不快感を口にしているので、
主人公サイドがポールによって見事に一つにまとまるシーンがあって、本来テンションぶちあげなシーンのはずなのになんか素直におおおーってならない
え、なんかこわ・・・こいつら大丈夫・・・?ってなる感じ
結構新鮮でした
不満もなくはない
新キャラの魅力はもう一つ
基本的には前作の人間関係を持ち越していて
ウラジミール・ハルコンネンと、ポール・アトレイデス
の対立構造がストーリーの軸になっているのだけれども
ストーリーの大半は主人公サイドの視点で動いていくので
対立する、ハルコンネン家と、そしてそのバックにいる帝国の新キャラたちの影が薄い
また、主人公サイドも描写が多いとはいえ、基本的にはポールとジャニ
そして、母レディ・ジェシカの動向がメインで
新キャラらしい新キャラいなかったですね
まぁこれについてはむしろ、メインキャラクターにフォーカスして寄り道しなかった
という評価のほうが正しいのかもしれないですが
次でも語りますがフェイド・ラウダくん割を食っているかなぁという感じ
ちょっと巻いている感もある
古典的名作でありながらも映像化に恵まれなかった理由の一つに長いから
というのがあるとは聞いていましたが
本作もやっぱり駆け足な感じはあります
3時間弱あるのにね
ここからちょっとネタバレが含まれるので、未見の方は注意
主人公サイドの話を丁寧にやった分、敵サイドの描写は本当に最低限
特にフェイド・ラウサ君はもったいなかった
ヴィジュアル完ぺきで、狂気と強気が体からにじみ出ていたのに
顔見世した後は劇中での活躍はほとんどなく、失脚したラッバーンの代わりについたメランジ採掘の任務は口頭でうまくいっているというのみ
そしてラスト、という感じで
登場シーン自体の活躍はかなりさせてもらったとは思うんだけど、
せっかく良いキャラだったので、もっと出番があっても良かったんじゃないかな
完全にやられ役に落ちてしまった私の大好きなバティスタ演じるラッバーンとともに
もうちょっと語られるべき情報があったのではないかと思う
また、皇帝がアラキスに降り立つ流れも個人的には結構唐突に感じたんだよね
見逃したのかな。ポールがアトレイデス家の封蝋付きの書類で対決を訴えたから舞台に降り立ったという認識でいるんだけど、
そんな簡単に対決に応じていたら皇帝の命いくつあっても足りんよなと思うし
対決に皇子に来たのではなく、アトレイデス家の嫡子を始末し損ねたハルコンネン家に灸をすえるためだとしても、わざわざそのためだけに敵地に赴くかしら
というのはちょっと気になりました
が、まぁ楽しかったのでここら辺は些事です
最後に
明らかに今作で終わりじゃないでしょう。
・・・終わりじゃないよね?
ゼンデイヤ演じるチャニのその後が気になりすぎて、海外版ウィキペディアを翻訳して読んでみたんだけど
なんか全然終わり方が違うんだよね
ここからそのまま、ドゥニ監督制作に意欲を見せている続編「DUNE 砂漠の救世主」にはつながらない
続編ではポールが皇帝になって12年後が舞台なのに他家から皇帝として認められず、全面戦争で終わるのは尻切れトンボすぎるし
ポールとたもとを分かったチャニがその後どうしたかも描かれてしかるべき
何よりも、ここで終わってしまうと、「ポールは救世主ではない」とうテーマが全く反映されない
Author Frank Herbert said in 1979, "The bottom line of the Dune trilogy is: beware of heroes. Much better [to] rely on your own judgment, and your own mistakes.
著者のフランク・ハーバートは1979年に、「 『デューン』三部作の要点は、英雄たちに気をつけろということだ。自分自身の判断と自分の間違いに頼るほうがずっと良い」と述べた。
あとりあえず、元気があったら、原作と映画の乖離を、英語版ウィキペディアベースではあるけれども次にまとめてみたいなと思っています