コロナ禍によって延期になっていたクリストファーノーラン監督の最新作
TENET
アメリカではまた新型コロナウイルスの感染者が増大しており複数の大作映画が再度の公開延期が決定している中で、1度延期はしたものの
9月18日公開日をさらに延期せず、上映に踏み切ったのは感謝しかないです。
内容的にもネタバレ厳禁な感じがプンプンしたので
なんとか時間を作って4連休中に見に行くことができました
ということで感想です!
- ノーラン節は健在!独特の雰囲気に酔いしれる名作でした!
- 語られていないことがたくさんあるけれど内容自体はシンプルかな?
- 無粋だとは思うんだけど、矛盾や違和感は気になりますね
- ラストの後名も無き男はどんな人生をたどるんだろうね
- 最後に
ノーラン節は健在!独特の雰囲気に酔いしれる名作でした!
クリストファーノーラン監督の作品って、共通して独特な雰囲気があると思うんですよね。
本作でもまた、IMAXのフィルムカメラを使っているのでしょうか
もしかしたらそのことに依る質感もあるのかもしれないですが、重厚さ
端的に言って重さを感じるんですよね。
本作でいうと、管弦楽団によるチューニングの音をBGMに始まるところ
音で重さを演出しているなと思いました
俳優のキャスティングも素晴らしいですね。
個人的にコードネームUNCLEやGotG2で悪役を好演していたエリザベス・デビッキ
大好きなんですが
目と口、特に口角が好きなんですよね
含みがある感じと言うか
一回しか見に行かないと思うんだけど、一回見ただけじゃ理解できないんだろうなぁ
— べる (@bel729) 2020年9月22日
取りあえず悪女なエリザベス・デヴィッキしか見たこと無いから味方っぽいデヴィッキが楽しみ pic.twitter.com/C2x3a1Yu1i
本作では本当に幸薄そうな、薄幸の美女を演じてらっしゃって
そのスタイルの良さと合わせて彼女の演技から目が離せませんでした。
そして、本作の撮影中に「The Batman」のオーディションを受けたことがちょっと話題になっていた
ロバート・パティンソン
スクリーンで彼を見るの初めてなんですが、
メチャメチャ美男ですね。
ニヒルな笑顔にハートを射抜かれてしまいましたw
勿論本作の主人公、名前のない男を演じたジョンデイビッドワシントンも良かったのですね!
作中で様々なスーツをバシッと着こなし、はじめはただ巻き込まれれただけの男がだんだんと主体性をもって動き出し、最後に真実にたどり着く
彼が主役であり、主役は彼でないと演じきれなかったろうなとも思う風格を感じました。
今回ノーラン組の常連俳優としてはマイケル・ケインと
あとは、ダンケルクから続投のケネス・ブラナーのみと新しい顔ぶれが多かったですね。
ただ、やはりマイケルケインがちょっとでも出ると画面が締まりますし
MCUでマイティソー1と2を監督したケネスブラナーの貫禄!
シェイクスピア俳優とも呼ばれる彼の演技もまた作品に重厚感を与えていたなと思います。
あ、アーロンテイラージョンソンは言われるまで全く分からんかった
キックアスから顔変わりすぎやろ
作中での活躍は途中からなものの、やはり名優、いい活躍でした
語られていないことがたくさんあるけれど内容自体はシンプルかな?
非常に難解な作品だといわれていますが
それは、作中で語られないことが多すぎること、
タイムトラベルのシステムが斬新なことに起因するもので
ストーリーについてはシンプルだとは思うんですよね。
で、あれって結局何だったんだろう?っていうのは確かに結構あったとは思うんですけど
舞台装置が難解なだけで、ストーリー自体がシンプルなのは、やっぱりインセプションやインターステラーと同じだなぁ
そういえば、インターステラーの未来人は、現代人である作中のキャラクターに
現在を救う知恵を授ける存在なのに対し
本作の未来人は現在を消滅させるために現代人である作中のキャラクターに技術提供するんですね。
真逆なのが面白い。
TENETあらすじ解説
未来が行き詰ってしまったため、時間を逆行させる装置を開発した未来の科学者がそれを過去に秘匿し自殺した
その装置を起動させ時間の流れを逆転させることで、世界を存続させようとした未来人たちが
秘匿した時代(現代)の武器商人セイター(ケネス・ブラナー)に指示をして装置の起動させようとしている。
その装置の起動を防ぐため、謎の組織のテストに合格した名も無き男(ジョン・デイビッド・ワシントン)が
仲介人であるニール(ロバート・パティンソン)
武器商人セイターの妻でありながら彼に脅され自由を奪われているキャサリン(エリザベス・デビッキ)とともに
過去にさかのぼりながらセイターの計画を阻止する
といった感じだと思うんですよね。
インセプションでの「夢に入る装置」的なものが
本作における「プロトコル」=時間逆行装置で
Fateの大聖杯小聖杯みたいに
世界の時間の流れそのものを逆転させる大プロトコルと
装置の中に入った物質の時間だけを逆転させる小プロトコル(パンフでは回転ドアと言う呼称を使ってました)の2つがあって
大プロトコルを完成(正しく起動?)させるために小プロトコルを使ってセイターは暗躍していたってことになるのかなぁ。
ちょっとよく理解できていないところの一つなんだけど、
大プロトコルを過去に送ってウランに偽装したのは時間逆転を阻止したい自殺した科学者ってことでいいんですよね?
ちょっと聞き逃しがあった気がする
その大筋の中で、最後の大部隊は何なのかとか、
結局ニールは誰だったのかとか
時間が逆行する装置によって、今誰がどこにいるのかがあいまいになっていたりとか
そういったところでやっぱり混乱しますよね。
たぶん自分も把握できていないんだろうなぁと思ってはいます。
ただ、そういったところを枝葉として切り落としていって、シンプルにストーリーをみていくと、なるほどそこがそうつながっていくのかと、疑問がつながっていくのが気持ちが良かったですね。
特に、キャサリンがボートで見た飛び込む女性については、
彼女があこがれた人物の正体が未来の自分だったというその綺麗さに思わずうなってしまいました。
ついでにセイターなんやかんやで一途だったんだなwとちょっとほっこりしたり
あの船上の二人は未来から過去に戻ってきた二人なんだよなぁ。そこもうまくできているなぁとおもったりね。
最後の最後で名も無き男の正体(未来)が判明したのも熱かったですね。
ちょっと言葉で説明しすぎている感じもありましたが
彼にとっての始まり、その後を、外伝作品とかでいいから見てみたいなぁという気持ちでいっぱいです。
多分これくらいの情報量で考察するくらいが良いんだろうし、
— べる (@bel729) 2020年9月22日
無粋なのはわかりつつもサイドストーリー見たい
凄いエンディングの先が知りたくなる映画だった
まぁワケわかんない部分も多分にあったけど、パンフレットで少しは補完できるだろうか pic.twitter.com/xLCo89o7er
無粋だとは思うんだけど、矛盾や違和感は気になりますね
ただねぇ、整合性が気になってしまうんですよね。
特に、ドラえもんとかみたいに、遠く離れた過去や未来で何かをするのではなく
ある意味で来た道を戻る、マッドマックス的なストーリー展開でもあるのですよね。
(時間を)行きて戻る
だから、キャラクターの行動に必然性が付与されてしまい、意志の介在が感じられないように感じてしまうのがどうしても気になってしまいました。
例えば謎が解けて最初にびっくりする美術品保管施設での戦闘
2人いると見せかけて、どちらも未来の名前のない男だった!
そこの仕掛けにはびっくりしたし、これはすごいとそのシチュエーションを構築した巧みさに唸ったと同時に、
なんというか、なぜ戦闘になったのかが、未来の彼の視点からだとわかりづらいんですよね。まぁ過去の自分に襲われたから対応していただけなんでしょうけど
過去の自分をあまりにも躊躇わずに打つから、
「おいおい大丈夫かよ」
とちょっと焦ります。
「過去の彼を撃ったが外れた」
という事実がすでにあるので、それをただなぞったように見えてしまうのも問題で
意志と、行動のどちらが先にあるのかがすごくわかりづらいなぁという印象。
キャサリンがセイターに逆順のなかで撃たれたときも、順行なら死ぬけど逆順なら助かるはまだギリ理解できるが、傷が残るのがよくわからない
ラストのニールの決断も彼が決断したから名も無き男が助かったのか
名も無き男が助かった事実があるから彼はその行動をなぞったのか
そこのパラドックスがどうしても気になってしまいました。
まぁそれを差し引いても、ラストのパティンソンめっちゃかっこいかったですけどね!
名も無き男が任務中はお酒を飲まないことを知っていたのも、
調べたから
ではなく
長い付き合いだったから
なんだねぇ。。。。
あそこで名も無き男を助けなければ、未来の自分と彼との出会いもなくなる。
死に場所を悟った男の後姿は最高にかっこいい!
あれは惚れる。マジでザバットマン楽しみ
ラストの後名も無き男はどんな人生をたどるんだろうね
上でも書いたけど、名も無き男のこの先がみたい
ニールやその他の部隊のメンバーにとってはこれで終わりだけど、彼にとってはこれからなんだよね。
取りあえず当分は同じ時間軸に名も無き男が二人いることになるから過去の名も無き男が逆行するまで身を隠すのだろうか。
そもそも名も無き男は死んだことになっているからあまり関係ないのかな?
そして、自由に動けるようになったら
これまでたどってきた過去に繋げるために未来を作らないといけないわけで、そこもドラマチックだと思うんだよなぁ。
まぁ、ここでもタイムトラベルのパラドックスは感じてしまうが。
名も無き男がその職務をサボるとどうなるんだろうってね
最後に
ウィキペディアの情報ですが
本作は
「SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS」
というラテン語の回文に関連性を持たせているようです。
SATOR式と呼ばれるこの回文は、
「農夫のアレポ氏は馬鋤きを曳いて仕事をする」という意味だそうで、内容自体に意味はないと思われますが
5×5のマスの中に収めることで
右から読んでも左から読んでも
「SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS」というだけでなく
左上から右に読んでも、下に読んでも
そして
右下から左に読んでも、上に読んでも同じ
「SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS」
というとんでもない構成の文章になります
作中の単語として
武器商人「SATOR」
彼の美術品を補完する 「ROTAS」
美術鑑定士 「AREPO」
物語の始まりキエフ「OPERA」
そして「TENET」
とこの回文をかなり意識した作品であることは間違いがない
ちょっとこの回文にも感動しましたし
この回文から時間を行きて戻る壮大なストーリーを構築した
クリストファーノーラン監督はやっぱり天才なんだなと
改めて実感しました。
いやー、時間があったらもう一回見たいですね!
※過去のノーラン監督作品の感想はこちら