セール対象の一迅社に百合姫があるので、百合漫画たくさんセール対象になってます
たとえとどかぬ糸だとしても
に続き、百合漫画感想2本目
こちらもマガジンポケットでも公開中です
マガポケでの公開は割と最近だったので、こちらはポイントを使用する前に全巻購入した
つまらない自分から逃れたい 綾 はマッチングアプリで出会ったKUROと文通のような関係を続けていたが
あるときKUROの綾への感情が友情ではなく情欲であることを暴露され
KUROは綾に、自分の家に来るか、関係を終わらせるかを綾に迫る
間違いであってほしいと願いながらKUROの家に向かった綾はしかし
KUROに家の中に引き込まれ
襲われるのだった
というところまでが1話の内容
濃密
普通ではないと拒絶したい反面、普通に埋もれ息苦しかった今までを思い返せば
その普通でないことがあまりにも甘美であがらいがたく、そのままずるずるとKUROとの関係を続けてしまう綾
そこから、KUROが綾に求めるものが昔の思い 人夜瑠 の代わりであると綾が気づき
彼女の望み通り夜瑠を演じるようになる
たとえとどかぬ~は、恋愛感情の前に家族であり、感情を秘することの苦しさを描いていたので、描写的にはわりとプラトニックだったのですが
いつでも切り捨てられるネット以外に結びつきのない相手に情欲をぶつける関係性なので、割と濃厚な描写がありますね
端的に言って凄くエロイわけですが
個人的にすごく面白いなって思ったところが
KUROと触れ合ううちに変化していく綾の感情
初めは拒絶
そこから、自分は夜瑠の代わり、KUROの愛情は自分に向けられるものではないからと言い訳して、”割り切って”
関係を続け
しかし、夜瑠に向ける弱弱しい、縋るようなKUROの愛情をぶつけられるにつれ
その愛情が”欲しい”と暗い熱が綾に帯び始めるのがぞくぞくするんですよ
KUROによって変えられていく、積極的に変わろうとする綾
そして、KUROを変えようとする綾
単行本の表紙も、2巻までと3巻からで攻守が逆転しているのがいい
そして、欲が強くなっていく綾とは対照に、綾を通して夜瑠に依存してどんどん弱くなっていくKUROもまた魅力的で
というか、もともと弱弱しい自分を理論武装で鎧を着て隠していただけなんだよね
というのも見ていてぞくぞくするというか
こういう湿度が高い百合漫画が好きなんだろうなぁ
で、そこに、またKUROの前に姿を現した夜瑠
綾の変化を不審に思う幼馴染の陽紀の独占欲が絡みだしてぐぐっと湿度が高くなるのがたまらないですよ
特に陽紀は、奪われて気づく自分の感情というのが ウタと似ていますね
負けヒロインになってしまったウタという感じでしょうか
自分の中の感情の名前を知らず、
やっとその感情に名前を付けて、受け入れて、綾にたたきつけて全力で打ち返されるところも好き
多分陽紀は同性愛者じゃなくて、綾だけがそうだったと思うので
ここでばちこーんと振られたら普通にどっちでも行けちゃうんじゃないかな
という気がしないでもない
夜瑠はまぁひっかきまわすだけのある意味狂言回しのようなポジションでしかないのは確かなのだけれども
彼女の存在で綾の覚悟が決まり
覚悟を決めて本気で綾がKUROを奪いに行く5巻
マジでかっこいいと思うんですよ
綾の目つきがもう変わっちゃうのよ
だから
毒が欲しいのあの人よりもっと強い
猛毒
あとはもうジェットコースターのように突き進んで
KUROの心を攫っていくんだから爽快感も半端ない
最終話のこのページが1話の対比になっているのもいいんですわ
対比大好き人間なので
引っ込み思案で殻に引きこもっていた少女が
恋を知って嫉妬して殻を突き破って広い世界に足を踏み出す
自分に前向きになれたから、学校での交友関係も広がってそうな描写もあって
そういう風に考えると、すごく真っ当な恋愛ものだなぁとも思ったり
とか言い訳してみたけどまぁ普通にエロイっす
表紙の時点でかなり、というのはあるけど
なんでリアルでは勧めづらい漫画ですねぇ
勧めづらいけど、結構読んでよかったなって思うんですよね
特に後日談、KUROのために変わる努力をした綾に答えるKUROっていう図式が
凄くエモくて
エロくてエモくてとても良いです。
欲を言うならばもう少し先の未来まで見たかった