最初はね、いちゃいちゃレズもの最高ですやん的な
ほのぼの日常系漫画だと思って読んでいたんですよ
いちゃいちゃして、すれ違って、
本音で話し合って仲直りして
未来に向けて一歩一歩進んでいく、そんなポジティブな漫画だと思っていたんだ
最近読んでる漫画もよくも悪くもそういうのばっかりだし、この漫画にもそういうのを期待していた
んだけど
違った
全然違った
付き合ってあげてもいいかな
ってちょっと傲慢な台詞だなとも思ったんだけど、此もきっと伏線で
実際は
軽い気持ちで付き合い始めたはずが、思った以上に本気になってしまい、でも今更かっこ悪くて本心を伝えられずに自縄自縛になってしまった冴子と
はじめて告白されて女の子と付き合い始めたけど、彼女に向ける感情が好きなのかどうか、自信が持てないまま依存していったみわが
ぼろぼろになって別れて
新しい出会いをへて
ちょうどいい関係を見つけていくお話、なのかな
軽いのりを期待してたら急にガツンと殴られた感じはまどまぎ以来かも
破局以降から単行本の表紙のテイストもガラッと大人びるんだけど
辛い話だな、
しんどいなと思いつつも
すごくいい漫画だなと思ったのは
世の漫画が、付き合いました、破局しました
で終わるのが多いのに対して
本作は、
破局しました
から、更に進んで
どうして破局してしまったんだろう、どうすればよかったんだろう
と
ボロボロになりながら、自省し
次の出会いを大切にする
フィクションだから
どうしてもそこにある出会いを特別なもの運命の二人として扱いたくなるところではあるんだけど
現実と同じように、どの恋愛も、誰との恋愛も
主人公であろうとモブであろうと等しく扱って
失恋したって死ぬわけじゃない、次がある
という流れに持って行ってるの
これをフィクションでやるのはかなり勇気がいることなんじゃないかなと思うんですよね
正直私は途中まで受け入れられなかった
できれば二人に、よくある漫画のようによりを戻してほしかったんだけど
恋人から友人になる物語も
あってもいいのかもね
と思えるくらいには、この漫画を好意的に受け止めているのかもしれない
作者は、レズ、あるいは百合を特別なものではなくどこにでもあるものとして扱いたかったとコメントしているんだけど
たぶんこれもフェイクなんだと思うんですよね
だって、読み返していくと第1話の時点で二人の関係が破綻する伏線を丁寧に描いている
みわは、冴子ではなく同性愛が許される環境を愛していることをずっと示唆し続けているし
冴子は、誘った側の余裕を見せたくて自分の心にうそをつき続ける
みわの”付き合ってあげてもいいかな”というノリに冴子は消耗し続けるんですよね
でも、それはそこに至るまでひた隠しにしてきていて
その一環としてのコメントなのではと思う
だって同性愛であることについて、そのネガティブな面を
私が読んだどの百合ものよりも真正面から向き合っているんですよ
これは同性愛だからこその問題だな、しかも別れた後だからこそ生じる問題だと
そういうのをオブラートに包まずガツンとぶつけてくるのがとても誠実に感じて
いっそ気持ちいい
いや、どこにでもあるものだからこそ、特別ではないからこそ分かれちゃうのかな
2人とも、実は冴子もちゃんと女性と付き合うのが初めてで
その”特別”な関係性を維持することに必死になりすぎていろんなことから目をそらし続けて
辛い結末を迎えてしまう
たぶん関係性にこだわり過ぎて、相手そのものを見れていなかったのは2人ともなんだよね
普通じゃない、普通じゃないと張り切って、必死になってしがみついて、だめになって
でも、それを糧に
2人は2人が自然体でいられる新しいパートナーを迎えることができた
同性だからとと言って、肩に力を入れる必要はないんだ
上手くいかなかった過去があるからこそ
それに気づき
上手くいっている今がある
2人は、上手くいっている今をいつしか笑いながら話せる中になる
もう最新話まで追いついてしまって
そんな未来が示唆されつつもそこまでたどり着くにはまだひと悶着二悶着ありそうではあるのだけれども
恋愛ではなくても、これも特別な二人の関係と
そう思わせてくれる
そういう意味では運命の出会いを果たした二人の
そんなエンディングを追っかけて行こうと思っています
好きな展開じゃないのに、すごく好きな漫画になりました
思いのほか刺さったので思わずグッズも買ってしまいましたw
どこで着るんだって話ですけどね💦