あんまり興味があるジャンルの話ではないのだけど
どちらかというと
「こんな簡単に許可取り消していいの・・・?」
とそういった意味で恐怖を覚えたので、ちょっと色々調べてみました。
最初に
参考にした元記事はこちら
状況整理
私の現状認識は以下の通り
6月23日、24日開催の水着撮影会について
埼玉県共産党が「性の商品化」を理由に中止をするよう県に申し入れをした。
この時点で未成年の参加は確認できていないため、未成年が参加しているから中止を要請した、は事実と異なる。(共産党としては未成年が参加していようがいまいが関係ない)
公園を管理する公益財団法人「埼玉県公園緑地協会」は同時期に開催予定のすべての水着撮影会に貸し出し禁止の”要請”を行った。
緑地協会はこの要請と共産党の要請との関係性は明確にしていない。
また、上記記事で気になる内容を抜粋すると
6月24、25日に行われる近代麻雀水着祭において、6月頭に県民からメールで指摘があり、主催者の告知やネット上の過去の開催の画像を確認したところ、18歳未満の女性を出演させたことが確認できたほか、成人女性であっても過激な衣装やポーズが見受けられた。公序良俗に反するものと判断し、施設の使用を許可しないとした。ルールを守っている水着撮影会もあったが、個々での判断ではなく、水着撮影は一律お断りするとなった」
→許可取り消しを決定する必要があるほど重要な違反であれば、許可をする際に調査しなかったのは怠慢ではないか。。。
同様の許可処理することありますけど、申請事業のウェブサイトは結構つぶらに見ますよ・・・結果として不許可の判断をしたこともあります。当然ですが。
さらに当然ですが、見落としていたら明らかに許可者側の不手際なのにこんな一方的に許可取り消しの要請なんて恐ろしくてできない。
ただ埼玉県公園緑地協会の担当者に話を聞くと、(1)の過激な衣装やポーズを禁止するルールは今年1月に決まり、(2)の未成年の出演にいたっては、それまでの利用規約に禁止する項目がなく、県民からのメールを受け、6月頭に急遽決まったものだという。
この二つのルールがどこにあるのかは要確認かなと思っています。
確認すべきなのは、まずは大本となる埼玉県の条例
その次に協会のウェブサイトですね
条例について
おそらく埼玉県で本件に該当する条例は
「埼玉県都市公園条例」
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/132701/1kouen-jyourei.pdf
本件に関係しそうな条文を抜粋すると
第八条~第一三条
が該当すると思われます
(行為の禁止)
第八条 都市公園においては、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
一 都市公園を損傷し、又は汚損すること。
二 土地の形質を変更すること。
三 竹木を伐採し、植物を採取し、又はこれらを損傷すること。
四 動物を捕獲し、又は殺傷すること。
五 立入禁止区域に立ち入ること。
六 禁止された場所に車両を乗り入れ、又は止め置くこと。
七 ごみその他汚物を捨てること。
八 その他都市公園の設置の目的に反する利用をすること。
一部改正〔昭和五七年条例三三号・平成一七年六四号〕
(行為の許可)
第九条 都市公園において、次に掲げる行為をしようとする者は、知事の許可を受けなければならな
い。許可に係る事項を変更しようとするときも、同様とする。
一 物品の販売、興行その他の営業行為をすること。
二 募金、署名運動その他これらに類する行為をすること。
三 業として写真又は映画等を撮影すること。
四 競技会、集会、展示会、博覧会その他これらに類する催しをすること。
五 花火、キャンプファイヤー等火気を使用すること。
六 はり紙、はり札その他の広告物の表示をすること。
2 前項の許可は、当該許可に係る行為が次の各号のいずれかに該当する場合は、これをしてはなら
ない。
一 都市公園の管理上支障があると認められるとき。
二 公共の福祉を阻害するおそれがあると認められるとき。
三 その他都市公園の設置の目的に反すると認められるとき。
3 知事は、第一項の許可をする場合において、必要があるときは、当該許可に係る行為について条
件を付することができる。
一部改正〔平成一七年条例六四号〕
(利用の許可)
第十条 別表第一の二に掲げる公園施設で県が設置したものを利用しようとする者は、知事の許可を
受けなければならない。許可に係る事項を変更しようとするときも、同様とする。
2 前条第二項及び第三項の規定は、前項の許可について準用する。
3 知事は、第一項に規定する公園施設の供用日及び供用時間を定めることができる。
一部改正〔昭和三九年条例九八号・四○年五一号・四二年四六号・四六年二五号・四七年
一四号・五○年二七号・五一年三一号・五三年一六号・五五年二七号・五六年一八号・五
七年三三号・平成一七年六四号・二四年七一号〕
(利用権の譲渡等の禁止)
第十一条 第九条第一項又は前条第一項の許可を受けた者(以下「利用権利者」という。)は、その
権利を他人に譲渡し、又は転貸してはならない。
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全部改正〔平成一七年条例六四号〕
(遵守事項及び知事の指示)
第十二条 知事は、都市公園の利用者の遵守事項を定め、及び都市公園の管理上必要があるときは、
その利用者に対し、その都度適宜な指示をすることができる。
全部改正〔平成一七年条例六四号〕
(利用の条件の変更、停止及び許可の取消し)
第十三条 知事は、利用権利者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は都市公園の管理上特に必
要があるときは、当該許可に係る行為若しくは利用の条件を変更し、若しくは行為若しくは利用を
停止し、又は当該許可を取り消すことができる。
一 第八条又は第十一条の規定に違反したとき。
二 不正な手段によつて第九条第一項又は第十条第一項の許可を受けたとき。
三 第九条第三項(第十条第二項において準用する場合を含む。)の規定による条件又は前条の規定による遵守事項若しくは指示に違反したとき。
四 第十七条又は第二十九条の規定に違反したとき。
2 県は、利用権利者が、前項各号のいずれかに該当する理由により、同項の処分を受け、これによ
つて損失を受けることがあつても、その補償の責めを負わない。
条例の内容確認
まず、禁止された行為として水着撮影会は第八条に該当するか
該当しないですね。
一応ワイルドカードの
八 その他都市公園の設置の目的に反する利用をすること。
がありますが、こんな項目みだらに使えないですし、これに該当するのであれば、そもそも許可をしてはいけないです。
また水着撮影会は許可が必要な行為を定めた第九条には該当します。
三 業として写真又は映画等を撮影すること。
ですね。
また許可の取り消しについて第一三条で定めていますが、
一 第八条又は第十一条の規定に違反したとき。
第八条の違反認定は慎重にせねばならず、第十一条は権利譲渡のため対象外
二 不正な手段によつて第九条第一項又は第十条第一項の許可を受けたとき。
これは申請内容に虚偽があった場合ということだと思いますが
許可申請書様式を見る限りにおいては、今回不許可の根拠とした
「過激な衣装、ポーズの禁止」及び「未成年の参加」を申請内容として要求していない。もちろんこれはそういったことを想定した様式ではないからだけれども、
これを根拠に許可取り消しはできないというのも同様だと思う。
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/136559/sennyou-kyoka-shinseisyo.pdf
三 第九条第三項(第十条第二項において準用する場合を含む。)の規定による条件又は前条の規定による遵守事項若しくは指示に違反したとき。
これは許可を出すにあたり設定された付帯条件が守られていなかった場合に中止できるという条文なので、設定されていたかはおいておくとして
あくまで、これから行われる許可行為中に違反があったかが問題であって、過去違反していたことを、この条文で持って中止の根拠にはできない。
四 第十七条又は第二十九条の規定に違反したとき。
第十七条及び第二十九条は使用料金、利用料金(違いが判らん・・・)の納付についてのため対象外
また、本条例内に、協会職員による「過激なポーズの禁止」「未成年の参加の禁止」についての記載はなかった
よって、本条例を根拠に許可の取り消しはできないことになります。
まぁだから要請なんでしょうけど・・・
県ウェブサイトについて
とりあえず県のウェブサイトにルールが追加されているかも確認しましたが
利用者への遵守事項は新型コロナウイルス感染症についてのものだけでした
水着撮影で検索しても、明らかに本件とは関係のない過去の報告書一件のみでした。
県として、直前であっても許可取り消しにすべき案件だと判断したはずなのに新規記事の作成すらしないのはまずくないか?
どうやってこれらのルールを許可申請団体に通知したのか、そもそも通知したのかすら疑問です。
公益財団法人埼玉県公園緑地協会ウェブサイトについて
同様に緑地協会のウェブサイトでも告知があったか確認してみましょう
お知らせの一覧を確認しても
一月に決まった過激なポーズの禁止も
六月に決まった未成年のイベント参加についても一般への情報開示はありませんでした。
では、個々の公園ページに記載があるか、ということで、発端となったイベントの開催予定地だったしらこばと水上公園のページを確認しましたが
お知らせ、重要なお知らせともに何もないですね
うん、ダメじゃん。まぁそもそもすべての公園で禁止にしたんだから、個々の公園のページではなく全体のお知らせとして掲示すべきなんだけど、話にならないですね。
埼玉県はどうするべきだった?
まず一番は、みんなが言っているけど、許可取り消しをすべきではなかった。
あるいは、許可を取り消すとしてもタレコミのあった近代麻雀だけでしょう
それも正直NGですけどね
ちゃんと手順を踏む
1月に過激なポーズ禁止がルールとして制定されたのであれば
それを「水着撮影会を開催する皆様へ」という形でウェブサイト上で公開する。
企画団体の数なんてたかが知れているんだから、公印省略の課長名の通知文でいいだろうから参加団体前部にBCCでメールする。
もちろん過激なポーズの例示は必要。絶対用意してないけど
ルール決まりましたくらいでやらせるのは過剰だと思うけど宣誓書書かせてもいいよね。少なくとも何の調整もせずに急遽許可取り消しされるよりは、参加団体もましでしょう。当たり前のことを先制させられるだけだしノーダメージだよね。ね!
そして当然6月に急遽決まったルールについてもウェブサイトで公開したうえで、メールする。
なんだろう。。。ビジネスマンとして当たり前だと思うんだけど・・・
未成年のイベント参加禁止は当然。ではなくて、それを今回明文化したってことは、明文化していなかった過去が誤りだったと認めたことなんだから、
普通に考えてNGかどうかではなく、法律と照らし合わせてリーガルかイリーガルかで判断するのが行政なんじゃないかね。
人それぞれの”普通”が違うから法令が作られていることを全く理解していない。
東京都のColaboの話とかもそうだけどさ、もしかして私の”普通”がおかしいんじゃないかと頭がおかしくなるようなことがたくさんあるね。。。
話がそれたけど、追加ルールは必ず利害関係者に直接説明する
説明がなかったのであれば、参加団体に瑕疵はないと思うよ
それにエビデンスがないので真偽不明だけど企画団体が直接問い合わせて「問題ない」と回答があったという声もある。
悪かったのは早い段階で出版社が質問してきたのに問題ないって言ったこと
— くらげさん (@homuhomuclage) 2023年6月10日
早い段階でちゃんと中止していればよかった
無自覚にギリギリまで問題認識していなかった県がよりによってもうどうにもならない段階で中止したことに県の責任がある
早めにやめなかったことですべての責任が県に降り掛かった
確認までしたんだったら、まぁ普通に企画団体に非はないよね
で、誰もが言うように、過去のイベントで、開催当時になかったルールに違反したことを理由に許可取り消しは普通に考えたらできない。
あくまで新しくできたルールは、できた後に開催されたイベントに適用されるのであって、ルールが追加されたことを企画団体が把握したうえで、守らなかったことが確認されて初めて、さらに未来の許可申請について不許可できる話だと思うんです。
過去の違反が確認されていない他団体の開催イベントまで許可取り消しとか暴挙でしかない。頭がおかしいよ。
そして、もし許可取り消しをするのであれば、共産党が申し入れをする前
ルールができたときでしょう。まぁそれも暴挙ですけどね。。。
擁護派に対する反論
擁護派の論点は主に2つなのかなと
・未成年のイベント参加がNGなのは当たり前
・過激なポーズは公序良俗に反する
未成年のイベント参加については、指導すればいいだけの話なので論外です。
参加者の一覧を年齢付きで提出させてチェックし、本当に未成年がいればその個人の参加を取り消せばいい。
参加者一覧の提出、参加者の除外を企画団体が拒否すれば、その段階で許可取り消しに関する要件を満たすでしょう。
ちょっと強引ですが、条例第13条1項3に該当させられなくもない。
三 第九条第三項(第十条第二項において準用する場合を含む。)の規定による条件又は前条の規定による遵守事項若しくは指示に違反したとき。
未成年の参加がNGであれば、成年しか参加しないと制約させればいいだけの話
批判派も未成年の参加NGについてまで反対はしていない。それを理由にイベントそのものを開催中止に追い込むことが過激ではないのかということです。
過激なポーズが公序良俗に反するという話も
少なくとも近代麻雀による水着イベントは入場料を一般客から徴収することで
イベントを見に来た客と、そうでない客を明確に分けている。
お金を払っていない人が水着アイドルを見れたら、それはお金を払った人達が黙ってないよね。
許可申請書には添付資料として企画書や計画書、図面の提出が求められますから
ふつうは貸し切りなんじゃないかなと思いますけど、貸し切りでないならば一般客とイベント参加者を分けるレイアウトの図面、人員配置の計画書は提出されているでしょう。それを見て適不適を判断し、必要に応じてこれも指導すればいい話です。
そして、こういったイベントがそもそも公園の設置趣旨にそぐわないと強弁するのであれば、それが当たり前の話なのであれば、許可をしたこと自体が県の、あるいは指定管理者の瑕疵です。
まずは誤った判断をしてしまったことについて企画団体に詫びましょうや
そして、今後水着イベントには使用許可をしないと協会は言っていますが、これ条例改正しないでこんなことしていいんかなぁ・・・・
するんだよね。さすがに。ここまで炎上したわけだし
まとめ
未成年のイベント参加禁止、過激なポーズの禁止について
埼玉県のどこのページでも確認できなかったことは衝撃でした。
そんな表に出ていない、少なくとも簡単にググった程度じゃ出てこないルールで
ウン千万の金が動くイベントを中止させて良いのかと。
卑怯なのが、おそらく埼玉県も無理筋なのをわかっているのでしょう
通知文ありの許可取り消しではなく、許可取り消し”要請”であって強制ではないという建前で逃げているところでしょうね
卑怯だなぁ
管理者がやめてって言ったら利用者は強行できないよね
個人的にはこの件についてそこまで深入りする気はないのでそこまでする気はないけど
埼玉県に対して情報公開請求はしてみても面白いかもね
内容は公園使用の取り消しを判断するに至った内部文書の開示
「相手方申請書、許可書、許可取り消し書」も含む
とかそんな感じですかね。1枚コピーで10円なので
(恐ろしいことに窓口で閲覧する分には無料)
まぁ申請書の添付資料が結構あったとして、課内決裁の文書が数ページある程度でしょうから送料込みでも1000円行かないんじゃないかな。
ついでに言うと許可取り消し書はないよねぇ・・・要請だから
ただ、内部で決裁取っていないわけがないから、参加団体黒塗り、決裁ルートの氏名印鑑黒塗り程度でそれなりの部分が開示されるんじゃないかね。全部口頭決裁で書類内とかだったら怖すぎるけど、それはそれで文章で残す気がなかった。という情報だよね