8巻で予科生編が終了
9巻からは本科生編が始まりました
聖さんやリサさんなど上級生が卒業し
新しく101期生の伊賀エレナ、澄栖杏が入学
伊賀さんはぽやぽやした可愛い系のキャラクターですが
澄栖さんは愛ちゃんとはまた違ったタイプのダウナー系で
家族関係で闇を抱えていそうな感じ。
まぁ、とはいえ主役は100期生なので、詳細が明らかになるのはスピンオフかなぁ
また、8巻がほぼほぼさらさのストーリーだった反動か
9巻はかなり愛ちゃんを深堀していく内容でした
文化祭でさらさの代わりに男役を演じたことで、自分の未来の可能性について広く考えるようになった愛ちゃん
後輩の予科生が愛ちゃんに輪をかけて世間知らずなのもあり
先輩として張り切っている愛ちゃんも可愛い
そして、愛ちゃんの演技のバックボーン、JPXがまた愛ちゃんの人生に交差してくる
小園桃ちゃん完全に前田敦子だよね💦
聖ちゃんスピンオフの時から思っていたけど
そんなJPXのトップが卒業して、演技派女優の道を歩み始める
自身のやる気のなさで袂を分かった元メンバーが、同じ方向を向いて歩き始めている。
そんな小園桃と共演した母に彼女の印象について電話する愛ちゃん
今までかかわることを避けてきた母親に自ら電話をかける、その演技にかける情熱、成長が見れる良いシーンでした。
で、で
今回のスピンオフは、8巻の最後にいわくありげに出てきたさらさの”自称”姉が主役
もうね。めっちゃ好きです。丁嵐志織さん
いよいよさらさの出自が明かされるとともに、その複雑な家庭事情がおぼろげながらに見えてきます。
ただ、主役は志織さん
彼女の視点から、歌舞伎役者の一家というものを紐解いていきます。
彼女もまたさらさの姉妹という事もあり
目標を奪われた者同士という対比関係にあるんですよね。
さらさは目指していた歌舞伎役者をあきらめた人
志織さんは、一家総出で歌舞伎という芸を支える中、その輪に加われない孤独感
そもそも歌舞伎役者になる、という目標を持つことすら許されなかった人
多分心のどこかでは、さらさとおなじように歌舞伎役者という職業にこだわりがあったと思うんですよね。
志織さんが男子だったら、歌舞伎役者になってもいい、ならなくてもいい(茨の道だけど)でも彼女には生まれたときからその選択肢がないことを知っている。
心のどこかにそれがしこりになって、何にも本気で打ち込めない
冷めた目で世の中を見ている人間に育ってしまったんだろうなと思う。
別にさ 男に生まれたかった訳じゃないけど
という独白にものすごい未練を感じるんですよね。逆に
舞台に距離を作っているのは自分、だからライブの舞台に代わっても彼女はそこになじむことができない。
そして、気づかず未練を抱えるからこそ、さらさの幼い情熱の行く末が気になってしまう
それをそっと支える福ちゃんも最高にいいよね。
もはや芸の怪物と化した父の代わりに志織さんを常に気にかけていて
女形という事で女性に近い感性も持ち合わせているんだろうな。
志織さんも甘えやすかったんだろうね。
そんな彼の臨終とともに、志織さんの幼年期も終わりを迎える。
遺言となってしまった彼のアドバイスを噛みしめ
次のステップに進んでいくんですね。
もうね、棺桶に入ろうとする志織さんをやさしくあやす煌三郎さん
そして福ちゃんと歌鷗の掛け合い
静の美しさがコマ一つ一つに宿っていて本当に胸が打たれるんですよ。
スピンオフ、好評なのもわかるくらい一つ一つが素晴らしいのだけれど
どれが好きかといわれれると、志織さんのエピソードが一番かなぁ