嵌った人には大波だったんだろうけど、私にとっては濁流で、ただただ暴流に流されるだけの2時間でした
もともと別のことに使おうと思っていた時間を映画を見ることに決めて
ちょうど同じような時間帯にこのエブリシング・エブリウェア・オールアットワンス(以下EEAAO)とフェイブルマンズどちらにするか悩んで
フェイブルマンズのほうが上映時間が長く、上映開始時間が遅かったのと、「字幕が戸田奈津子」という絶望的なワードというマイナスポイントに及び腰になってしまい
EEAAOにしたのですが・・・
申し訳ないがきつかった。
マルチバースを題材にした映画だったけど、フェイブルマンズを見に行ったバースにアクセスしたい
もともとハチャメチャな映画なのは想定していたし、
監督の前作がスイスアーミーマンと直前に聞いていたので、その覚悟もしていたつもりだったんだけど
いうてアカデミー賞受賞で話題の作品だし、下品さはまぁもうちょっと抑えているだろう
と思っていたら、ちょっとえぐいくらいお下品だった
ぶっちゃけ18禁だった。
とりあえず、前半で、「うーん、このトロフィー違う何かに見えるけど、俺の心が汚れているからかな?」
と思ったら、その違う何かの通りの使われ方をしたり
敵が子供が見てはいけない18禁アイテムを振り回して男を撲殺したり
多分これに大いに引いてしまったのがあかんかった。
そして、スイスアーミーマンはきっと私に刺さらないとも思った
俺こういう映画嫌いなんだな・・・ということに気づけたのはひとつの成果だったけど
引いてしまったので、そのまま乗れず、ずるずると最後まで来てしまった感じ
正直銀魂みたいなのを想像していたんだがなぁ
もしくはクレしん(設定だけ見たら結構クレしんだな・・・)
なんだけど、思った以上に下品を真面目にやる感じ
変なことを「面白いことしているんです!」ってやるんじゃなくて
「いや、めちゃめちゃ真面目に戦ってますが」って言いながらお下劣なことをしている感じ
そこのギャップに脳みそ破壊されてなんかダメだった
物語は、マルチバースとか、いろんな世界の私とか、指がソーセージとか、マルチバースへのアクセス方法が「変なことをする」など
そういう情報がノイズになっているだけで
思い返して整理してみたら案外シンプルで
とあるバース(通称アルファバース)でほかのバースにアクセスする技術が発見される
その技術は、他のバースにいる自分に知識、情報をインストールすることができる。
しかし、実験の途中で、被験者の一人が変貌し、危険な存在「ジョブ・トゥパキ」となってしまった
ジョブ・トゥパキを止めるために主人公のいる世界にアクセスするアルファバースの科学者ウェイモンド
ウェイモンドは、自分の妻で、アルファバースでマルチバースを発見した科学者でもあるエブリンをその世界で見つけ、世界が危機であること、世界の危機を救うためにマルチバースの自分をインストール方法を伝え、ミッションを託すのだった
という感じ
そもそもジョブ・トゥパキの目的がよくわかっていないのでそこに振り回されている感もあり、
ちゃんと波に乗れていると、そこがだんだんと明かされていることにカタルシスを感じていくんだと思うんだけど
濁流だと感じてしまうと、うーん、案外無難なところに着地するんだなぁと思ってしまったり。
伏線とかいろいろはっているのはわかるんだけどね、黒い張型のようなトロフィーとかげふんげふん
最終的にはいわゆる家族の確執と理解の話に落ち着くんだけど
おおう、この最後にすごくこじんまりになる感じすごくセカイケイ
という感想しか出てこなかった
ちょっとここからネタバレしていくけど
全体的に説明不足を感じていて
ラストの後普通に世界は始まるけど、普通に始まっていいん?というのがすごく疑問でね
「いや、あんた死んだやん」というのがラストバトルで普通に出てきたり
そして張型をケツに突っ込んでアナザーな自分をインストールして襲いかかったり
何が夢で何が現なのかわからなくなるんだけど
ただ少なくとも、メインのバースで起きたことはあくまでその世界で生きている人たちで、インストールはされていても異世界人は一人もいないので
あれだけ最後に派手にかき回して、概念的解決を迎えたらすべて元通りっていうのはなんというか、意味が分からん
どうして元通りになったのか、マルチバースは概念だから、すべてが片付くとなかったことになるのか
そこら辺のロジックがあいまいなのが、正直悪いセカイケイっぽい感じがしてうまく丸め込まれているような違和感だったんですよねぇ・・・
さらに言うと、おそらくオスカーを席巻した理由は、LGBTを取り扱ったりアメリカの移民問題を扱っていたり、メインキャストがアジア系だったりというところがあるんだろうなと思わずにはいられないんだけど
アジア系はまぁいいとして、LGBTに関してはあくまでとっかかりでしかないというか
娘のジョイがジョブ・トゥパキになるに至った生き苦しさの一つでしかない感じ
だからガールフレンドのベッキーの扱いはめちゃめちゃ軽い
公式ウェブサイトのメインキャストとして紹介されないくらい扱いが軽い
それでいいのか?という疑問が非常に大きく
LGBTの扱いが雑なのはラストのゴンゴンとの和解もそう
ゴンゴンが娘のガールフレンドに理解を示す伏線が正直感じられないんだよね
あのバースは私の認識ではメインのバースに限りなく誓うけど”別の”バースだからメインバースでの出来事は何も関係しないはずだし
そこら辺の整理がどうもついていないように見えて
嵌れなかった結果、いろんなことがあらに見えてしまって楽しめませんでした・・・
嵌っていなくても気づく伏線や暗喩は確かにいろいろあったんですけどね
嵌っていないから素直にぐっと来なかった
そもそも「ジョブ・トゥパキ」って何なんですか・・・
説明を、だれか説明を・・・