本来であれば仮面ライダーの映画って
本編終了直前の夏に次の新ライダーの顔見せもかねて 上映されていたのですが
今年は新型コロナウイルスの影響で夏休みの公開を断念
冬公開とするとともに戦隊ヒーローとの同時上映から
新ライダーの短編との同時上映に変更したようです。
ということで、今回は
劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME
と
劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本
の二本立ての感想となります
ということで行きます!
シナリオも破綻なく、何より伊藤さんと高橋さんの熱い演技のぶつかり合いが素晴らしい
ストーリー
本編終了後の世界
突如現れた「エス」を名乗る人物により
世界滅亡の宣言がなされた
それとともに大量に表れる量産型ライダー
彼らがばらまくガスにより昏倒していく人々
世界中で同時多発的に起きたテロ事件を防ぐために戦うゼロワンだったが
エスが変身する仮面ライダーエデンに敗北し
ゼロツープログライズキーを奪われてしまう
世界滅亡まであと60分
エスはなぜ世界を滅亡しようとするのか
その正体は?
飛電或人は世界を救うことができるのか
といった感じ
良かったところ
いや、本当に良かった。
特によかったなと思う点は3つ
一つはタイトルにも書いた通り、仮面ライダーゼロワンのその後を描いた作品として考えられる限り最高の設定な点
もう一つは、とにかくシナリオがよく練られている点
最後は特撮には欠かせないアクション
世界観について
仮面ライダーゼロワンは、設定はとても光るものがあるものの、お仕事をテーマにするのか、AIと人間の共存をテーマにするのかで揺らいでしまい、どっちつかずな
凄いもったいない感じだったと思うんです。
ZAIAスペックとヒューマギアの関係についても、それは敵対ではなく共存だよなとも思っていたんですね。
なので、まずはZAIAスペックが普通に世の中に受け入れられていて
そのうえでヒューマギアも活躍しているという世界が本当に理想的だなと
昏倒していく市民の救助にガスがきかないヒューマギアが活躍しているのも適材適所でいい感じ
また、敵としてあれだけ脅威だった滅が
罪を償うために新生滅亡迅雷.netとして世直しみたいなムーブをしているのも
味方になるとここまで力強いかとみていてワクワクしました。
敵の強さ的にも敵が味方になると有りがちな弱体化が無くて爽快感が凄い。あえて仮面ライダーエデンにぶつけなかったのだとすれば本当に英断だと思います
亡もAIMSの一員として活躍していましたね。
敵対という点では終盤まで或人と対立していた副社長専務が
本編を経て完全に或人を信頼している描写も胸に来るものがありました
また、一番感動したのがイズがゼアの中で旧イズと邂逅し、そのデータがダウンロードされるシーン
もしかしてこの後イズは旧イズの記憶を思い出してしまうのでは?
そうなるとそれはいい感じの演出しても結果として上書きなんだよなぁと不安になっていたのですがそれは杞憂
あくまでデータをダウンロードしただけで、そのデータについてどう思うのかは新しいイズにゆだねられたことに、新しいイズの存在を大切にしてくれているんだなとはうるっときました
その後のゼロワン・ゼロツーの共闘は言うまでもないですね。
リアライジングゼロワンの存在もうまく消化した最高の演出でした。
リアライジングゼロワン蛇足だと思っていてあまりはまらなかったのですが、
映画でこういうふうに使われると認めざるを得ないですね(ナニサマ💦)
シナリオのクオリティについて
いや、普通に高かったですよね。
後述する仮面ライダーセイバーも急に表れた敵が急に世界を滅ぼすとか言い出す点で同じなのですが
そこから彼が何者なのか、過去、つまり衛星アークとどうつながっていくのか
エスの本当の目的は何なのか
それを少しずつ開示していくシナリオはなるほど・・・とうならされました。
なんというか、多少無理はあるけれど、それでも各キャラの行動・同期に納得感があるんですよね
納得感、それは大事
人を助ける技術で婚約者を失い絶望した理人
なんで婚約者の命を奪ったナノマシンに身をゆだねたのか
そこにもちゃんと意味があったし
人の精神に影響を与えて操ることができたZAIAスペックを改造し、人の精神を転送してアバター化するアイテムに変貌したり
うまいことやっているなぁという印象
最後の理人と朱音のシーンはちょっと泣いてしまいました
ナノマシンのサーバーを破壊したのであの二人はきっとあそこで終わりなんだけど、その前に2人はそのサーバーの中で最後にやっと会えたんだね。
もしかしたらミッション8ミニッツみたいにそこからまた世界が続くかもしれないと妄想するのもありかな?
またアルトを信じ理人を信じて待っていた朱音のやさしさにも感動してしまいました。
ああいう、後悔している男の後ろにそっと女性が抱きつく演出めちゃめちゃ好きなんですよね
自分のせいで世界が滅びることに責任を感じる朱音もおつらいし(ちょっとワンダーウーマンのスティーブっぽいねw)
きっとエスも計画を遂行するまで朱音に合うのが怖かったんだろうな
そんな強さと弱さが同居する、今までのライダーの劇場版の敵キャラの中でも特に人間臭いキャラを伊藤さんが本当に熱演していました。
結局強さの点で言えば仮面ライダーエデン上位のままなんだよな
この人マジでかっこいいな
そして、1年ボロボロになりながら戦った或人役の高橋文哉くんも本当に目力があって
伊藤さんに負けてない好演でした
見ていて役者さんの熱意が伝わってきてガンガン見入ってしまいました
多彩なアクション
80分とそこそこのボリュームではありましたが、とにかくアクションが多彩で見ていて飽きない
バイクアクションもド派手で長尺でしたし、それを担当したのがバルキリーというのも良い
滅の格好良さは相変わらず。終盤でリアライジングゼロワンと同じようにスペックアップしてシンスコーピオンになっているので、カタログ落ちも回避してます。
上述したとおり、エデンとぶつけずアバドンとのみ戦わせることでうまいこと強キャラ感を保てたなと
ゼロワンに関してはゼロツーからのメタルクラスタホッパー、そして映画限定のヘルライジングホッパーを経てのリアライジングゼロワンと全てのフォームに活躍があったのも本当に脚本家すごい
特に、どうしてもカマセになりやすい中間フォームであるメタルクラスタホッパーで、再生するエデンの中にメタルを潜ませて回復したところを内側から攻撃したり、エデンの特大攻撃をブリーディングエッジアーマーアイアンマンのように防御に全振りして防いだりとその特性を遺憾なく発揮していてよかったですね。
まぁ中間フォームが過去のライダーの中でも特に特徴的というのもあるかもですが、こういう時ってただ強いフォームとして終わってしまうことも多いので、やっぱりすごいと思うんです。
ヘルライジングホッパーも闇落ち系統の変身でしたが、本編のように絶望に身を委ねてではなく希望のための自己犠牲だったことも、闇落ち変身でもバリエーションをもたせていて面白かったです
気になったところ
ほぼほぼ 完ぺきだった本作ですが、
欲を言えば見たい絵があったなぁということですかね
それは新生滅亡迅雷.netの全員集合が見られなかったこと
特に雷の出番が少なかったですねキャストさんの問題なのかな?
戦闘要員は滅と迅だけで亡も本来のポジションではあるのですが後方支援要員であまり活躍はなかった。
最後の全員変身のシーンは
せっかくなのでZAIA組と滅亡迅雷.netでそれぞれ見たかったなぁ
あとは、せっかくZAIAスペックが普通に活躍している世界なので、AIMSの一般戦闘員もせっかくだからレイダーに変身してもよかったのかな?と思ったり
まぁこれは望みすぎですね。
本当に素晴らしい出来でした
とにかくセリフが空虚。残念としか言いようがない(セイバー感想)
次はセイバーの感想なのですが・・・
本当はセイバーが先に上映されるんですけど、あまりにもひどかったのでいったんゼロワンのほうの感想を書かせていただきました。
いや、本当にひどかった・・・
ストーリー
破滅の本に封印されていた不死鳥の剣士ハバトが(特に理由もなく)復活した
ハバトは謎の敵を大量に生み出し、現実世界とワンダーワールドを破壊しようとしている
ハバトが変身する仮面ライダーファルシオンは倒しても復活する不死身の剣士
仮面ライダーセイバーたちはハバトを倒すことができるのだろうか
という感じ
ストーリーというほどのものがないです
ウィキペディアにあらすじがないのが物語ってるよね
良かったところ
うーん。
アベンジャーズみたいに全員が背中合わせでカメラを回しながら変身したシーンはかっこよかった
でも本当にそれだけです
駄目なところ
それ以外全部
とにかく中身がない
時間がないのは仕方がないんだけど、だからといって物語がテーマの作品で物語ることを放棄するのはどうかと思うんだよね
なんというか、ありがちな悪者がありがちなセリフを吐きながら理由なく復活し
それっぽい事を言いながら世界を滅ぼそうとする
敵の目的に中身がないから味方側も大したこと言っている風の中身のないことしか言えない
会話のキャッチボールができていないんですよね。
ただ、これは本編でもセイバーとカリバーの”真理”問答でも会話が上滑りしているので
時間が短いとかではなく脚本家そのものの問題かも・・・
とちょっと疑問に思って脚本家調べてみたら
ゴーストと同じ脚本家ですか・・・
ゴーストの時も、きめ台詞で何となくそれっぽい感じにするけど会話が成立してないことが多かったんですよね
申し訳ないけどこの脚本家の悪いところが詰め込まれたような内容
"それっぽい"
を詰め込んでかさ増しした、映画とは言えないなにかでしたorz
いや、本当に、失礼を承知で言わせてもらうけどよくこんなクオリティで世に出したなって感じ。正直志の低さを感じます。。。
映画限定フォームの入手方法も
"なんとなくそれっぽい"けどよくわからない
不死身なはずの悪役の退場の仕方もなにそれてって感じ
子供向けかもしれないけどさ、もうちょっとちゃんと作ろうぜ、とちょっとげんなり
メインがゼロワンなので仕方がないところではあるんだろうけど
やっぱり、初めての仮面ライダー短編映画というところもありかなり迷走しているように感じました。
今までは基本一話完結の戦隊を30分でやっていたので、ある程度本編のフォーマットを参考に出来ていたんでしょうけど、仮面ライダーは基本2話完結で
セイバーはちょっと変則的ですけどそれでも一話で完結しなくて前後の話の繋がりが強いんですよね
映画を見なくてもテレビ本編で困らないようにという配慮なんだとは思いますが、完全にテレビと切り離してしまうにはスタッフ側の練度が足りなかったのかなぁと思います
最後に
仮面ライダーゼロワンは本当にクオリティが高くて大満足なのですが、
その分仮面ライダーセイバーが残念でした
これを同時に上映されて比べられてしまうキャストが可哀想
ただでさへ1年分の経験の差があるのに
そこを演出なり脚本なりがカバーしていかないといけないのに、逆に足を引っ張っている構図は本当に可哀想
今までは「まぁ戦隊とライダーは毛色が違うしね」でその差も気にせずに済んだところもあるのですが(それでも今までの戦隊のほうがクオリティが高いです・・・)
同じライダーとしてさらに比べられる余地が出てしまったのがね、良くないなと思ったり
20分ちょっとと80分の作品なのでクオリティに差が出るのは仕方がないのですが
であるからこそ色々と工夫をしないといけないと思うんですよね。
コロナ禍の中で戦隊の代わりに急遽制作が決まった感じなんでしょうか?正直80分もあれば映画としては十分なのでゼロワンだけで良かったんじゃないかなぁ。もっとちゃんと時間をかけて作ったほうがいい気がする。
次のセイバーの映画は例年通り戦隊と二本立てになるようなので、じっくりしっかりと作ってほしいなぁ。
そして、ゼロワン
本編についてはいろいろと文句も言いましたが嫌いな作品ではなかった
このエンディングを迎えることによって、好きな作品だったといえるようになったなと思います。
最高でした
ありがとうございました