LetLifeLoose

映画、漫画、革のブログです

青春のアフターをネタバレで語り尽くしたい

 

 

主に梅子さんを語りたい

あと倉橋

 

belphegor729.hatenablog.com

 

これさぁ

初恋の人を32年かけて振り向かせたうえで振る話だよね・・・

彼女の体感時間的には数年だけどさ

 

読み返していてめちゃめちゃゾクッてなつたのがまさにこのシーンですよ


f:id:belphegor729:20211127190807j:image

 

なるやん?

所見の時点ではさくらに敵わない梅子だとおもうやん?

でもちがうやん?

みい子のものになる”あなた”に対する正真正銘のさくらからの呪詛やん

 

40半ばのみい子にまことを持っていかれたあと

32年前に戻って、これからのための私物を回収して多分少しずつ未来に向かって歩んでいっていると思うんよね、さくら


f:id:belphegor729:20211127191204j:image

 

まことが記憶喪失になった数年間の間に、立場が逆転してしまったさくらがまことに抱く感情


f:id:belphegor729:20211127191637j:image

このページがあれの対となっていると気付いたときのショック

 

あのただれた大学時代

いたずらに囁いていたと思っていた梅子の一言一言にここまでの本音が隠されているとは思わなかった

 

ここで後ろから抱き着いているのも梅子なんよねそういえば
f:id:belphegor729:20211127194429j:image

すでに未来まことはみい子のものになると知っていて、そのうえで、愛人でもいいとすがっているのか・・・

そこまでするならなんで大学時代にしっかりと捕まえておかなかったんだよ・・・

 

て、うわー!

ていうか!

うわー

そうか!

ここにいるのは”梅子”だから、まだ”さくら”は振られていないのか!


f:id:belphegor729:20211127195849j:image

つら

辛っ

彼女の長い旅路はここで終わったんだ

みんなが一足先に青春の後始末(アフター)をつけていた中、やっと彼女の青春が終わったんだ…
f:id:belphegor729:20211127194628j:image

後ろ姿だけどよく見たら手で顔を覆って泣いてるんだ

うわーなんか涙が止まらない

うわー

うー😭😭😭

そしてここ、ちゃとまことの独白を読んだら

16年前にさくらにしてほしかったことを、いまさくらにしてあげているんだ・・・

さくらにじぶんの時間を一人で歩んでいけるように・・・・

 

うわぁ・・・作者天才かよ・・・

ちょっと、時間をください・・・

 

…おちつかせた

でもさ、みい子も本当にいい子だから、どっちのもとに行っても納得できるし納得できないんよね

そこが本当に苦しくて、作者の思惑に載せられているなとも思って

社畜と〜の高井は早々に東根の敵となり退場したし、聡子はそのメンタルを紐解いていくなかでこの結果しかありえないことが確定してしまう

 

それに対して最後までどうなるかわからなかった本作!

最後の最後、この天丼!


f:id:belphegor729:20211127194309j:image

このどんでん返し!

タイムトラベルのことを知らなかった16歳のまことと

そのことを知っているみい子ではかなり状況が違うとはいえここまでまことのことを恋い焦がれて

しかも更に更に天丼ダメ押しされたら


f:id:belphegor729:20211127193134j:image

 

わりとさくら派だった私も陥落するわけですよ

最初から最後までみい子派でいたかった

そうすればここまで読後に飯も喉を通らなくなるほど苦しまずに済んだのに

 

まことは一貫してみい子との未来を選択し続けていたから、この結末が正しいのはわかる

私もこうあるべきだと思う

でも私はさくらに感情移入しきってしまったから本当に辛いんよ…

 

タイムトラベル物のセオリーでもあるんよね確かに、同じ時の流れを歩めないほうが身を引くって、時かけもそうよね

 

でも何よりも、このコマの彼女の訴えは本当に涙腺崩壊のダメ押しだった


f:id:belphegor729:20211127200446j:image

 

これまで数々の負けフラグを積み重ねてきて、それを全部へし折ってのこのエンディングですよ

さくら派だけれども、これには勝てないよ・・・

思えばここも対比なんだね


f:id:belphegor729:20211128092736j:image

とにかく終盤は短い中で丁寧に丁寧に対比を積み上げていっている印象

本当によくできている

 

でも本当に、あと2年まことが引きずっていたら、あと2年早くさくらが帰ってきていたら

まことはここまで苦しまなかったんだよな

でもその苦しみ抜いた先の答えだからこそ、さくらもそれを尊重して過去を書き換えるようなことはせず、梅子としての役割を全うしていったんかなぁ

あんなところで愛人契約持ちかけんでも

それこそ20歳くらいの頃に戻ってれば、二人幸せに暮らしたと思うんよな

 

それをしなかったのは彼女なりのみい子への義理立てか、歴史の改変は卑怯という矜持なのか

タイムループものの常だけど最初のさくらはどんなルートだったんだろう

それ以降のさくら=梅子は、多少の差異はあれど、最初の梅子の行動をなぞっているだけでそこに主体は多分ないんだよな

最初のルートはもっと悲惨そう…

 

で、こっちの駄文でもう一個語りたかったのが倉橋なんだけど

たぶん一番やばいの彼だよね

本作、メインキャラクターの4人すべてが大事なものを失っていて、それが本当に他に作品と比べてハード

まこととみい子は16年という時間

まことに至っては大学中退、家族と絶縁

さくらはこの後天涯孤独の身

とはいえまこととみい子は失ったものがあったからこそ今があるし

さくらはかなり性格が擦れてしまったけれども、タイムトラベラーとして浮世離れした人生をそれなりに楽しく送っていくんだろうな、とは思うのね

ちょっとスピンオフとか、他作品でカメオ出演して欲しい

でも倉橋

獣医として個人病院も持っていて一番まともな生活をしているようで

遊び人だった昔とは違って女性の影が全くない

彼は、さくらを失ったまことに高校時代に魅入られてしまった

 


f:id:belphegor729:20211127202744j:image

 

倉橋の感情は さくらよりもまことに伸びていた

倉橋とさくらの関係って

さくらとみい子の関係にも似ていて

”倉橋”がまことに憧れてしまったせいでまことは”さくら”への憧憬を持ち続けた

まことの”さくら”への憧憬が、まことと”みい子”を引き合わせた

結果として、倉橋がまこととみい子を結び付け

さくらは時のはざまを旅し続け

残ったのは倉橋一人

まことにかかわり続けた結果

彼一人が32年間を浪費したように見えるんよね・・・

もしかしたら私が恋愛脳すぎるだけかもしれないけどね

 

でもそう思うんだ

彼だけが救われていない

 

さくらは救われない自分に踏ん切りをつけた

倉橋は過去にとらわれていることにすら気が付いていない

 

あー、これ、もしかして聡子なのかな

聡子は真修への行為が自己満足であるという告解があったけど、倉橋は4人の中では体の良い狂言回しとしてしか描かれておらず、掘り下げも少ないんよね

また比較してる3作品の中でもこれが一番短いし、倉橋まで救いきれてない感じがする

 

そして、そんな倉橋の救済がアフターストーリーだったのかもしれないけれど

本編のあまりの壮絶さにどうも絵空事感がぬぐえず

内容もちょっとご都合主義が強いかなぁという気がして乗れなかったのですが

 

後書きで倉橋の隠し設定を読んで納得。このIFストーリーが必要なものだったのも納得。爽快感は吹き飛んだけど

救済じゃねぇ。これ、駄目押しだ…

そのうえで読み直してさらにメンタルのドツボに落ちる我

ほんとうにまことの方にベクトル伸びてたのかよ

そうよなぁ今まで相手から告白されて付き合い続けていたのに、初めて自分から人間関係を持ったんだよなぁ

マジでよく出来てる

ただ一人報われないことが確定しているのかよ・・・

そしてさらに、このIFが本当の絵空事、夢物語であることがわかって

倉橋の掘り下げはあるものの

彼が救われることはなく、むしろ隠された彼の性的志向で救われないことに説得力が生まれてしまっている

 

しんどい

どいつもこいつも抱えているものが重たすぎる

まぁその後の物語は好きだけれどもそれはハッピーエンドのその先の話だし

IFストーリーがどれだけハッピーでも本編で救われなかったことは覆らないんよな

 

そういう考えの持ち主なので、本作はめちゃめちゃ面白かったと同時に

いろいろ救いがなくてしんどかった

緑のルーペさんあんまりはっきりとした救いのある作品を描くイメージがないので

安易に手を出したのは失敗だったかなと、ちょっとだけ後悔しています

 

いや、本当に面白かったんですけどね

心が負ったダメージがでかすぎる


f:id:belphegor729:20211130173207j:image

トニカクカワイイを読んで心を落ち着かせよう・・・

 

こっちも違う時の流れを歩む男女の物語なんよな

最近読み始めたけど適度に重く、適度に軽いバランスが素晴らしい