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フリー素材張りに使い倒される怪僧ラスプーチンを含め全体的に浅い【#キングスマンファーストエージェント】

色々時間がなくて劇場で見ることができなかったキングスマン・ファーストエージェントなのですが

20世紀FOXがDisney買収されたこともあり

公開終了から驚くほどの速さでdisunity+で配信されましたね

BDも同時に発売されているようで、いやすごい時代になった

 

ということで、時間ができたので見てみたのですが

うーん

個人的にはいまいちだったかなぁ・・・

といった感想

ということで、内容に行きます

 

 

あらすじ

20世紀初頭イギリス、退役軍人のオックスフォード卿は

オーストラリア・ハンガリー帝国皇太子の暗殺により引き起こされる大乱を防ぐため

事件の裏で暗躍する組織の闇を暴く

 

超ざっくり書くとこんな感じ

 

 

過去2作とテイストが違いすぎません?

 

いまいちだった一番の問題は

これ、キングスマンなのか?

という感情が見ている間ずっとちらつくんですよ

 

どういうことかというと

まぁKingsman誕生までを描く前日譚ということで仕方のない部分ではあるのですけれども

全然スパイアクションものでもないし

さらに言うと、全2作に合った軽快な、コメディタッチな作風とは全然違う

かなり固い雰囲気の作品なんですよ

思わず、

あれ?今回マシューボーンメガホン取っていないのかな?

とウィキペディアの監督の項目を見返したくらい

でも前作と同様マシューボーン監督作品なんだよなぁ

 

時代的にもびっくりドッキリアイテムが出ないのは仕方がないとは思うんだけど

にしてももうちょっとやりようあったんじゃないかなとは思うんですよねぇ

 

 

 

歴史上の人物の描き方が雑すぎませんか?

 

一番残念に感じたのは、史実の人物の入れ方の雑さ

とりあえず第1次世界大戦あたりで暗躍キャラを出しておこうっていうときに

雑にラスプーチン入れておこうみたいなのもうやめた方がいいと思うんですよ

あまりにもステレオタイプなラスプーチンで辟易してしまう

こう、織田信長とかマリーアントワネットとか

世間のイメージが悪すぎてどう扱っても良い、みたいな歴史上の人物ってまぁまぁいるじゃないですか

でも、実際は織田信長は割と保守的な人物だということがわかってきたし

マリーアントワネットもあまりにも状況が悪い中精一杯頑張っていた女性だという評価だと思うんです。

「パンが無ければお菓子を食べればいい」

という発言がある意味で世界最初期のフェイクニュースだということも多少知れ渡ってきたと思うし

 

最近は織田信長も多少はよい書き方をされるようになってきましたし

FGOのマリーなんかはかなり史実を意識しているなぁと思いつつ

最近評判を聞いてちょろっと読んでみた魔女大戦という漫画は

マリーのキャラクターがあまりにも悪女すぎてちょっと読む意欲をうしなったり

本作のラスプーチンもそんな感じ

 

The怪僧

怪しげで、知略に富み、やたら強い

 

彼もまた、決して良い人物ではなかったんだろうけど、とはいえ脚色が過ぎる、というか、そこまで頭が回るほど高等な教育は受けていないということがわかっているそうですし、そこまで権力欲があるようにも思えないんよなぁ

 

ja.wikipedia.org

今ラスプーチンを出すなら、もう一歩新しい解釈のラスプーチンを見たいですよ

 

しかもあんだけ予告でガンガン出しておいて、わりとサクッとラスプーチンは退場するし

その後にマタハリが出てくるけど、

マタハリである必要あった?ってくらいやっぱり浅い

そもそもマタハリってそんなイメージあったっけと?と疑問に思ってwikiってみたけど

彼女の活躍の場はフランス⇔ドイツ間であって

決してイギリス⇔ロシア間ではない

ましてやアメリカなんて全く関係がないと思うんだけど違うんかな

 

 

演出がコミカルというよりは安易に感じる

キングスマンって、ブラックジョークのきいたコミカルな演出でヒットしたと思うんですよ

紳士なのに苛烈なアクション!

とか、

女王様はお尻でプレイするのが好き

とか、

ラストの悪趣味大虐殺

とか

 

それを、英国王のスピーチで吃音の王ジョージ6世を好演したThe・英国紳士コリンファースにアクションをさせる

またそんな英国紳士と、下層階級の少年の凸凹コンビを組ませ

現代英国の格差を皮肉ると同時に、真の英国紳士とは何かを訴えることで

まだ無名の若手俳優タロンエガートンが一躍スターダムに押し上げるヒット作になったわけですが

 

正直ゴールデンサークルもちょっとこじんまりとまとまっちゃったなという気がしつつも、雑に扱われる本人役のエルトンジョンとかなかなか面白かったですし

その後タロンが彼の伝記映画で本人役をやるところまで含めてなかなか面白い話ではあったのですが

 

じゃぁ本作はどうか、というと

正直笑える要素は皆無だったなと

 

反目しあう年の離れたコンビという形で

前作のハリーとエグジーにかぶせているのかと思いきやあまりにもあっさりあっけなく片側が途中退場するし

そもそも息子のほうの魅力をうまく引き立てられているとは思えないんですよね

ここからタロンエガートンのようにスターダムにのし上がっていくようなキラキラ感が全然足りない

 

また、失笑してしまったのが、

ロシア皇帝の信頼を得るために、

ラスプーチンがマカロン風のお菓子に毒を仕込んで、それを食べて泡吹いた王子を蘇生させる

というくだりがあるんだけど

 

イメージ重視・絵力重視で撮影されたんだろうなぁというのは分かるんだけど

 

長い廊下の真ん中に唐突に置かれたマカロンを、護衛もつけない王子が何の躊躇もせずに食べて泡を吹いて倒れる

 

で、私ならこの子を救える、私の言うことを聞くんだ、子供が死んでもいいのかと脅すラスプーチン

 

いや、もうね。

失笑

 

廊下にお菓子が1個だけ、謎の台に直置きされているのもシュールだし

誰がそんな目立つもん気付かれずに置いたねんっていうのもイミフだし

いや、普通誰か王子が食べるの止めるしょう?

そもそも王子が出所の分からない食べ物を口にするなんて危険な行為しないように教育されてるでしょや?

浅い

浅すぎる

 

映画館の大画面でならもしかしたらスルーしたのかもしれないけれど

自宅のテレビという小さな画面だとそういうところが気になって仕方がない

 

それに、正直あまり斬新さも感じなかったんですよね

使用人ネットワークっていうアイデアも

グランドブタペストホテルという

ウェスアンダーソン監督の作品で既出だし

 

 

ラスプーチンの扱いも手あかがつきすぎている

 

それに、事件をきっかけに結成されたスパイ組織

というテーマであれば

キングスマンと同時に公開され、残念ながら興行収入で負けてしまって続編制作がかないませんでしたが

コードネームUNCLEのほうがよっぽどしっかりしていたし、

やっぱりスパイ映画の前日譚であればスパイアクションをしっかりとすべきだと思うの

ていうか、事件後にKingsman結成するんだから、ファーストミッションちゃうやん

 

 

 

まとめ

イヤー、悲しいくらいに乗れなかった

ネットでの評価で、面白い映画だったが面白いキングスマンではなかった

という評価を見てなるほどとも思ったけど

 

戦争映画を見に行ったわけではないし、割と評価されている時代考証についても

マタハリの扱いの雑さが気になってしまったのでいまいち乗れず

 

評価されている部分については、私がその辺の事情に詳しくなくて見ている最中に理解ができなかったのも多分問題ではあるんだけどね

 

劇場で見ていたらもっと楽しめたんだろうか

でも、見るとしたらスパイダーマン/ノーウェイホームを見た後だったと思うので

 

belphegor729.hatenablog.com

 

あの後にこれを劇場で見ていたら余計酷評してそうではあるなぁ