X-MENは中途半端に3からしか見ていないのだけれど、それでもファーストジェネレーションはとても楽しく見させていただいていて、長く続いたX-MENの最後ということで、期待半分、不安半分、劇場に足を運びました。
不安の種は、やたら暗そうなCMと、サイクロプスとジーンの俳優にあまり思い入れがないところ。二人とも過去作でほとんど活躍していないので、彼らを主役に据えてどれだけ盛り上げられるか・・・
結論から言うと、ジーンはとてもよかったです。増大する能力に高揚する表情、おびえる表情、最後の全能感を漂わせる表情、そしてその所作。
とてもグッドです。
サイクは・・・うーん、どうしてもレディプレイヤー1の主人公が重なって見えて、もっさりした印象がぬぐえず、頼りない感じ。いや、レディプレイヤー1はとても好きですし、その主人公としての彼も好きですけどね。ちょっとキャラの違いを呑み込めてないというか、
それにサイク自体も主体的に動くキャラクターではありませんでしたね・・・
そして何よりも、よかったところすべてを脚本が台無しにする残念な作品でした・・・
場面場面でよいところはありましたが、総じて酷評です。
ネタバレでもありますので、見終わった方でもやもやしていたらぜひご一読ください。
まずはいいところから!
終わり方は好きでしたよ
こう、悪かったところでも話すけど、プロフェッサーX=チャールズ(そういえばプロフェッサーX呼びはしないんですかね。キャストでもチャールズだったし)は今回かなり苦難に落とされているので、その重責から解放されて、余生を過ごす姿、そして、旧3部作ではかなわなかったマグニートー=エリックとの和解、そしてその証としてのチェスのシーンで穏やかに終わるエンディングは個人的にはとても好みでした。静かにカフェでくつろぐチャールズにチェッカー模様の鞄を持って近寄る足を見てなんかウルっとしました。
エンドゲームの終わり方を考えると、イレギュラーな終わり方をしっかりとやり切ったエンドゲームのすごさを感じたりもするけれど、やっぱりこういう終わり方が落ち着くなぁ。。
相変わらずマグニートーはかっこいいですね。
マグニートーというか、マイケルファスベンダーの強キャラ感は異常。
中盤格を落とした感もありますが、ラストバトルで電車ごと敵を圧殺するシーンは強すぎて感動すら覚えますね。静と動を併せ持つ彼の表情も見どころでした。
・チャールズとジーンは表情がとてもよかった。
ジーンについては最初によかったと語りましたが、チャールズも、苦悩を湛えた顔は見ている側も不安を掻き立てる良い表情でした。序盤の少し驕りをにおわせる表情、中盤の、顔の上に一枚仮面をかぶって、本心を隠している表な表情、役者のジェームスマカヴォイが得意そうな表情ではありますが、チャールズははまり役だったと思うんですよね。
とてもよかったです。
いいところはこんな感じかなぁ・・・
はい、内容には全く触れてないです。
ということで悪いところ。
クイックシルバー活躍しなさすぎ
前2作で活躍しすぎたからだろうか、クイックシルバーの活躍シーンがほとんどなくなってますね。ほぼ、CMで流れた空を舞うがれきを歩くシーンくらいでしょう。しかも役に立ったわけでもなし。中盤からはお留守番ですか。せっかくのいいキャラなのに使いこなせてなくて腐らせてる。
アポカリプスといい、彼のスピードに一部感覚だけでもついていけるキャラどんどん増やすの良くないなぁ。
ナイトクローラーとキャラが被ったのもよくないのかも、瞬間移動要因としては、彼のほうが見栄えが良くて時間も使わない。
まぁ監督は前作から用意されたキャラを渡されただけなので、難しい差配でしょうし仕方ないですかね。
私がクイックシルバー大好きなので難癖付けてるだけといえばそうかなぁ。
あの、てきは、なに?
あの宇宙人たちは何なんでしょうか?原作にいるの?
いたとして、正直、さまざまな差別を裏のテーマに据えていたX-MENの幕引きを謎の宇宙人が行うというのは、いまいちすぎでしょう。
これに関する愚痴は次に続くのでここで一度切ります。
全然Dark Phenixしてない
ほんとこれ
ダークフェニックス感出てたの屋敷でそそのかされてた一瞬だけでしたね。
こう、能力の肥大により全能感に溺れてしまうジーンと、それを止めるX-MEN という対決を個人的に期待していたのですが、そんなことは全くなく
せめて「能力の制御ができず、それを理解してもらえずに孤立化して絶望するジーン」でもいいのですが前者っぽさは一瞬で終わり、後者っぽさも屋敷のシーンで終わり。
能力者としての在り方を誤解され、孤立していくのを対立者にうまく利用されるのは、こちらもあまり好きな映画ではなかったけど、ファンタスティックビースト2のほうがうまく描いていたかなぁ・・・多少は。
![ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 ブルーレイ&DVDセット (2枚組/日本限定メイキングブックレット付) [Blu-ray] ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 ブルーレイ&DVDセット (2枚組/日本限定メイキングブックレット付) [Blu-ray]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41Fv2sLbSAL._SL160_.jpg)
ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 ブルーレイ&DVDセット (2枚組/日本限定メイキングブックレット付) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- 発売日: 2019/04/24
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログを見る
X-MENと直接対決するシーンは一瞬でそれもチャールズによってあっという間に改心させられる(あ、あの時のチャールズはすごく好きでしたよ)もうちょっと悪の女帝として主体的に動いてほしかったです。
シナリオが本当にダメ。
シナリオの都合でキャラが動いていて、キャラクターの内面が全く見えない。
正直よくこの脚本で行こうと思ったなと疑問に思わずにいられない。
一番ひどいと思ったのがマグニートー
小さなコミュニティで静かに暮らしていたはずのマグニートー
人を殺しても復讐心が晴れなかったので人を殺すのをやめたはずマグニートー
ジーンの服の血をやたら気にするマグニートー
ジーンを邪魔者扱いするマグニートー
ジーンをミスティーク=レイヴンの仇として殺そうとするマグニート
謎の宇宙人からジーンを守るマグニートー
申し訳ないけど同じマグニートーだとは思えない。
シーンごとに立ち位置が変わることを否定はしない。
でも、シーンの移り変わりにはその心の動きを描かないと説得力がないのにそれがない。
レイヴンの死を知って、なぜ心変わりしたのか、ジーンのパワーを狙っている敵がいることをしって、憎い敵のジーンを守る決意をなぜしようと思ったのか。特に、後者は状況に流されているだけにしか見ず、シナリオの都合で動かされる作品の駒に成り下がっている。
また、感情や思考が見えないので、コミュニティのパワー対決でコテンパンに打ちのめされたのに、無策でジーンを殺しに行くその自信はどこから来たのか。そういうシーンって結構萎えるんですよね。
せめて、謎の宇宙人がいなければ互角に持っていけたのでは、くらいの策を講じるか、ハラキリ特攻でもいいので無策なら無策である理由をつけてくれないと。
エリックという深みのあるキャラクターを監督、脚本が使いこなせていないと正直感じてしまいました。
ジーンも脚本に振り回されてますね。
誤解によって孤立するジーン・グレイ
という筋書きありきで話が進んでいくため、能力の肥大化におびえるジーンを誰も理解しようとしない。
サイクロプスですら、恋人というロールのもと動いているようにしか見えなず、恋人でなかったらジーンと敵対していただろうという確信がある。それは、ストームがジーンによるレイヴン殺害を故意であると断定したところから感じ取れる。
そして、ストームがレイヴン殺害を故意であると断定したシーンは、それ以上の価値を持たず、館に3陣営が集結するシーンで自ら作戦参加を言い出した理由に結びつかない。結びつかないから3陣営入り混じるシーンでも、マグニートー陣営とパワーバランスを整える都合のいい駒にしかなっていない。
あのシーンも暗いしごちゃごちゃしてわかりづらかったなぁ。
ハンクに至ってはレイヴンへの愛情で目が曇っているとしか思えない。
ただ、作中ではそういう扱いでもなかったですね。
・チャールズ可哀そう過ぎ
そして、描きたいあらずじによって作中でめっためたに評価を落とされたのがチャールズエグゼビアっすわ。
いや分かる。分かるんよ。レイヴンが生徒を思うあまりチャールズと対立するのも。
ただ、彼には彼なりの危機感があって、そのためには何でも犠牲にする覚悟がある。
彼の守るべきものは薄氷の上に成り立っているミュータントの評価を守ることでそのためならミュータントの命も惜しくないと思っている。
今一人のミュータントの命を惜しむせいで、これからのミュータントに苦難の道を歩かせるかもしれない。彼はそれが怖い。
今回だと、エンデバーの船員を全員を助けることが出来なかったことで有用ではないという烙印を押させられる。もしくは、船員の誰かから、「X-MENは船長を助けなかった」と吹聴させられて評判が落ち、時計の針が過去に戻ることを恐れている。
ジーンの暴走を目の当たりにした人間たちの手のひら返しの速さは凄かったですね。
まさに危惧していた通りの状況です。
危惧していた通りなんだよハンク!
ふぅ、ジーンの離反の原因であるという点が強調するために意図的にそこに触れることを避けている感じがしますね。個人的にはそこもちゃんとタッチすべきだと思うのですが。
ただ、問題は歩けないせいで、彼はその最前線に赴けない。そこの欺瞞に対して明確なロジックを持っていない。苦悩もしていない。
そこは非難されてしかるべきだとは思うので、まぁレイヴンの抗議も間違ってはいない。
ただレイヴンも彼の本筋の主張を理解したうえで批判をしているわけではなく、チャールズ下げのために挿入された、チャールズか奢っていることを示唆するシーンによってレイヴンの反論の正当性を担保している。
こういう問題は、いつも「批判ばっかりせずに対案もってこいやぁ!」と思ってしまうんですよ。
これはエリックのくだりで書くか悩んだんだけど、エリックがコミュニティで平穏な暮らしができるのは、そんなチャールズの努力があったからこそで、これまでの所業を考えれば許されて、静かに生活していることが奇跡だと思うんですよね。そこも過去作を考えて書いてないなと思うところではあるんだけど、そんなチャールズに対して「友達ではない」と言い放つのは、ないわぁ。
暴れることによってコミュニティの平安が脅かされることについても無自覚すぎやしませんかね。
みんなシナリオに振り回されて後先考えなさすぎ。
ジーンの心にブラックボックスを作ったのも、当時のチャールズは100%善意だったはず。その善意を可哀そうなことをしている、欺瞞だと全否定されるのは、ちょっとなぁと思うわけです。
最善ではないと思う。でも、常に最善をとれるわけではないので仕方なしに次善策をとることはままあるでしょう。チャールズだって万能ではない。常に最適解を選べるわけではない。そこを無視して、感情論的な不完全な対策をもって批判するのは好きではないです。
なんか見てて思ったけど、チャールズ、トニースタークに似てるなぁ。特にシビルウォーの
![シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray] シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51ICa3bt2fL._SL160_.jpg)
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- 発売日: 2018/04/04
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログ (30件) を見る
全体の幸福を見据えて行動してるけど、説明不足だったり独善的過ぎたりして理解してもらえず、反感を受けて孤立する。
トニーはまだ、自分に足りないものを理解しているし、克服しようとする意志も感じるんだけど(だからトニースタークというキャラクタが狂おしいほど好き)
チャールズは天才で、人のマインドを読み取れる(はずだけど今回あんまり役に立ってないな。見たくないものを見ずに済んでるからか)ちょっと自分の失敗を認められない属性も追加されたよね今回。キッチンでハンクの悩みをはぐらかそうとして怒らせてしまうシーンはちょっときつかったな。そのせいか、信頼できる友人がいないのもつらいねぇ・・・
トニーはその善性を信じてくれる人がたくさんいたのにねぇ。
その点で、館での対決シーンからラストの電車での交信のシーンで、彼の善意がジーンに伝わったことは本当に良かった。
「俺には今のお前の心は読めない!しかしお前は俺の心が読めるはずだ!読め!」というシーンは誰にも伝わらなかった彼の善意を彼だけが信じていて、結果としてジーンにも伝わったので熱かったです。
まぁそう思うと同時にえ?ジーンもう正気に戻るの?という肩透かしもちょっとあったり・・・
世界に絶望したジーンが悪逆の限りを尽くすシーンを見たかったし、そのための布石もたくさん売ってきたじゃんよ、マグニートーもがらにもないことさせられてたじゃんよ。
そして、あれだけの事件が起きて、ミュータントがあれだけ捕縛されて、最後の事件の目撃者もないのにミュータントが今まで通りの平穏な生活を送れているのも、
だめだよ、起こることに対する代償をなかったことにするのはいけない。
トニースタークはインフィニティストーン使用の代償に命を失った。
あのエンディングは、穏やかではあるけど、トニーが死ななかったエンドゲームと同じだ。

アベンジャーズ / エンドゲーム (オリジナル・サウンドトラック)
- アーティスト: アラン・シルヴェストリ
- 出版社/メーカー: Hollywood Records
- 発売日: 2019/04/26
- メディア: MP3 ダウンロード
- この商品を含むブログを見る
甘く穏やかで、それ単体で見ればとても幸福なエンディングだけど、作中での凶事から目をそらしている。
穏やかな暮らしで終わりたいのであればそれを実現するための種はまかないと。
そこもぜひこだわってほしかった。
なんでこんなに不満があんだろう?
と思ったんだけど、多分私本当にX-MENファーストジェネレーションが好きだったんだと思う。
![X-MEN:ファースト・ジェネレーション [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray] X-MEN:ファースト・ジェネレーション [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51exWtbWSGL._SL160_.jpg)
X-MEN:ファースト・ジェネレーション [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2018/03/16
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログ (1件) を見る
X-MENの主要キャラであるプロフェッサーXとマグニートーの出会いと決別を、お互いの心の揺れ動きを描きながら、キューバ危機ともリンクさせ、ウェットな空気感でもってきれいにまとめ上げたマシューヴォーン監督渾身の一策だったと思うんですよね。
彼の手によって編み上げられる新シリーズにすごく期待していたというのもあるのかもしれない。
結局彼が係るのはフューチャー&パストで終わり。やはり好きなのもこの2作ですね。
![X-MEN:フューチャー&パスト ローグ・エディション(2枚組) [Blu-ray] X-MEN:フューチャー&パスト ローグ・エディション(2枚組) [Blu-ray]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51mBM8poN0L._SL160_.jpg)
X-MEN:フューチャー&パスト ローグ・エディション(2枚組) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2015/07/15
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログ (5件) を見る
ダントツがファーストジェネレーション。
そう考えると、私はマシューヴォーン監督に新しいX-MENをしめてもらいたかったのかもなぁ。
またブライアンシンガー監督に思い入れのあるかたは別の感情があるのかもしれないですね。
これで20年近く続いたX-MENシリーズが一度一区切りを迎え、これからきっと、新しいキャストを迎えてMCUに合流するのでしょう。
アメコミのシリーズとしてはMCUが一番好きなので、その流れの中に組み込まれるのはとてもうれしいですし、これから素晴らしい作品をたくさん生み出していくことを期待したいですね。
あと、本作好きだけどここまで読んでくださった方がもしいたらごめんなさいそしてありがとうございます。
多分私が気づかなかったこと、私ではもてなかった視点で見られていたのだと思うので、ぜひよかったところを教えてください。
あと最後に、
スタン・リーいた?
見つけたひと教えてください