ずっと気になっていたのだけれども、テーマがニッチすぎるためか上映館が近くになく、所用で東京に出る予定が出来たので
エイヤーで見に行きました
教皇選挙「CONCLAVE」(上映時間2時間弱)
場所はTOHOシネマシャンテ

ミッドタウン日比谷の隣にある小さな建物で、いつもTOHOシネマズ日比谷にはよくお世話になっていましたが、シャンテは初めて。シネマロサみたいなミニシアターの雰囲気があってよいですね
そのエレベーターにドーンとポスタービジュアルが張られていました
あまり大きな箱ではなかったですが、前日に予約しようとした段階でよい席は全部埋まり、当日はほぼ満席
びっくりですねぇ。地方でやっていないというのもあるのかもですが
でも平日やぞ。休日だったらどうなっていたのか・・・
ただ、結論から言うと本当に傑作でした
こんな地味な題材で、ここまで面白くできるのかという衝撃
肌がひりつくような緊張感の中、息もできず、息をのんで
ジェットコースターのごとく動いていく状況に、レイフファイン演じる主人公ローレンス枢機卿と一緒に翻弄される
見終わったころには満身創痍。ほんと、凄いもん見たぞ、という満足感も一緒に劇場を出ました
また、シーンとシーンの間に細かいカットが意味深に挟まれるので、そこにどういう意図が込められているのかはとても知りたい
最終的に教皇が決まった時に、教皇としての名前は自分で決めるそうなのだけれども
彼がなぜその名前を名乗ったのか
キリスト教徒でない自分には皆目見当がつかないので。。。。
と思ったらネタバレ厳禁の厳重注意付きで公式がしっかりと解説してくれていました
で、ここからはもうネタバレで内容語っていくんだけど
本作とにかく枢機卿たちの立ち位置、勢力図が目まぐるしく変わっていくので
最初のうちは結構気を抜いてみていたのだけれどもだんだんと目が離せなくなってくる
法廷サスペンスと同じような
次は誰の罪が暴かれるのか
若き日の過ちを掘り返され、再起不能にさせられるアデイエミ枢機卿
自身の野心のために、初の黒人教皇の芽を摘み、そして事前に買収で票を買っていたことを、前教皇に非難され、見えぬものと侮っていたシスターに足元をすくわれるトランブレ枢機卿
神の下に平等であるはずの人類の男女間の不平等がつまびらかになる瞬間ですね
この時、支持し支えていたはずのベリーニ枢機卿がトランブレ枢機卿に買収されていたことに気づき、大きく舵を切るローレンス枢機卿
ここで、もはやローレンス枢機卿選出待ったなしまで来るんだけど、
どうしても、正義のためとはいえルールを冒して前教皇の私室に侵入した罪を持つ彼が選出されることに違和感があったので
その後のテロからのテデスコ枢機卿演説→ベニテス枢機卿の反論の流れは美しかった
イレギュラーな形で参加したにもかかわらず、大きな動きを見せていなかったので
あの場の空気を支配したオーラ、説得力が凄かった・・・
そんで最後に、ベニテス枢機卿が両性具有だったことの告解はもうね
彼が名乗るイノケンティウスという教皇名は「イノセンス」と語源を同じくするようで
無罪、無欠を意味するそう
意味深ですわー
彼の両性性は神の御業であり無罪
神の御業であるがゆえに子宮摘出は神の意志に反することと考え取りやめたので無欠
ということなのか
この後ローレンスがたどり着いたようにメディアもベニテス枢機卿の事実にたどり着いて
教会最大のゴシップとして、キリスト世界がかき乱されていくんだろうな
という予感もありつつ、最後は朗らかに駆け抜ける、黒衣から白衣に着替えた修道女のカットが不穏なくらいにバツっと途切れて終了
常に重苦しい劇伴が流れ、陰鬱な空気が流れていて、多分家でサブスクで見ていたら最後まで見れんかったろうな
という確信もありつつ、でも本当に見てよかったと思える作品でした
ただ、
ただなぁ
見ていた間は支配された空間の中に飲み込まれていったけど
でも、テロに対する考え方は、過激とはいえテデスコ枢機卿支持なんですよねぇ
ベニテス枢機卿が
「戦うとはだれと?テロリストか。いや違う、自分自身の中の敵意とだ」
というけれども
恐らく、相互理解のために、まず自らの敵意を手放すべきだ
ということだと思うんですけどね
テデスコ枢機卿は、イスラム教はキリスト教国へ侵入し、コミュニティを作っていくのに対して、イスラム教国は国によっては定住するにあたり改宗を強いるところもある
なぜキリスト教国だけが、イスラム教国に譲歩せねばならぬのか
そして、譲歩した結果、勝手に来て、勝手に不満を募らせ、自国民に被害を与えるテロを行う
この2国間の非対称性は、中国も頭をよぎるんですよね
TikTokをはじめ中国産のサービスはノーチェックで資本主義国でリリースされるのに
中国内で資本主義国のアプリケーションはほとんどお金を稼げない
中国国内で商売をしようとした場合、資本の半分を中国企業に握らせないといけない
この不公平は、不公平を受けている側が心を入れ替えてなんとかなりましょうか?
テデスコ枢機卿の「戦争」というワードは強すぎるものの
強い姿勢を、メッセージを相手に打ち出していかないといけないのは間違いないんじゃなかろうか
とは思うんですよねぇ
ただ、コンクラーベが始まる前、ローレンス枢機卿の演説にあった
「確信は罪」
という考えは深いなとも思いました
深すぎて、たぶん誰も実践できないとも思うのだけど
DEIを掲げる映画は、ジェンダーマイノリティは優遇されるべき、という確信で動いているし
本作だって、保守派、伝統主義は停滞であり後退であるという確信
そういった確信を作中から感じるので
結構強い言葉だなぁと思いますね
ただ、言っていることは本当にそうだなと
仕事でも、これで大丈夫と無根拠な確信をもって進めた仕事ほどしくじるなぁ
というのは結構肌で感じてます。。。
と、はなしがかなり脱線したけど、
思想に先鋭的なものを感じるけれども、サスペンスものとして非常に濃密で
興味深い作品でした

