相変わらず新海監督作品は賛否両論ですね。
いろいろ感想を読み漁っていますが、納得できる批判も多くて、あぁまぁ確かにそこはそうだよなぁとうなずくところがたくさんあります。
あと、新海監督は確実に90年代から2000年代のエロゲ作品を土壌としている部分があって、そこらへんに造詣の深い人たちの考察はとても勉強になるし、その点から作品を評価できる教養の高さは素直にうらやましいです。
しっかりしたバックグラウンドをもってそれを基に作品を批評できるのがとてもうらやましいですね。自分がブログを始めるのを迷っていたのはそういう論じるうえで武器となる知識に乏しいというのはありました。
イリヤかぁ。あれも彼女と世界の話か。読みなおしたいけど、メンタルごりごり削られそう
ちょっと救いがないけど救いがある感じはデビュー作の猫の地球儀もすき。
高校の図書委員だったときにお勧めの本として図書新聞にかいたなぁ
イラストの方はオーフェンの人とタッグを組んだエンジェルハウリングとか
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月と貴方に花束をも良かった
それはさておき
他人の批判記事を見て、好きだった気持ちが萎えていく作品もあれば、まぁそういう考え方もあるよね。わかるわかる。でも好き。と割り切れる作品もあって、
天気の子は確実に後者でした。
多分多くの批判者の批判は、自分も心のどこかで思っていて、それに対する反論や、納得も自分の中に出来上がっているんですよね。
なんだったら見た直後よりも今の方が好きすらある
まぁ、ありきたりとか、音楽で泣かせに来てるとか
わかってんすよ。
そのためにRAD使ってんすよ。映像と音楽の2人三脚で作品作ってんすよ。
もっと言えば、最初から青臭い青春映画を見に来てんすよw
それくらいの批評じゃぁ心が動かんなぁw
君の名は。も、よかったとは思うんですけど、ここまでの評価を得るほどか?とも思ったりして、作品の本来の評価と世間の評価が乖離していて、もっと意外性のあるものが見たかったとか、思ったほど思ったほどよくない、という評価が出てきてしまうのかなぁと思います。
本作はキャラクターのバックグラウンドはノイズとしてがっつり削除してあります。まずこのことを飲み込んだうえでないと、入り込めない作りになってると思うんですよね。
主人公の帆高君の家出の理由が何となくだったり、
ヒロインの陽菜の生活資金が不明だったり、
東京に住んだことが無いので、あの立地であの二人は何を原資に生活しているのだろうかと、困窮感がいまいちつかめないんですよね。
バイトすればなんとかなる程度なの?案外金もってんじゃん、的な
でもそこは考えるのやめました
やめていいと判断したのは、もちろんこの作品に好意を持ったからですね。
好意を持った時点で、そこは考えなくてもいいだろうと。
だから、好意を持てなかった人が、そういうところが気になってしまうのは仕方がないと思うんですよね。
私もダークフェニックスをぼろくそにこき下ろしてますし
何となくで家出してしまう帆高君のメンタルが許されるのは中学生まで、という批判はもっともだと思いましたw
なぜか中学3年生だと思ってたんや。許してくれ。
中二病なら許される。
後は何でしょうね。完全に後付けのいいわけですが、島暮らしの閉塞感は正直普通に町中に暮らしていた人間にはわからんのですよねぇ。それが高校進学という変化によっても変わらなかった失望があるのかもなぁ
穂高君の島の外へ逃げ出したい感じは、君の名は。の三葉の東京へのあこがれと同じレベルだと思うんですよね。あそこも陸の孤島みたいなもんでしょ。
子供って「え?そこでそんなに不満になる?」みたいなことでストレスを抱えたりとかあるじゃないですか。
で、何となくで動機とタイミングがあってしまって実行してしまう子も何人かいるんでしょう。
最近では明智光秀の謀反も、やれれば成功しそうなタイミングが偶然転がってきたから説が有力だという話も聞きますし
大の大人が偶然転がってきたチャンスに飛び込んで自滅するのですし、実際子供の失踪届はたくさん出ているとも聞きますから、何となく中二病を抱えた少年が飛び出してしまうこともあるんじゃないかな。
そういえば秒速5センチメートルの主人公も一人で電車乗って県外まで行ってたなぁ。あの行動力が凄く羨ましかったけど、だからこそそのあとの彼の動けなさに苛つくんだよなぁ。彼の原体験が外に向かう原動力ではなく内に閉じ籠る呪いになっている感じ
最初に話した通り、家出するに足るしっかりした理由を作ってしまうと、ノイズになったり、別の点で足を引っ張りそうでもあります。
須賀さんも十分まともな保護者ではないからな。
帆高君の家出の理由は濁しておくのがベターだと思います。
ストーリーの骨格としては
ふとしたことで力を手に入れた未成年が、力の意味を知らずにその力をふるい、途中で代償を支払うことになる。
スパイダーマンなんか似たようなフォーマットですよね。支払う代償が違いますし、支払い方も違いますけど。
フォーマットとしてはまぁよくあるものだと思います。
支払わねばならなくなったときにどう行動するかが脚本家の腕の見せ所ですかね。
力があれば使いたくなるのが若さだし、なぜ力を得たのか、について正しい回答にたどり着けるほど彼らに知見もないでしょう。
好きな子の笑顔が見たくて行ったことでその子の存在が脅かされる、その恐怖と自責がどれほどのものか、考えると胸が痛くなります。
抱えきれないものを抱えようとするのも若さだよなぁ。
能力のソースとその代償については2つのシーンで”伝承”として軽く触れるにとどまっているのは、なんか時間なかったし、底深く追及すると話が横にそれちゃいそうな感じ。君の名は。の時と比べてそこに比重は置いていない感じがしますね。
まぁオカルトについては、それくらいのうさん臭さのほうが、当事者にしか共有できない深刻さを表せられていいのかもしれない。
作中の情報開示の薄さについて こちらの記事がなかなか面白かったです。
確かにこれはTrueルート
陽菜ちゃんのお財布事情はきっとグッドルートで語られてるな
ほんとAir好きすぎて分かりみがすごい。
アメは不幸な未来を変えるために生まれ変わった帆高君に違いない
過去編はよ
個人的には、最終的に陽菜ちゃんは能力の制御ができなくなっていたと思うんですよね。
なので、陽菜ちゃんは帆高君のために晴れを祈って消えたわけではなくて、何となく晴れたらいいな、と思ったら能力が発動してしまったのかなぁと思ってます。
天気なんかよりも好きな子と一緒にいたいという帆高君の気持ちを陽菜ちゃんが受け取ってないわけないと思うんですよね。
だからこそ指輪がすり抜けていく絶望感が引き立つわけで
だって、覚悟の上なら指輪が落ちてあそこまで取り乱さないじゃん
指輪を帆高君にの代わりにするつもりが当てが外れて慌てたとは思いたくないの
消えた女の子を追いかけて街を疾走する少年はジュブナイルの真骨頂よね。
少女の命と引き換えに確かに世界のあり方も変わってしまったけど、まぁいいんじゃないでしょうか。
パンフレットの監督インタビューを読んでその思いはより強くなりました。
今の世の中は、良きにせよ悪きにせよ、これまでの大人が特に責任を持たずに積み上げてきた世界のうえに今の子供たちが生きているわけで、その上に積み重なる二人の選択にその責任を問う資格はないんよね。たまには大人じゃなくて子供が積み上げてもいいんじゃなかろうかと。で、一緒に乗り越えようやと。
だからこの事件は、責任をとらない。が正解なんじゃかいかな。とれないし。責任を感じる、位の着地点で良い塩梅。
[20190729追記]
それに、陽菜ちゃんがあの神社で人柱に選ばれなければ、同じ未来が待っていたわけで、当たり前なのは沈む東京の方なんですよね。そりゃそうでしょ。人柱捧げて天気が変わる方がイレギュラーですって。
で、帆高君は陽菜ちゃんの命と引き換えに東京を救うチャンスを”選ばなかった”
選ぶ義理もないですよね。それは陽菜ちゃんも同じ。
東京も人柱の人選を間違えたようですね。事前説明と同意は大切です。
誰も彼女のせいで東京が沈んだと知らない。だからみんな二人に甘い。
須賀さんはどうだろう。彼はもう純粋な応援者だし、″そんなわけない″ことにして許してそうな感じ。
大人が励ましの意味を匂わせて自惚れんなって子供にいうのも弩ストライクなシチュエーションですわ。
でも自分のせいで東京が沈んだと陽菜ちゃんは知ってるから
高台で祈る陽菜ちゃんに神々しさを感じるし、帆高君が二人の罪をポジティブに自覚する理由になると思うんですよね。多分あの瞬間に、帆高君は陽菜ちゃんの共犯者になったんだ。
中途半端な慰めで自己満足に浸るのではなく、一緒に、世界のカタチを変えてしまった事に向き合う決意をする。
本当に良いシーンでした。
歌がまた良い。
あのシーン。確かに世界が陽菜ちゃんの肩に乗ってましたね。
東京だって沈んだら沈んだでたぶん何とかなるんでしょう。それくらいの力、東京にはあると期待してもいいんじゃないかな?
多分千葉にある我が家も沈んでるけど。高台のばあちゃんちにひっこすか。
まぁ気になるシーンもあります。
とりあえずリーゼント刑事。彼はもうちょっと何とかならんかったか。
ちょっと作中の負の感情を一身に背負わされすぎている感じがして、あそこまで嫌な人物に書かなくても何とかならなかったかなぁ。
リーゼント刑事ではなくて平泉成が対応していれはこうはならなかった気がするなぁ。
きっとゲーム版ではホテルのシーンで平泉成が現れるのがtrueエンドから外れた見分け方なんだろうなぁ
須賀さんも、帆高君追い出した後で自己嫌悪でタバコ吸うのちょっと残念だったなぁ。帆高君と一緒に子供を迎える努力も投げちゃったのかな。それだけ罪悪感にさいなまれて自己嫌悪に陥っていたとみるべきか。
一番気になったのが、恐らく都が主宰しているであろうイベントにがっつり呼ばれて、帆高君が警察に察知されたり、陽菜ちゃんが児相にマークされるまでタイムラグありすぎじゃないかなと。
[20190729追記]
帆高君が陽菜ちゃんちに初めて訪問するときに児相とすれ違ってましたね。一応匂わせてはいたんだなぁ。
でも神宮外苑花火大会の主宰がどこであれ、帆高君はあの入館証をもらうために色々書いているはずだから、そこをみれば一発なはず…帆高君嘘書いたな…
どれも些細ですかね。多分見る人が見ればもっとおかしな点はたくさんあるんでしょう。
それでも、個人的にはまぁ気になる点も多々あったけど面白かったからいいか、と思える勢いのある作品だったと思います。
これも完全に好き嫌いの話なんですけど、過去にどうしようもない理由で大切なものを失って失意のまま生活していた大人が、今頑張れば大切なものを取り戻せるかもしれない若者に自分を重ねて助けてしまう展開大好きなんですよね。
だから廃ビルの警察とのシーンの須賀さんは最高でしたね。
最後の最後までぐずぐずしているのもいいです。大好き。
ただ、大好きな分もうちょっとそこに至るまでの心情を補強するようなバックストーリーが見たかった気もします。
[20190729追記]
須賀さん変な指輪してるなと思っていましたが、良く見ると指輪二個つけてたんですね。多分赤い石がはまってる方が奥さんの。
わざわざお直ししてつけてるんですね。エモい。ほんとに一途なんだなぁ。
これは完全に想像だけど、最初の船のシーンで帆高君にタカってたときに、「誰かの命の恩人になったの初めて」と言ってましたが、もしかして奥さんの事故のときに、近くにいたのかな?それを思い出して、つい手を伸ばしたとかだったら、またちょっとあのシーンが違って見えるな。
あのシーンは凪センパイもかっこよかったなぁ。
あのシーンで帆高君に放つセリフがあれか!かっこよすぎだろ。発破のかけかたが手練れ過ぎて人生二週目感半端ない
まぁ凪センパイは常にかっこいい。
夏美ちゃんは、そういう後先考えないところが就活がうまくいかない理由やぞw
彼女警察のお世話になって就活は大丈夫だったんだろうか・・・
最後に
パンフレット曰く
weather には 「(嵐・困難を)乗り切る」という意味があり、ダブルミーニングも狙っているそうです。
なんかFGOのランスロットをふと思い出したんですけど
誰にも認識されない罪を
陽菜ちゃんみたいなまじめな子が抱えるのはきっとつらいだろうと思うんです。
そのうえでエンドロールで改めて「weathering with you」というタイトルが掲げられるのを見ると、きっとスタッフもこの若い2人の明るい今後を期待しているんだろうなと
さわやかですっきりとしたいい映画だったなと思います。
まぁもう本当に、ばれなしでも書きましたけど
グランドエスケープという曲に完全に心を持っていかれてどう頑張っても良以上の評価しかできない人間の書きなぐりでしかないんですけどね。
恐くないわけないけど止まんないんだよ
ええやん。青春して
本当に良かったです。ありがとうございました。
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廻るピングドラムと神様が嘘をつく気になってきた